アウディが2025年9月にIAAで新しいデザインフィロソフィー「Audi Concept C(アウディ コンセプト C)」を発表した。この2ドアハードトップのロードスターは、現行モデルのラインナップから消えてしまった2ドアモデルの復活を示唆しているのだろうか。ドイツ御三家ともいわれるフォルクスワーゲングループのプレミアムブランドに位置するアウディの今後について考察する。
やはり2ドアモデルはブランドイメージ戦略に必要だと判断した?
アウディの現行モデルのラインナップ(2025年9月時点)を見てみると2ドアモデル(クーペまたはオープン)がない。アウディは過去にフラッグシップスポーツカーの「R8」、コンパクトサイズの2ドアスポーツカー「TT」、ミドルサイズのクーペ/オープンモデルの「A5」を販売していた。

R8は2世代、TTは3世代、A5の2ドアモデルは2世代にわたり販売されたが、いずれも生産および販売が終了し、後継モデルが登場することがなかった。
しかし、2025年9月、2ドアのデザインフィロソフィー「アウディ コンセプト C」を発表。電動スポーツカーであるこのコンセプトモデルは、2ドアであるだけでなく、ハードトップルーフを持つロードスターだ。

新たなデザインフィロソフィーとはいえ、2ドアモデルをコンセプトモデルとして出してきたことから、アウディのラインナップに欠けている2ドアモデルが復活する可能性が高くなった。いや、アウディは2ドアモデルを復活させたいと考えていると言ったほうが正しいのかもしれない。
2ドアモデルはブランドを印象づけるために必要?!
フォルクスワーゲングループにおいて中級から上級モデルに位置するアウディは、「プレミアムブランド」と呼ばれるカテゴリーに分類される。このプレミアムブランドに分類される自動車メーカーは、2ドアモデルをラインナップしている場合が多い。

例えば、ポルシェ(911)、BMW(8シリーズ、6シリーズ、4シリーズ、2シリーズ、Z4)、メルセデス・ベンツ(AMG GT、CLE)、アストンマーティン(ヴァンテージ、DB12、ヴァンキッシュ)、ベントレー(コンチネンタルGT、コンチネンタルGTC)、マセラティ(グラントゥーリズモ、グランカブリオ、MC20、MC20 CIERO)など、一般的に「プレミアムブランド」と言われる自動車メーカーでは、ブランドを象徴するモデルとして2ドアモデルをおいているケースがよくある。
このようなことからも、プレミアムブランドにおいて、2ドアモデルはブランドのイメージを印象づけるモデルとしての役割も担っているといえるだろう。

アウディは、ドイツ御三家に入るプレミアムブランドの1つだ。よって、プレミアムブランドとして2ドアモデルをラインナップしておきたいと考えている可能性が高い。
もし、アウディがフォルクスワーゲングループの中で、プレミアムブランドとしての立ち位置を明確化し、グループ内での差別化を図りたいと考えているのであれば、2ドアモデルをバリエーションに加え、ブランドイメージを象徴するモデルを用意しておきたいと考えるのが普通だろう。
TTやR8に続くことができるのか?「Audi Concept C」がブランドを象徴するモデルになる可能性
コンセプトモデルとして発表されたアウディ コンセプト Cは、2ドアのハードトップのロードスターだ。ルーフを閉じればクーペ、ルーフを開ければオープンエアを楽しめる。


冒頭でも述べたように、現在のアウディのモデルラインナップに2ドアモデルはない。もし、このコンセプトモデルが市販化されれば、久しぶりにアウディの2ドアモデルの復活となる。

プレミアムブランドと言われるアウディのアイコン的存在となる2ドアモデルは市販化されるのか、TTやR8などに続くブランドイメージモデルとなるのか、今後の続報が楽しみだ。
文=齊藤優太(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)