2021.12.23

CARS

ジャガーXJとトヨタ・ソアラの2台持ち 乗り継いできたクルマのすべてに家族のストーリーがある


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センチュリーから乗り換えたのはフィアット・ムルティプラ(2003)だ。

「理由はルックスと希少性ですね」

そう答えたのは息子さん。父親譲りのクルマ好きである。

「買い替えた理由は息子の言う通りかもしれません。両親を乗せて6人で旅行をした思い出があります。センチュリーに乗り慣れた娘に“高速道路ってつなぎ目があるんだね”と言われました」

ムルティプラからシトロエンC6(2007)へ。

「エンジン・ホット100で1位になったクルマですからね。リア・ウィンドウの独特な形状も好きでした。ただ、ハイドロニューマチックの乗り心地はセンチュリーに及ばなかった。1年後に安いメルセデス・ベンツSクラスに買い替えました」

10年落ちのSクラスはそれなりに手がかかったという。

「そうしたら、今度は軽だと言うんです。もちろん、反対しました」

息子さんはもちろん家族全員の反対を押し切ってSクラスから乗り換えたのは、日産モコ(2007)。

「Sクラスは手がかかり過ぎるのと、日本の文化を味わうべきだと思ったんです」

そしてクラウンを増車

モコはトヨタ・ランドクルーザー(2015)に代わり、ランドクルーザーから乗り換えたのが、写真のジャガーXJである。



「基本的に優雅なクルマが好きなんです。それと日本車、アメリカ車、ドイツ車、イタリア車、フランス車には乗った。では、イギリス車に乗ろうと。低く長いシルエットはいつ見ても美しいと感じます。クルマを停めて歩き出したときに、振り返らせる魅力がありますね。ゆったりとした乗り心地は、昔乗っていたキャデラックを彷彿させます」

トヨタ・ソアラは奥さんのお父さんが買ったクルマで、高齢になった義父に代わり佐手さんが動かすことが多くなった。

「自然吸気4.3リッターV8のスムーズな吹き上がり、そしてオープン時の開放感がいいですね」

トヨタ・クラウン・ハイブリッドは「まったく気を使わないことと、東京~軽井沢の燃費が14km/リッターなのがいい」と佐手さん。

佐手さんはトヨタ・クラウン・ハイブリッド(2010)を2019年の秋に増車した。

「高齢な両親がいますので、何かあったときに問題なく駆け付けられるクルマが必要だったんです」

とりとめのないような佐手さんのクルマ遍歴だが、ブレないことがひとつあると思った。それは家族だ。

佐手さんがクルマを買い替えると、新しいクルマに名前を付けるために家族会議が開かれるという。ジャガーXJは「シャルロッテ南」、トヨタ・ソアラは「サリーちゃん」になった。

どのクルマにも家族みんなで出かけたスナップ写真がある。佐手さんは自身を「少ない予算で自動車生活を楽しむ中古車派」だと言う。佐手さんにとっての楽しい自動車生活とは、自分というよりも家族が楽しむ自動車生活なのだろう。

インタビュー中にコーヒーをいれてくれた奥さん、聞き耳を立てていたお嬢さん、そして会話に参加した息子さん。彼らの笑顔がそれを物語っていた。こんな家族が乗るクルマも幸せである。

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

(2021年2・3月合併号)

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