2025.12.06

CARS

26歳のZ世代の若者がなぜ昭和・平成のデートカーに夢中なのか その秘密は父親のアルバムのなかにあった

毎日1台ずつトミカを手渡されてクルマ好きの英才教育を受けていた白木さんは、3歳で自動車メーカーの名前が全部言えるくらいになっていたという。

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当時の雰囲気も再現

もうひとつのこだわりが、新車当時に思いを馳せた仕様に仕上げていること。トランクリッドから伸びる自動車電話用のアンテナから、スマホと接続できるように改造した車載テレビまで、ダミーや復刻ではない当時ものを使用している。リアのパーセルシェルフに取り付けられたケンウッドのスピーカーボックスに至っては、世代によっては胸熱なアイテム。これを見た人に「泣きそう」って言われたことがあるというが、その人の気持ちは痛いほどわかる。

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「当時ソアラは高額で、カスタマイズはせいぜいホイール交換くらいが多かったんじゃないかと思うんですよ。なので、車高を落としたりしないで乗ろう、って決めたんです」

その頃の状況まで考察した徹底ぶりには、ソアラへの愛とリスペクトだけでなく、愛するクルマを生んだ時代への憧憬が込められている。

「クルマもファッションも、その頃のものって個性的で、デジタルとアナログが混在したような、洗練と無骨さが共存しているような、右へならえじゃない感じに惹かれるんですよ。だから、その頃を体験できなかったぶん、そういうものを追いかけているのかもしれませんね」

機能面はどうだろうか。

「何が起きるかわからないと常に思って、気を付けています。以前、いつもより水温が上がるので、確認したらラジエーターの故障でした。交換したら、それからは問題ないです。あとは、購入してすぐに不調だったエアコンを修理したくらいですね」



また、定期的な交換が必要な消耗品も、あまり不自由していないとか。

「さすがにTEMS(電子制御サスペンション)みたいなものだと新品の交換部品は出てきませんが、台数が出たクルマだからか、ドライブシャフトのブーツなんかは普通にみつかりますし、価格も新車当時とたいして変わらないんですよ」

加えて、電気系などのシステムが複雑ないまどきのクルマと違って、手に負えないようなトラブルも起きないのが、旧車のいいところだと語る。

「部品さえあれば、大概のことは直せちゃいます。最近のクルマではそうはいきません。足グルマにしているプリウスで、カーナビ交換するのでカプラー外したら、エラーメッセージが出て、それを消すためだけにディーラーへ行く羽目になりました」

運命的に出合った愛車を眺めて、「子供の頃から憧れ続けた最終目標に、早くも到達しちゃいました」という白木さんだが、深い愛情を注がれるソアラもまた幸福。彼らがこれから共に重ねていく日々は、長くて甘いデートになりそうだ。

文=関耕一郎 写真=茂呂幸正

(ENGINE2025年11月号)

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