空冷フォルクスワーゲン(VW)を愛するオトーサンと車両トラブルなんて、なんのそのな素敵オクサン、そしてわんぱく兄弟。 家族みんなでクルマとともに日常生活を楽しむ。それが渡邉家のカーライフだ。
クルマ趣味はずっとワーゲン一筋
さわやかな風が吹き抜ける高台に建っているお宅が今回の目的地。軒先ではメルセデス・ベンツ220TEとVWビートル(タイプI)が出迎えてくれた。クルマの世界では、ほどよく使いこまれて良好な個体を「ランニングコンディション」などと言ったりするが、2台ともまさにそんな感じでいい歳のとり方をしていることがわかる。
家の主は渡邉淳さんだ。

「クルマ趣味はずっとVW一筋ですね。このタイプIの他にもVWを持っています。シャッターの中にタイプII(バス)のキャンパーがいるのと、あとはタイプIのドラッグレーサー。それは栃木の実家の作業場に置いてあります」
そういって渡邉さんが背の高いシャッターを一気に上げると、4つのタイヤが外され、車体を持ち上げられた状態の背の高いタイプIIが鎮座していたのだった。
「これはくたびれた個体を手に入れて、自分でコツコツと仕上げているところです。今はエンジンも下ろしてあって、ガレージの奥でオーバーホールしている最中。このガレージはもともと愛車をレストアするために作ったスペースなんです」

取材の前にこちらが思い描いていたのは、「ビートルとベンツのワゴンをさらりとお洒落に乗りこなすクルマ好き」といったところ。だが実際の渡邉さんは、VWにどっぷりと浸かったエンスージアストだった。
「TEはおもに妻のアシになっています。もともとドラッグレーサーを載せたトレーラーを牽引する目的で安いワゴンを探していたんです。でもTEは、リアにレベライザーが付いているので都合がよかったんです。実は最初のTEはぶつけられて廃車になってしまったので、これは2台目。年式もそれなりに古いし、28万kmも走っているのでちょっとしたトラブルと無縁ではないですけどね」
と渡邉さんが言うと、玄関から奥さんとふたりの息子さんが登場。
「このクルマに乗っていて、もう(トラブルには)慣れました。バッテリーが弱ってエンジンが掛からないことが度々あるので、ジャンプスタートは自分でやりますよ」
なんと! 奥さんも実に心強い渡邉家なのである。

ここでざっと情報を整理しておくと、渡邉さんは49歳で自動車メーカーに勤めるサラリーマン。一級建築士の資格を持っているので以前は住宅設計の仕事をしていたという。
ご自身も設計に関わったという現在のマイホームが完成したのは今から2年ほど前のこと。窓の位置からもわかるのだけれど、少し傾斜している土地を活かした変則3階建てのようなつくりになっている。
ガレージ部分は前述の通りシャッターが閉まる大きめのスペースと、あとは接道から向かって左側にビートルの車体を3分の2ほど入れておくことができる凹みがある。さらに家の前にはベンツのワゴンを停めておけるゆったりとしたスペースも確保されている。
渡邉さんとクルマの出会いは20歳の時、カルマンギアを所有したことがきっかけで、それからはVW趣味に没頭しているのだという。
「このタイプIは20代の前半に手に入れました。1968年式はテールランプが大きくなっていたりして、それ以前のモデルとはかたちが変わっているので、ビートルの世界ではそんなに人気があるわけではないんです。でもキャルルックが好きだから、色々といじりながら乗っていると飽きも来ませんね」

そんなVW好きのオトーサンに3歳と5歳のお子さんがいるとなれば、キャンピングカーが欲しくなるのは当然かもしれない。渡邉さんがレストア中のタイプIIは1969年式で、ドイツのウェストファリア社がキャンパーとして仕立てた個体になる。内外装とも年式相応にヤレてはいるが、その使い込まれた雰囲気を気に入っているという。
「ボディはこのままの状態にしておいて、エンジンとか走りに関する部分をしっかり仕上げようと思っています。エンジンは空冷だから(水回り等がなくて)いじりやすいんですよ。VWは他のヒストリックカーと比べたらパーツの入手も楽だし、リーズナブルなので助かります」