ヤフー・オークションに出品されていた7万円のエグザンティアを落札し、走り出す前に板金で70万円、部品代と整備で130万円、さらに動き出してからも修理に100万円以上をつぎ込んでいるエンジン編集部のウエダ。今回からはエグザンティアにまつわる、2度目の海外ひとり旅の模様をお届けしていく。
怪しい部品が手荷物でも通過できるのか?
さて以前にご説明した通り、今回の最初の目的地であるリトアニア・カウナスへは、日本からエグザンティア用の、左右一対のサスペンション・アッパーマウントを持っていく必要があった。

この部品をリビルドしているリトアニアの工房、 エラストマーEU(Elastomer.EU)は、すでにマウントそのものが生産を終え枯渇していることもあって、単体での販売は基本行っていない。ユーザーの手持ちのパーツと、リビルドした再生産品を交換する形を取っているため、下取りが必須なのである。
僕は幸い、主治医のカークラフトが保管していた部品取り車のエグザンティア・アクティバの、リポート車とまったく同じタイプの古いアッパーマウントを持っていたので、これを交換用に持参することにした。
問題はどうやってこれを運ぶか、である。普通にスーツケースに入れて預ける、というのはどうしても避けたかった。なにせ飛行機の乗り継ぎが中国とポーランドで2回もあるし、万一飛行機が遅延したり、預けた荷物がロストしたら、スケジュールがタイトだからかなり面倒なことになる。
リトアニア滞在時間は24時間もないから、後から無事届いてもまったく意味がない。ましてや万一失ったら、保障してもらおうにも、そうそう出てくる部品じゃない。お金には換えられないのだ!

アッパーマウントは左右ペアで2つ。1つでも片手で持ち続けるにはなかなか辛いくらい重い。が、幸い気候のいいシーズンでもあるので、着替えなど荷物を最低限に絞ると、2つまとめてハンドキャリー用の小さなスーツケースへ、タオルなどでぐるぐる巻きにしてもなんとか押し込むことができた。残る問題は、飛行機の手荷物検査で引っかかりそうな点である。
いちばんの懸念は中国・北京での乗り換えの時だったので、僕は念のため好事家が作ったウェブサイトから、このサスペンション・アッパーマウントの構造や、素材がスティールとゴムであることなど子細を記した頁をプリント・アウトし、一緒に持っていくことにした。記述は英語だが、僕が口で説明するよりもはるかにいいだろう。
ハイドローリック・シトロエンの使う緑色の球体、スフェアが手榴弾と間違えられて大騒ぎになったというニュースを聞いたことはないだろうか? スフェアのように圧がかかるものではないが、見た目は半球状だし黒いし、万一危険物扱いされても面倒である。どんな疑惑を持たれるかは分からないが、準備しておくにこしたことはない。この部品が安全であり、正体がなんなのか、正確に伝えるにはこうするしかない、と思ったのだ。