中国の検査官は厳しい!
案の定、成田空港では何も問題なかったのだが、中国・北京では入国するわけではなく、単純な乗り継ぎだけなのに、検査官にスーツケースをしっかり開けられた。当然、サスペンション・アッパーマウントは目を付けられてしまう。丁寧にくるんでおいたのに全部ひっぺがされ、手に取りじろじろと入念に確認がされる……。乗り継ぎ時間には余裕があるので焦りはしなかったが、それでも心中は穏やかではない。

中のLHMも完全に乾いているはずなので、液体が入っている! と文句を言われたりはしないはずだが、心拍数はぐんぐん上がる……。
幸い検査官の興味は、一緒に持っていったモバイル・バッテリーのほうにすぐ移った。規格マークがあったので僕は回収を免れたのだが、彼の後ろには山のように没収されたバッテリーが積まれていた。ひとたび引っかかれば、問答無用で回収されているようだ。くわばらくわばら。
遅い時間ということで北京空港内の店はほぼ開いておらず、ラウンジもなんと運悪くこの夜は閉鎖されていた。しかたなく人気のない、でも安全そうなところを探して仮眠を取る。硬い椅子のせいで身体中が痛くなったが、それでも少しだけ休めたな、と思った丁度その時、定刻通りポーランド行きの飛行機のアナウンスが流れた。
1年ぶりにポーランド・ワルシャワ空港に着いたのは早朝である。ここでのトランジットは短い。ファーストフード店で朝食を取るも、すぐ滑走路を歩かされ、小さな飛行機に乗り込む。この日3度目のフライトだ。リトアニア・ヴィルニュスまでは小一時間ほど。アジア系の乗客は、まわりにひとりもいない。

こうして僕は朝10時頃、リトアニア・ヴィルニュス空港に、無事サスペンション・アッパーマウントとともに降り立つことができたのだった!
そこは古めかしい建物と、小さなロータリーとバス乗り場だけがある、とても小さな小さなエアポートだった。
感覚的には神戸空港や小松空港くらいの規模感だろうか。近々オープンするという新しい空港施設が隣で建設中だったのだが、とても一国の首都の空港とは思えない長閑さである。
日差しは強く温度は高いが湿気がなく、ヨーロッパの夏らしい心地良い風が吹いている。
一年前のポーランドもそうだったけど、バスの行き先などに英語表示は一切見当たらず、目指すヴィルニュス駅までどのバスが向かうのかよく分からない。乗降口は1つしかないので迷いようがないのだが、行き先がそれぞれ異なるようだ。
いつもなら必ず確認をするのに、なぜかこのときの僕は気が緩んでいた。この旅の一番の関門だった2度の乗り継ぎを無事終えたせいもあったのだろう。バスの運転手に英語で「駅に行きますか?」と尋ねるとリトアニア語で返答があり、頷いたので安心して乗ってしまったのである。

走り出したバスは空港から一路市街へ向かう。ヴィルニュス駅から出る、カウナス駅までの日本から予約しておいた電車の出発時間には、十分間に合いそうだ。
だが、ふとGoogleマップを見ていて気がついたのである。明らかにバスのルートが変なのだ。ヴィルニュス駅への曲がり角をそのまま通り過ぎ、どんどん離れていくではないか!
焦ってバスの運転手に声をかけ、次の停留所で飛び降りたものの、ここからヴィルニュス駅まで歩いていては、電車に乗り遅れる! 訪問先の工房、エラストマーEUのチーフ・フューチャー・オフィサー、イルマンタス・ガリニス(Irmantas Galinis)さんが、カウナス駅で僕を待ってくれているというのに!
さて、どうしたものか。僕はすっかり高く登り、強く照りつけはじめた太陽のせいで大汗をかきつつ、アッパーマウントの入った重いスーツケースをガタゴト引きずって、石畳の道を早足で歩きはじめたのだった……。
■CITROEN XANTIA V-SX
シトロエン・エグザンティアV-SX
購入価格 7万円(板金を含む2024年5月時点までの支払い総額は309万6773円)
導入時期 2021年6月
走行距離 18万6761km(購入時15万8970km)
文と写真=上田純一郎(ENGINE編集部)
(ENGINE WEBオリジナル)
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