2025.12.30

CARS

海外でバスを乗り間違える!? ヤフオク7万円シトロエンの救世主に会えるのか?【東欧リトアニアでの珍道中】シトロエン・エグザンティア(1996年型)長期リポート#70

リトアニアの首都、ヴィルニュス空港に到着した直後に撮影した1枚。偶然撮っていたプジョー208を用いたカーシェアリング・サービス、Bolt(ボルト)の専用車両だ。まさかこのサービスをいきなり使うことになるとは……。

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ヤフー・オークションに出品されていた7万円のエグザンティアを落札し、走り出す前に板金で70万円、部品代と整備で130万円、さらに動き出してからも修理に100万円以上をつぎ込んでいるエンジン編集部のウエダ。今回はエグザンティアにまつわる部品を求めて向かった東欧のリトアニアで、なんとバスを乗り間違えてしまったお話。

このままでは電車に乗り遅れる!


ヴィルニュス駅行きではなかったバスを駆け降り、その場でiPhoneの地図アプリを開く。自分の居場所は、とりあえず分かった。でも、ここから歩いていたら、とうていヴィルニュスを出る電車の出発時刻には間に合わないことも、分かってしまった。……まずい。近代のハイドローリック・シトロエンたちの救世主ともいえる、サスペンション・アッパーマウントのスペシャリストが、約100km先のカウナスで僕を待っている。遅れるわけにはいかない。



そのとき思い出したのが、前回のワルシャワ訪問で何かと助けてくれたフランス車のポータル・サイト、francuskie.plのイェンドジェイ・フミレフスキ(Jedrzej Chmielewski)さんが、僕をレストランからホテルまで送り届けてくれた時に使っていたアプリだった。

東欧ではメジャーらしいその緑色のアイコンが目印のアプリの名は「Bolt(ボルト)」という。個人タクシーの配車やカー・シェアリングなど、様々なモビリティ関連のサービスだ。



日本でも近頃すっかりこの手の配車サービスはメジャーになったけど、この当時はまださほど認知がされていなかったと思う。海外ではクルマの所有者が気軽に副業としてはじめられるし、特にクレジット決済が一般的で、デジタライズが進んでいるポーランドやリトアニアでは、日本よりずっと普及が進んでいたのだ。

僕はBoltアプリをその場でiPhoneにインストール。カードと紐つけるのにやや手間取ったけれど、すぐに自分の位置を認識し、目的地をヴィルニュス駅と入れると、周囲の個人タクシーとドライバー情報がずらずらと現れた。

結局アプリを入れてから3分も経たないうちに配車予約へと進み、そこからクルマの到着まで、リアルタイムで接近情報が表示される。駅までは約2.9km。Boltアプリは残り約10分で到着すると告げている。おお、なんとかこれなら電車に間に合うはず!



やってきた気さくなドライバーの運転する、リトアニアで初めて乗る乗用車はシュコダだった。焦っていたので車種までちゃんと確認できなかったが、たぶんちょっと前のスパーブのワゴンだったと思う。フォルクスワーゲン・パサートの兄弟車だ。

運転手は(しゃべらなくても行き先は伝わっているし料金も分かっているのだけれど)僕のつたない英語をちゃんと理解し、Boltの示す時間通りにスパーブはヴィルニュス駅のバス乗り場へと滑り込んだ。

電車に乗ると伝えていたのだが、たまたま駅前広場が渋滞していたので乗り降りし易いところを、と気を遣ってくれたらしい。しかしバス乗り場から電車の改札まではちょっと離れており、僕はふたたびスーツケースをひっぱって走らなければならなかった。

駅の広場は目の前なのに、焦って「どっちが駅ですか?」と声を掛けてくる東洋人を、周囲はさぞ怪訝に思ったに違いない。でもヴィルニュスのひとびとは親切で、どこをどう行ってプラットフォームに向かうべきか、丁寧に教えてくれたのだった。

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