2020.09.01

CARS

自動車ジャーナリストの桂伸一さんがニュル24時間レースで知ったアストンの神髄とは

これまで出会ったクルマの中で、もっとも印象に残っている1台は何か? クルマが私たちの人生にもたらしてくれたものについて考える企画「わが人生のクルマのクルマ」。自動車ジャーナリストの桂伸一さんが選んだのは、「アストン・マーティン V8ヴァンテージ」。ニュルブルクリンク24時間レースでもドライブした V8ヴァンテージはクルマの出来の良さだけでなく、 ヒト付き合いや常識を教えてくれた貴重な1台だ。

人とクルマの両方で深い絆を得た

“国が、道が、クルマをつくる”という名言どおり、アウトバーンを含む超高速走行とハンドリングを重視するドイツ勢のクルマづくりは誰にでも良さがわかりやすい。

私が愛車にしたドイツ生まれの中で印象深いのは、のちに名車の称号を受けるメルセデス・ベンツ190E。1980年代中盤に日本デビューした当初は、ベーシック・モデルの動力性能は乏しかったものの、同クラス・セダンとの比較テストなどで乗る度に、そのデキの違いに惚れ込んだ。

金庫の扉のように重いドアの開閉感と気密性。つくり込みによるボディ剛性感の高さやフロアの張りの強さも格別だった。走れば轍などの影響を受けない懐の深い直進性に唸った。


上にはEクラスとSクラスがあり末弟の小ベンツといじられたものの、その質実剛健さはそれらと同様で、時代と共にコンパクトである事が受けた。売価を気にせず開発コストが掛けられるという贅沢が許されたというのは開発当事者から聞いた本当の話。

クルマづくりの基礎、操縦安定性と、質感も含めてクルマを評価するうえでひとつの指針になった。

でもね!これが“人生のクルマのクルマか”!?と考えると少し違う。やはりクルマにはスタイリングの美しさとか華麗な雰囲気をもつ事が個人的に拘る重要な要素である。

その意味で、そこに佇むだけでオーラがあり、走れば目で追う存在のそれこそが印象に残るクルマ。と考えると、クルマそのものと国を越えたヒトの付き合い方や世界の常識を教えてくれた、あらゆる意味で人生を変えた1台は、2008年のアストン・マーティンV8ヴァンテージかも知れない。

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