2026.03.28

CARS

【海外試乗】何かとてつもない乗り物を操っている フェラーリ849テスタロッサの異次元の速さと驚異的な安定感 エンジン編集部ムラカミが感じた底知れない凄さ

SF90の後継として、約30年ぶりに復活した「テスタロッサ」にエンジン編集部ムラカミが乗った!

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“FIVE”という名の新兵器

たとえば、4輪ともディスクとパッドのサイズが大型化されたブレーキには、バイ・ワイヤー・システムに加えて、予知制御機能を備えたABS Evoが導入された。次の瞬間にクルマの挙動がどうなるかを常に想定し、それに応じて4輪の制動力を適切に配分するシステムだ。

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これが正確に作動するためには、当然、正確な予知が必要で、それを司るのが、F80のために開発され、849にも導入された「フェラーリ・インテグレーテッド・ビークル・エスティメーター(FIVE)」と呼ばれる車体の動きの推定システムだ。加速度や6Dセンサーから得られる測定値を元にコンピューターが演算してデジタル上の双子を生成し、車速なら誤差時速1km未満、ヨーアングルなら誤差1度未満で、正確な推定値を導き出すことができるという。



フェラーリによれば、この新兵器によってもたらされたのは、サーキットのような限界域でのブレーキングの安定性の向上だけではない。マネッティーノ(ドライブモード・セレクト)の全ポジション、全てのグリップ状況で有効だというのだ。

そして、この新兵器の恩恵を受けているのは、むろんABS Evoだけではなく、トラクション・コントロールや電子制御ディファレンシャルのマネージメント、e4WDのトルク配分など、走りに関わる全ての電子制御システムが、FIVEによって精度を飛躍的に高めている。その結果、誰しもが自分でも気付かないくらい容易に、驚くような速さを手に入れられるようになったことが、849テスタロッサの進化のキモであるように私は思うのだ。

パフォーマンスの頂点

延々とコーナーが続く山岳地帯のワインディング・ロードを走りながら、どんな場面でも姿勢をまるで乱さず、サラリと駆け抜けてしまう849テスタロッサの異次元の速さと、にもかかわらず運転があまりにしやすいことに、何かとてつもない乗り物を操っているというヒリヒリした感覚が消えることはなかった。

実は、今回の試乗コースは4年前に296GTBの国際試乗会で走ったのとまったく同じだったのだが、あの時は、単純にファン・トゥ・ドライブな新時代のハイブリッド・ミドシップ・フェラーリの登場に、踊り出したくなるような気分で、山岳地帯を走り回ったのを覚えている。もちろん、296も私の運転技量など遥かに超えるくらいに速かったのだが、それでも走っていてフィット感というか、このあたりがグリップの限界かな、と察知できるようなクルマとの一体感を常に感じることが出来ていたような気がするのだ。

ところが、849テスタロッサはそうではなかった。後輪駆動と4WDという違いはあるが、それを差し引いても、この速さと安定感は別次元のものだとしか言いようがない。私にはどこに限界があるのか、まるで感じることさえできなかった。

アセット・フィオラノには、黒のアルカンターラが張られた軽量チューブラーシートが装備される。内張りが造形的に仕上げられたノーマルのコンフォートシートより18kg軽い。

アセット・フィオラノでは、ノーマル仕様のツインテールがツインウイングに換装される。また、足も強化され、ダンパーはマルチマティック社製の一発決めのものとなる。その他、フロントやアンダーボディの空力パーツにも変更が施され、車速250km /hで415kgのダウンフォースを発生するという。この日のサーキット用試乗車はチタン製ホイールにミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2の専用タイヤを履いていた。公道用のノーマル仕様は、ピレリPゼロRだった。

午後にアセット・フィオラノ仕様の849でサーキットを走って、その速さに決定的に打ちのめされた。インストラクターの乗る先導車に付いてコースインし、最初は慣熟走行だと言っていたのに、どんどん速度を上げていく。置いていかれるとコースが分からなくなるから、とにかく付いていくしかない。マネッティーノはレース、電気モーターを制御するeマネッティーノは最大限のパフォーマンスを発揮するクオリファイ・モードで走っていたが、私が運転している限りでは、電子制御のおかげか、まったく姿勢が乱れることはなく、ただただ安定したグリップ走行を重ねて、規定周回を終えた。

その後、インストラクターが運転する849の助手席に乗って再びコースへ。トラクションコントロールは全オフだ。もう驚いたのなんのって、コーナリング速度が段違いに速く、わずかなスロットル操作でお尻が滑り出すから、コーナーからの立ち上がりでは、常にカウンターを当てている。お見事、と言うしかない。

なるほど、この運転技量なくしては、849との一体感など感じようもないのか。フェラーリのパフォーマンスの頂点は、かくも高いのだ。

文=村上政(ENGINE編集部) 写真=フェラーリS.p.A.


■フェラーリ849 テスタロッサ

駆動方式 ミドシップ縦置きエンジン+電気モーター4WD
全長×全幅×全高 4718×1999×1225mm
ホイールベース 2650mm
車両乾燥重量 1570kg
パワートレイン形式 90度V8 ツインターボ+前2、後1 モーター
排気量/ボア×ストローク 3990cc /88×82mm
最高出力(システム総合) 830ps /7500rpm(1050ps)
最大トルク 842Nm/6500rpm
バッテリー容量(eDrive 航続距離) 7.45kWh(25km)
トランスミッション 8段DCT
サスペンション(前後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式カーボンセラミック・ディスク
タイヤ (前)265/35R20、(後)325/30R20
車両本体価格(税込み) 6465万円~

(ENGINE2026年4月号)
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