2020.08.17

CARS

フルブレーキングを繰り返しても、エンジンをブンブン回し続けても音を上げなかった33年前のBMW 菰田潔さんの自動車評論家人生を変えた名車とは

自動車ジャーナリストの菰田潔さん

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そもそもタイヤのテスト・ドライバーだったこともあり、テスト・コースでの曲芸のような運転は朝飯前だった。それでも限界を超えるような状況でのコントロールのしやすさは、これまでの経験上知っているクルマとは別次元に感じた。

ブレーキを担当したのはブライテンブッフで、ABSの回路をカットして緊急ブレーキの練習をした。一番難しかったのはABS無しでの障害物回避だった。最終的にはABSが効く状態でそのありがたみを体験できるカリキュラムだったが、当時はABSの標準装着がボチボチ始まったころで、日本車は装備してないクルマが多かった時代だ。

ギュービッツは180度リバース・ターンを担当。2日目は360度ターン、ジムカーナのようなタイムアタックをやった。

2日間酷使しても325iは最初に乗った印象と変わらず、そのタフさ加減にも驚いた。あれだけ何回もフル・ブレーキを繰り返していても、ペダル・フィールが変わらないし、エンジンをあれだけブンブン回しても音を上げないのも凄いと思った。

実に新鮮な体験のあとに、日本でBMWドライバー・トレーニングを開催するに当たってインストラクターをやってくれないかと声がかかった。アルトーネンが推してくれたと後から聞いたが、それ以降筆者は彼を師匠と崇めている。

翌年は3人の日本人インストラクターのトレーニングのために、BMWジャパンの社員、ディーラーのセールスマン、BMWクラブジャパンの会員向けに練習開催をした。そして日本で正式にBMWドライバー・トレーニングを開始したのが1989年からだ。しばらくはE30で開催していたが、E36、E46、E90と歴代の3シリーズを使ってトレーニングを続けて30年が過ぎた。

BMWドライバー・トレーニングのインストラクターになって、BMWの良さを深く知るようになると、プライベート・カーもBMWに乗るようになった。最初はE30の320i、4ドアの右ハンドルATである。この当時は2ドア、4ドア、右ハンドル、左ハンドル、AT、MTが全部選べたいい時代だった。

E30の3シリーズに出会ったことで、クルマの評価の仕方も大きく変わったことは間違いない。

文=菰田 潔(自動車ジャーナリスト)



(ENGINE2020年7・8月合併号)

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