2019.08.06

CARS

ガチ試乗 トヨタGRスープラとBMW Z4による兄弟対決! 

スープラを語る上で欠くことができないのが兄弟車であるBMW Z4。クーペとオープンといったようにボディ形状は異なるけれど、購入を考えている人にとってはその違いは大いに気になるはずだ。弟スープラは兄BMWに負けていない。

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 800万円台と600万円台。値段の違いは?

村上 村上スープラとZ4の2台を並べて見ると同じディメンションを持ちながらも全然形が違っている。


大井 Z4のデザインはとてもプレーン。


村上 それに対して、スープラは「出るとこ出てます」といった抑揚のある形をしている。よくぞここまで作り分けをしたと感心する。


齋藤 インテリアでの大きな違いは、Z4はBMWがずっとやってきたドライバー中心思想の、すべてがドライバーのためにあるようなデザインなのに対し、スープラはセンターコンソールのところを完全に2つに分けていて、目的が違う2つの主役席みたいに作っているところ。


大井 Z4にはワンランク上の高級感がある。LEDのイルミネーションをはじめ、800万円するラグジュアリー・スポーツカーとしてのデコレーションができている。


齋藤 ETCもスープラは一般的な市販品だけど、BMWはルーム・ミラーに差し込むタイプ。ちなみに、ホーンもスープラはシングルだけど、BMWはタンデム。よく見るとドライビング・モードといった制御の項目や可変項目も少ない。


新井 両車を比べると「コストダウンはこうやるんだな」というのがよくわかります。スープラは液晶メーターの表示も簡素化されていますし。


大井 途中まで頑張り過ぎちゃって、帰りの電車賃がなくなっちゃったってパターン?(笑)


上田 でもそのおかげでZ4よりも150万円近く安いわけですから。買う側としては有り難いですよね。


大井 でも走りの性能はZ4以上!


村上 僕なんかまったく気にならなかったばかりか、日本車でもBMWの力を借りるとこんなに高級になるんだと逆にビックリしたくらい。86やマツダ・ロードスターと比べたらこの内装は相当高級だよ。


新井 BMWより安くしつつも、十分高級に見えるところがスゴイって感心しているんです。


村上 確かに最初にスープラに乗ったとき、日本車にしては大人っぽい高級なクルマだなと思ったんだけど、そこからZ4に乗り換えると、本家の大人はもっと大人なんだと思った。パッケージは同じ作りのはずなのに、Z4の方が全体的にリラックスできるというか、余裕がある。


齋藤 単純に大人っぽければいいわけではないけどね。同じようなデザイン・テーマで、同じようなものを目指しているのに、大人っぽいのと子供っぽいのではシャレにならないけど、元々考え方の違うものとして作っているからいいんじゃない。



■BMW Z4 M40i


■トヨタ GRスープラRZ

[インテリア]



[メーター]



[シート]




スープラの方が断然スポーティ

村上 その見た目の違いが乗り味にも出ていた。


大井 スープラは座った瞬間から「走るぞ!」という感覚に溢れる。


村上 そして実際に乗ってみると同じパワートレインでも、断然スープラの方がスポーツカー感が強い。それに対して、Z4はハンドリング自体が懐が深くて大人な感じだ。


齋藤 3ヵ月前のオープンカー特集で卸したてのZ4に乗った時は、本当に見事に統一感があって、とりあえず文句言うところもなくてお見事と思った。ところが今回、フルウェットの滑りやすい状態で乗ったら、Z4もドライで乗った時よりも印象が良くなくて、ステアリングの中心付近でゲインが急に立ち上がってちょっと神経質で、そういうところでリラックスしようとダンパーを緩めてもバネレートがけっこう硬い。Z4は大人なセッティングとはいえ、スープラと同じディメンションからくる隠しきれない素性が出てきちゃうことがわかった。


大井 ただコンディションが良い路面だとスープラよりロールがしっかり出て、その分、穏やかさがあった。


齋藤 クルマの挙動が大きく出るようなところだといいんだけどね。


大井 やっぱりホイールベースを短くし過ぎたんじゃないの(笑)。


齋藤 ステアリングの中心付近は遅いギア比の方がいいと思うな。


村上 でもFRであれだけ雨が降っている中でまったく不安感なく走っているんだから。


新井 乗り心地はZ4よりもスープラの方がいいと思いました。


大井 柔らかいというか、脚がよく動く感じはボディ形状の違いもあると思うけどね。(新井)ただ、ラグジュアリー・カーとして乗ろうと思う人にとってZ4は硬すぎますよね。


齋藤 M40iだから。安楽を求めるなら4発の方がいい。


ポルシェより出来がいいかも!?

大井 この価格帯のクルマはどんどん少なくなっているから、Z4もスープラも作り続ける価値はある。


新井 メルセデスSLCもアウディTTも終了しますからね。


村上 そういう中でこの2台が新型として世に出たのは本当によかった。


大井 どっちも世界的に見れば、スポーツカーとしてはメッチャ安い。まだまだそういうマーケットはある。


村上 創業者利得じゃないけど先にツバを付けた人の利益というのがあるでしょ。そのちょうど裏返しに残存者利得というのがあって、それでもなおスポーツカーを作り続けたことによってその人たちが利益を得る可能性は十分にあると思うよ。


大井 絶対にニーズはある。


村上 豊田章男さんが社長をやっている限り、トヨタはこのスポーツカー路線を続けるでしょ。


上田 それにしても、乗り比べてみると2台は想像していた以上に違うクルマでしたね。


村上 どっちがいいかと言われると、お好きな方をどうぞって感じだよな。サーキットを走る人はどう考えたってスープラを買うだろうし、もっとリラックスして走りたい人は屋根開きのZ4がいいと思うよ。オープンカーとしてのレベルは相当高い。


齋藤 スカットル・シェイクなんか事実上ないからね。


村上 ケイマン・ボクスター兄弟と、このZ4・スープラ兄弟を比べると、もしかしたらZ4・スープラ兄弟の方が出来がいいかもしれない。


齋藤 しかも、Z4とスープラの兄弟同士で比べても、スープラがZ4に全然負けていない。


新井 2台とも出来が良くて、しかもキャラクターが絶妙に異なっている。いっそ、Z4とスープラを2台持ちするというのはどうですか? 2台買って違いをじっくり比較してみるとか。


上田 そんな酔狂なことを考えるのは新井さんくらいですよ。


話す人=村上 政+齋藤浩之+新井一樹+上田純一郎(以上ENGINE編集部)+大井貴之 写真=郡 大二郎


BMW Z4 M40i


駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動全長×全幅×全高 4335×1865×1305㎜ホイールベース 2470㎜トレッド 前/後 1595/1590㎜車両重量(車検証記載前後重量) 1570㎏(前800㎏:後770㎏)エンジン形式 直列6気筒DOHC24V直噴ターボ総排気量 2997ccボア×ストローク 82.0×94.6㎜最高出力 340ps/5000rpm最大トルク 51.0kgm/1600-4500rpm変速機 8段ATサスペンション形式 前/後 ストラット式/マルチリンク式ブレーキ 前後 通気冷却式ディスクタイヤ 前/後 255/35ZR19 96Y/275/35ZR19 100Y車両価格(税込) 835.0万円

トヨタ GRスープラ RZ


駆動方式 フロント縦置きエンジン後輪駆動全長×全幅×全高 4380×1865×1290㎜ホイールベース 2470㎜トレッド 前/後 1595/1590㎜車両重量(車検証記載前後重量) 1520 ㎏(前780 ㎏:後740 ㎏)エンジン形式 直列6気筒DOHC24V直噴ターボ総排気量 2997ccボア×ストローク 82.0×94.6㎜最高出力 340ps/5000rpm最大トルク 51.0kgm/1600-4500rpm変速機 8段ATサスペンション形式 前/後 ストラット式/マルチリンク式ブレーキ 前後 通気冷却式ディスクタイヤ 前/後 255/35ZR19 96Y/275/35ZR19 100Y車両価格(税込) 690.0万円

 

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