ミニのSUV版、クロスオーバーがフェイスリフト(=マイナーチェンジ)。規模はそれほど大きくはないものの。内外装のデザイン変更を中心に改良された。そんな新しくなったチョット大きな(いや、かなりかも……)背高ミニに、従来モデルをはじめ歴代のミニを何台も所有した女性モータージャーナリストの竹岡 圭さんが試乗。乗ったのは、最近注目度がドンドン高まっている電動化モデル、プラグイン・ハイブリッド・モデル(PHEV)のクーパーS Eハイブリッド。その印象を、竹岡さんとミニとの思い出話とともにを紹介する。
そうですか~。私にミニのこと聞きますか(笑)。間違いなく日本でいちばんミニに乗っているモータージャーナリストだと思いますが、大丈夫ですか~? 褒めまくりますよ~と、この原稿依頼をいただいた時に、ひとりでほくそ笑んでしまいました。
というのもですね。何を隠そう2003年から「R50」(BMW世代になって最初=初代の3ドア)→「R56」(2代目3ドア)→「F55」(2代目ベースの、クラシック・ミニの時代から数えてもMINI史上初の5ドア)→「F60」(現行フェイスリフト前のクロスオーバー)と、4台もMINIを乗り継いできているんです。
こう書くとね「もらってるんじゃないの?」とか「借りてるんじゃないの?」とか言う人もたまにいるんですけど、全部自腹で愛車として購入しております! なんたって、新車をローン組んで買ったのだって、MINIが最初だったりするくらいですからね。筋金入りです(笑)。
もちろんミニの次にミニを買うのって、正直抵抗ありました。こういうお仕事をしているので、なおさら。でも、その時にいちばんピッタリきたのが、たまたまミニだったので乗り継いできただけなんですよね。
4台の中でも、走行距離がいちばん多かったのが、私の中では4代目となる従来型のクロスオーバーなのです。それだけ利便性が高く、機動力が高い証だと思ってください。ちなみに私のはディーゼル・エンジン・モデルですけどね。
実は発売当初は、ディーゼル・エンジンのラインアップしかなく、PHEVモデルは後から加わったので、私が購入した時、PHEVの「S E」はまだ存在しなかったんですよ。なので、正直なこと言いますと、初めてS Eに乗った時「あぁ~、同時に出てたら、もしかしたらこっち買った可能性もあるなぁ~」と、思っちゃったくらいよかったんですよね。中間加速の時に、ディーゼルはちょっとしたタイムラグがあるんですが、S Eはそこをモーターがフォローするので、よりダイレクト感が高く、思ったままに操れるミニらしいドライブが楽しめたんですよ。そして今回試乗したのは、そのフェイスリフト後のモデルですから、もはや悪いわけがない(笑)。
というのも、ミニのマイナーチェンジは間違い探しゲームくらいのレベルで、「マニアにしかわからない」とからかわれるくらいわかりにくい変化が多いんですが、しかも今回のフェイスリフトでは、S Eモデルがほかのグレードよりもさらに変更が少ない。例えば、わかりやすいところで言いますと、他のクロスオーバーはシフトレバーが変わったんですけど、SEはそのままだったりとか…って、すみません。分かり難いか…(汗)。もはやマニアの話でしたね。
そんな話はさておき、クロスオーバーがどんなクルマかと言いますと、プラットフォームを現行型のBMW・X1&X2やミニ・クラブマンと共有しておりまして、ミニの中ではいちばん大きなモデルとなります。そのせいで「こんなに大きくなったら、もはやミニじゃない」とか言われることも多いのですが、そんなのはまったく余計なお世話(笑)。ミニの心を持ったクロスオーバーSUVとして、ものすごくイイトコロを突いたクルマなんです。
例えば、数ある輸入車SUVの中でもボディのサイズ感が、大きすぎず小さすぎずで絶妙。全高が1.6mなので、立体駐車場には入りませんが、たぶんルーフレールで50mmくらい稼いでいる気がするので重心は低め、中でもS Eはボディの下の方に電池を搭載していて、さらに重心が下がっているため、高速道路はドイツ車っぽくビシッと真っすぐ走ってくれます。また、ミニの中では一番脚のストローク感があり、乗り心地もしなやかにまとめられているため疲れ知らず。頭上空間が開けているためか、開放感もなかなかに高く、なんだかどこまでも遠く行けてしまう気持ちになるクルマなんです。実際に遠くに行ってもEVじゃなくPHEVだから安心。
もちろん、ミニらしくコーナリングも得意分野。ひとたびワインディング・ロードに向かえば、オン・ザ・レール感覚のカチッとした走りで楽しませてくれるし、4WDなので、そこそこの悪路もクリアできちゃう頼もしさ。悪路を「どれくらい走ったかメーター」なんていうおふざけが付いているところなんかは、さすがミニの真骨頂。真面目にふざけているのがミニが痛快に楽しいところなんです。
だからユーティリティも抜かりなし。バック・ドアをリア・バンパーの下に足を入れるキッキング・モーションで開閉できたり、オプションでラゲッジ・ルームに簡易ベンチなんかも取り付けられちゃったりして、もはや一緒に遊ぼうと誘われてるペットの感じ。だからミニの世界に一度ハマると、なかなか抜けられないんですよねぇ……。トホホに楽しい毎日が待ってること請け合いです。
文=竹岡 圭
■ミニ・クーパーS E クロスオーバー
駆動方式 フロント横置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4315×1820×1595mm
ホイールベース 2670mm
トレッド(前/後) 1563/1565mm(欧州仕様値)
車両重量 1770kg
エンジン形式 直列3気筒DOHC12V直噴ターボ+交流同期電動型
総排気量 1498cc
ボア×ストローク 82.0×94.6mm
エンジン最高出力 136ps/4000rpm
エンジン最大トルク 200Nm/1300-4300rpm
モーター最高出力 88ps/4000rpm
モーター最大トルク 165Nm/3000rpm
システム総合最高出力 224ps/-rpm
システム総合最大トルク 385Nm/-rpm
変速機 6段AT
サスペンション形式(前/後) ストラット式/マルチリンク式
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
タイヤ(前/後) 255/50R18
車両価格(税込) 510万円
無料メールマガジン会員に登録すると、
続きをお読みいただけます。
無料のメールマガジン会員に登録すると、
すべての記事が制限なく閲覧でき、記事の保存機能などがご利用いただけます。
advertisement
PR | 2025.02.07
CARS
モータージャーナリストの島下泰久さんと、ルノー・アルカナ・エスプリ…
2025.02.09
WATCHES
アンダー100万円の新作・注目作の時計4本! フォージドカーボンの…
PR | 2025.02.07
LIFESTYLE
フランスの香り漂う――。エティアムの人気モデルに、麗しきゴートレザ…
2025.02.02
CARS
車重2.5tの巨体がワインディングで気持ち良く走る驚きのロールス!…
2025.01.25
LIFESTYLE
まるで南国リゾートのような家 東京の自宅の隣にローコストで別荘を建…
PR | 2025.01.24
CARS
42台のそれぞれのディスカバリー物語【誕生35周年企画「私のディス…
advertisement
2025.02.14
「私なら門前払い」 ホンダと日産の経営統合破談会見を見て、国沢光宏氏(モータージャーナリスト)は何を思ったか
2025.02.10
ホンダと日産の統合への協議破談で日産の将来はどうなるのか? モータージャーナリストの国沢光宏氏が考察する
2025.02.20
なぜ従来型のオーナーは悩み、悔しがるのか? マイナーチェンジで新しくなった三菱アウトランダーを公道で試乗した
2025.02.14
やはり難しかったか 第一報から2カ月弱、ホンダと日産の経営統合への話し合いの中止が正式決定
2025.02.11
ホンダも実は厳しい!? 日産との経営統合協議破談でホンダの未来はどうなるのか? モータージャーナリストの国沢光宏氏が考察する