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1950年代後半、ヨーロッパ各地で市販乗用車によるツーリングカー選手権が盛り上がりをみせ、その結果がセールスに大きな影響を及ぼすようになると、各メーカーは有力なレーシング・コンストラクターとのコラボレーションを開始。フィアットはアバルト、ミニ(BMC)はクーパーと組んでスポーティ・グレードを開発し、市場に投入する。その頃のフォードはアメリカの自動車メーカー間で締結された紳士協定に則り、一切のモータースポーツ活動を休止していたが、フォード部門のジェネラル・マネージャーであったリー・アイアコッカの強い働きかけで1962年6月にモータースポーツへの本格参入を宣言する。そこでフォードの子会社であるイギリス・フォードがパートナーに選んだのが、新進気鋭のレーシング・コンストラクターであり、スポーツカー・メーカーであるロータスだった。
彼らは多額の資金援助と引き換えに、新型小型車コーティナのスポーティ・バージョンの開発を依頼。フォード製のOHVエンジンをベースに、チューナーのコスワースの協力を得て開発したロータス・ツインカム・エンジンを搭載したロータス・コーティナは、ツーリングカー・レースを席巻する大成功を収めることとなる。また、時を同じくしてフォードとロータスはインディ500制覇に向けたプロジェクトも始動。1965年に見事その目標を達成する。ではなぜフォードはロータスではなくフェラーリ買収に動いたのか?
それは1949年の初優勝以来、54年、58年、60年、61年、62年(その後65年まで連勝)と買収交渉を行った時点で、フェラーリほどル・マンの総合優勝に近いコンストラクターは他になかった(水面下でフェラーリ側からフォードに買収を持ちかけたという話もある)からだ。しかし1963年5月に買収交渉が決裂すると、フォードはインディカー用のV8エンジンを活用した自社製のレーシングカー開発を決断。すぐさまイギリスに専門の子会社を設立する。そのマネージャーに任命されたジョン・ワイアは、アストン・マーティン・ワークスのマネージャーとして、59年のル・マン優勝に貢献した経歴の持ち主であった。その時の優勝ドライバーの1人は、あのキャロル・シェルビー。ワイアがマネージャーに就任したのは、すでにシェルビー・コブラでフォードと繋がりのあったシェルビーによる推薦であったといわれる(ちなみにワイアは後に自身のレーシングチームを設立。ガルフ石油のスポンサードを受け、68年と69年のル・マン24時間をGT40で制覇。さらに70年からはポルシェのワークスチームとなり917Kでチャンピオンシップを席巻することになる)。
フォードがわざわざイギリスに拠点を設立したのには理由があった。それは自身で一から車体を設計するのではなく、イギリスのレーシング・コンストラクターと提携し共同開発するという、フォードらしい合理的かつ手堅い方法を選択したからだ。選考の結果、1963年6月に候補をクーパー、ローラ、ロータスの3社に絞りコンタクトを開始するのだが、最終的に選んだのは1958年に設立されたばかりのローラだった。この時、ロータスはV8を搭載したミッドシップ・レーシングカーのスケッチまで用意しフォードの面々を迎えているのだが、すでにインディやF1で活躍していたロータスに、総合優勝を狙えるル・マン・カーまで開発するキャパシティがないのは自明の理であった。しかしながら、後にこの時のスケッチはロータス・ヨーロッパとして結実し、フォードとの関係は稀代のF1エンジン、コスワースDFVを生み出すこととなる。
話が少々逸れてしまったが、フォードがローラを選んだのは、彼らが63年1月のロンドン・レーシングカー・ショーで、フォード・フェアレーンのV8エンジンを搭載したミッドシップのプロトタイプ・レーシングカーであるローラMk6を発表していたことが大きい。フォードは63年7月にローラと提携を結ぶと2台のMk6を購入し徹底的にテスト。ローラの創設者でデザイナーのエリック・ブロードレイも開発チームに合流し、早くも64年3月末にはGT40の1号車が完成した。以降、GT40の開発とレース活動はイギリスの子会社、FAV(フォード・アドバンスド・ヴィークルズ)が主体となって行われるのだが、一発の速さは見せるものの、熟成不足と頻発するメカニカル・トラブルに悩まされ、デビューイヤーの64年シーズンは期待された結果を残すことができずに終わってしまった。そこでシーズン後にフォードが白羽の矢を立てたのが、すでにGTの世界選手権でフェラーリ250GTO相手にコブラでチャンピオン争いを繰り広げていた、キャロル・シェルビー率いるシェルビー・アメリカンだった。これを機にFAVはマシンの製造、開発に専念することとなり、ワークスのレース活動はシェルビーに一任されることとなる。
文=藤原よしお 写真=Ford Motor Company
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