日本を代表するショーファーカーであり、要人の送迎などにも採用されるCENTURY(センチュリー)。1967年の発売以降、半世紀以上にわたる歴史があるが、その間にフルモデルチェンジしたのは、2025年時点でわずか2回だ。また、2020年代以降は、センチュリー初となるSUV、クーペスタイルのコンセプトモデルを発表するなど、大幅な進化を遂げている。
世界のショーファーカーと肩を並べる日本のラグジュアリーモデルとして登場
センチュリーは、海外のラグジュアリーカーやショーファーカーを目指して開発され、1967年にトヨタグループの創始者である豊田佐吉の生誕100年を記念して発売されたショーファーカーだ。

また、初代センチュリーでは、ソフトで快適な乗り心地を実現するため、日本の乗用車として初めてエアサスペンションを採用していることもトピックとなっている。

エンジンは、デビュー当初「クラウンエイト」に搭載されていた3.0リッターV8の発展型だったが、1973年に排ガス規制に対応するため3.4リッターに、1982年に4.0リッターに排気量を拡大した。
トランスミッションは、3速ATコラムシフト、3速MTコラムシフト、4速MTフロアシフトの3種類を用意していた。

1989年にはホイールベースを延長した「リムジン」を追加。センチュリー・リムジンは、室内長が650mm長くなっているだけでなく、前席と後席を仕切るガラス製の電動パーテーションを備えている。
また、後席の乗降性を考慮し、リアドアのサイズを前後方向に150mm長くし、敷居も40mm低くされている。まさに「ショーファーカー」という言葉がピッタリなモデルだ。
【初代センチュリーの主要スペック】
・全長:4980mm
・全幅:1890mm
・全高:1450mm
・車両重量:1700kg
・ホイールベース:2860mm
・エンジン:V型8気筒OHV(2981cc)
・最高出力:150PS/5200rpm
・最大トルク:24kgm/3600rpm
※スペックはセンチュリーAタイプのもの
誕生から30年の時を経てフルモデルチェンジ!国産車唯一のV12エンジンを搭載する2代目
1997年に初のフルモデルチェンジによって2代目となったセンチュリーは、重厚なスタイリングをそのままに、機能性と感性が調和したインテリアを備えていることが特徴だ。機能面は一気に30年分アップデートされた。

ボディサイズは、ホイールベースを165mm伸ばし、全長が150mm長くなった。サスペンションは、4輪ダブルウィッシュボーンの電子制御スカイフック・エアサスペンションが装備されている。

エンジンは、日本の乗用車として初となるV型12気筒を搭載。このエンジンは、左右6気筒ずつ独立制御されているため、もし片側6気筒が故障しても、もう片方の6気筒で運転を継続することが可能となっている。

また、2003年には、このV12エンジンをベースに圧縮天然ガスCNGを燃料とするモデルを追加。CNG仕様のセンチュリーのタンク容量は200リッターで、1充填あたりの航続距離は約350kmとなっている。
2代目センチュリーは、2018年のフルモデルチェンジまで20年以上にわたり販売された。

【2代目センチュリーの主要スペック】
・全長:5270mm
・全幅:1890mm
・全高:1475mm
・車両重量:2000kg
・ホイールベース:3025mm
・エンジン:V型12気筒DOHC(4996cc)
・最高出力:280PS/5200rpm
・最大トルク:49.0kgm/4000rpm
※スペックはデュアルEMVパッケージ装着車(フロアシフト)のもの
初となるハイブリッドユニットを搭載した3代目!2020年代から大幅な進化を遂げる
2018年に21年ぶりのフルモデルチェンジしたセンチュリー(セダン)は、「継承と進化」をテーマに開発された。また、「匠の技」と「高品質のモノづくり」を継承しつつ、ハイブリッド化による高い環境性能とショーファーカーにふさわしい先進・快適装備が充実しているのが特徴だ。

デザインは、七宝文様や紗綾形崩し柄など、日本の美意識を感じさせるモチーフがエクステリア・インテリアに取り入れられている。

エンジンは、V型8気筒5.0リッター・ハイブリッド・システムを搭載。ショーファーカーに求められるスムーズで余裕のある走りと高い環境性能を両立している。

2023年には、初となるSUVタイプのセンチュリー(SUV)が登場。このモデルは、時代の期待に応える新しいショーファーカーを目指し、「The Chauffeur」をコンセプトに開発された。

この新しい形のセンチュリー(SUV)が誕生したのは、移動時間をより有効に活用し、車内で休憩したり、オンライン会議に参加したりするなど、ショーファーカーのニーズが多様化していることが背景にある。

デザインは、「威風凛然」をテーマに、日本の美意識を随所に散りばめ、センチュリーらしい独自の世界観を作り出している。

エンジンは、センチュリーにふさわしい静粛性と力強く爽快な走りを両立したV型6気筒3.5リッター・プラグイン・ハイブリッドシステムを搭載。

モーターとエンジンによる力強く爽快な加速性能により、ショーファーカーとしての側面だけでなく、ドライバーズカーとして自らハンドルを握ってドライブを楽しめる走行性能を実現している。

2025年には、トヨタの新プロジェクトとして「CENTURY(センチュリー)」をブランドとして独立させ、クーペスタイルの新しいコンセプトモデルを発表した。なお、詳細はジャパン・モビリティ・ショー2025で明らかとなる。

【3代目センチュリー(セダン)の主要スペック】
・全長:5335mm
・全幅:1930mm
・全高:1505mm
・車両重量:2370kg
・ホイールベース:3090mm
・駆動方式:後輪駆動(FR)
・エンジン:V型8気筒(4968cc)ハイブリッド
・最高出力:280kW(381PS)/6200rpm
・最大トルク:510Nm(52.0kgm)/4000rpm
・モーター最高出力:165kW(224PS)
・モーター最大トルク:300Nm(30.6kgm)

【3代目センチュリー(SUV)の主要スペック】
・全長:5205mm
・全幅:1990mm
・全高:1805mm
・車両重量:2570kg
・ホイールベース:2950mm
・駆動方式:E-Four Advanced(電気式4輪駆動方式)
・エンジン:V型6気筒(3456cc)プラグイン・ハイブリッド
・最高出力:193kW(262PS)/6000rpm
・最大トルク:335Nm(34.2kgm)/4600rpm
・フロントモーター最高出力:134kW(182PS)
・フロントモーター最大トルク:270Nm(27.5kgm)
・リアモーター最高出力:80kW(109PS)
・リアモーター最大トルク:169Nm(17.2kgm)

「トヨタ・センチュリー」から「CENTURY(センチュリー)」となった日本のショーファーカーは、究極のラグジュアリーを追求するブランドとして新たな一歩を踏み出した。
ラグジュアリーブランド「CENTURY(センチュリー)」として、どのような形で伝統を受け継ぎ、進化させていくのか、今後の展開が楽しみだ。

文=齊藤優太(ENGINE編集部)
(ENGINE Webオリジナル)