2026.02.28

CARS

国産初の“ミドシップ”という魔法の言葉に驚き、夢中になったひとも多いはず! 神奈川のトヨタ・ディーラーへとやって来た「MR2」の過去とは?【ノスタルジック2デイズ2026】

やはり“ミドシップ”はスポーツカーにあこがれた世代の心に響く魔法の言葉だ!

全ての画像を見る
1970〜80年代にスポーツカーにあこがれた世代には心に響く魔法の言葉があった。それが“レーシングカーにも使われる”とか“F1と同じ”などという言葉だ。自動車雑誌の誌面にいくどとなく登場したこの魔法の言葉、その最たるものが“ミドシップ”であったのではないだろうか?

トヨタ・ディーラーに運命を託された「MR2」!


古くはディスク・ブレーキ、ダブル・ウィッシュボーン、そしてDOHCなどが魔法の言葉であったが、1984年に衝撃が起きた。ついに国産車のミドシップ・モデルが登場した。初代「トヨタMR2」、AW11型である。現在のヒストリック・カーでも人気のモデルであり、高値で取引される初代「MR2」。普通に考えると、専門店や個人売買などで取引されることが多いのだが、ノスタルジック2デイズ2026で見かけたのは、なんとトヨタモビリティ神奈川のブースだったのだ。



ディーラーのブースにこの手のクルマが展示されることは珍しいので、ブースにいらしたトヨタモビリティ神奈川の担当者にお話をお聞きした。疑問に思ったのは、この「MR2」がどこからやってきたのか、という点だ。筆者の予想はディーラーの関係者が所有していた個体、もしくはディーラーマンがどこかで見つけ救出のために購入した……だったのだが、予想は大きく外れた。なんとこの「MR2」は下取りで入ってきた個体だという。

その担当者の話によれば、通常この年式のクルマであれば下取り価格は1000円にしかならないという。ディーラーとしては規定の査定条件でしか査定ができないのは仕方のないことだ、というのだ。しかし、さすがに価値のあるモデルだけにこの個体については下取り価格が1000円ということはなく、それなりの金額が示されたとのこと。とはいえ専門店に販売する価格よりは安かったと予想される。

それでもディーラーに、と希望したユーザーは「ここで下取ってもらうことでこのクルマがたどるであろう、その先の運命についての期待があったではないだろうか」と担当者の方は語った。「ゆえにディーラーとしては利益を得るために、このMR2をどこかの専門店に転売するようなことは決してできない」とも語ってくれた。その姿勢の表れが、今回のノスタルジック2デイズ2026への出品だったのかもしれない。



さて、初代「MR2」についてもう少し説明しておく。



トヨタは車両型式のなかにエンジン型式を入れ込むのが通常で、“AW11”という型式はA型エンジン。つまり、4A-GEが搭載されていることを示す。さらに詳しく説明するとスーパーチャージャー付きモデルは4A-GZE、SOHCモデルは3A-LU型エンジンを搭載し車両型式はAW10となる。



AW11型「MR2」のパワートレインは当時のE80系カローラのものが採用されている。この時代のカローラ、それも4A-GEエンジンを搭載しているといえば“AE86”が有名なので、なぜFRのカローラのパワートレインがミドシップの「MR2」に使われたのか? と不思議に思う方もいるだろう。じつはこの時代のカローラは2ドア・モデルがレビン(スプリンターはトレノ)としてFRモデルであったが、それ以外のカローラはFF化されていたのだ。そのFF用ユニットを車体後方に搭載し、ミドシップ化するレイアウトを採用した。こうした手法は「MR2」とそのシルエットが似ていることで知られる「フィアットX1/9(フィアット128のユニットを発展)」などでも使われており、珍しいことではない。

筆者は何度もAW11に乗った経験があるが、とにかく面白いクルマであったことが印象に残っている。当時はすでに後輪駆動のモデルは数を減らしていた。そうしたなかでミドシップというレーシング・カーと同じ駆動系レイアウトを持ったモデルはとてつもなく貴重であり、魅力にあふれるモデルであったのだ。



自然吸気モデルのATであってもそれなりの楽しさがあったが、やはりスーパーチャージャー・モデルは刺激が強かった。グロス145馬力(ネットだと120馬力程度だろう)のパワーは現在の基準から考えればそれほど高い値ではないが、当時のコンパクトなスポーツカーとしてはそれなりに高い数値。アクセルでクルマをコントロールする面白さや、ミドシップならではのピーキーな性格は今思い出しても新鮮なものだった。また、知人がスーパーチャージャー・モデルにターボを組み合わせたチューニング・カーを所有しており、大トルクで非常に面白かったことも記憶している。

文と写真=諸星陽一

(ENGINE Webオリジナル)
タグ:

advertisement



RELATED

advertisement