2025.10.23

CARS

生産終了、最後の進化型GRスープラに試乗 内燃機関のスポーツカーがたどり着いた境地

2019年に復活して以来、GRのフラッグシップ・スポーツカーとして進化を遂げてきたスープラ。しかし、2026年春での生産終了が決まり、この春、特別仕様車とRZの進化型が登場した。今回、そのRZに乗る機会を得た。エンジン編集部のムラカミがリポートする。

スポーツカーとGTカーの間

ホンダ・プレリュードの原稿に続き、またしても私ごとで恐縮だが、1980年代半ばに大学生の私がアルバイトで貯めたお金で初めて買ったクルマは、白い初代トヨタ・セリカXX。90万円ほどで手に入れた、その4年落ちの2リッター直6MT車が、当時の私にとっての精一杯背伸びしたデートカーだった。



正直に言って、プレリュードほどではなかったかもしれないけれど、結構、女の子は振り向いてくれたと思う。ちょっとだけ、いい思いもした。でも、あれがあの時すでに出ていたリトラクタブル・ヘッドランプを持つ2代目XXだったなら、きっとあの何倍もモテていたに違いないのに……なんて夢想に、運転しながら耽ってしまったのは、途中で日本名が変わり、途切れた時期もあったものの初代XXから数えて5代目となる、このGRスープラの最終進化型のどこかに、昔に通じる乗り味を感じていたからに違いない。

BMW製の3リッター直6ツインスクロールターボ・エンジンは不変。

直6エンジンをフロントに縦置きで搭載するロングノーズの後輪駆動車で、スポーツカーとGTカーの間に位置するような性格を持つモデル。先代までは2プラス2でGTカー寄りだったのが、現行型では完全な2シーターになり、スポーツカーの方に一気に傾いたとはいえ、今回、改めてRZの最終型に乗ってみると、何よりもまず、乗り心地がいいのに感心させられた。

どうやら、今回の改変では、ボディ、サスペンション、シャシーの剛性をアップさせる一方で、電子制御ダンパーの特性を変更するなど、足のセッティングを最適化しているというが、電動パワステの感触も含めて、かなりコンフォート性能を向上させる味付けがなされているようだ。実際のところ、ロケの間に助手席に腰掛けたカメラマンや編集部員の誰もが、スポーツカー然とした見た目から想像するのとは異なる抜群の乗り心地の良さを絶賛していた。



しかし、それではスポーツカーとしての性能が犠牲にされているかといえば、そんなことはない。今回の試乗車で、特筆すべきだと思ったのは、短いストロークでカチッとした感触を伴ってエンゲージする、6段MTのシフト・フィールの素晴らしさだ。さらに、自動ブリッピング・システムのデキも抜群で、神経を尖らせなくても、まるでレーシング・ドライバーになったかのようなヒール&トゥをクルマが勝手に決めてくれるから、もしも助手席に女の子がいたら、きっと目を輝かせてコチラを見てくれるに違いないと思ったのだ。

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