2021.07.04

LIFESTYLE

いま憧れの山小屋暮らし! たった37平方メートルなのに、なぜこんなに魅力的なのか? 建築家が自分のために立てたフィアット・パンダみたいな家とは

建築家の鹿嶌信哉さんと佐藤文さんが森に建てた「森の小屋」

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雑誌『エンジン』の大人気連載企画「マイカー&マイハウス クルマと暮らす理想の住まいを求めて」。今回は、建築家の鹿嶌信哉さんと佐藤文さんが森に建てた「小屋」を紹介する。1LDKのマンション程度の、たったの37平方メートルしかない小さな小屋だが、そこには小さいゆえの楽しさがあった。毎回ワクワクするような建築を見つけて取材しているデザイン・プロデューサーのジョースズキ氏がリポートする。

別荘ではなく、小屋

建築事務所K+Sアーキテクツを主宰する、鹿嶌信哉さんと佐藤文さんのカップルが軽井沢の外れの森に建てた小屋。取材に際して、「別荘でなくて、小屋ですから」と念押しをされた。調べてみると、室内の床面積は37平方メートルしかない。1LDKのマンションほどの広さだ。なるほど、それなら「別荘」でなく「小屋」に違いないと思ったが……訪れてみて少々予想を裏切られた。想像よりも随分と立派なのだ。それは隣に並んだ18年落ちの小さなフィアット・パンダ(2003年製)のせいでもある。新築の建物はどうしても豪華に見えてしまう。もっともこの小屋は、高さ7mと普通の家の2階分。屋内も高いところで4mを超え、広々としている。マンションの37平方メートルとは大違いだ。建築家が自分たちのために自由に設計すると、相当に魅力的な建物になると感心しつつも、どうして二人は小屋と呼ぶのか。その点に興味が湧いた。

パンダが置かれた円形に木材が埋められたスペースは、木々が茂っても太陽がさすこの土地の中心的な場所。建物は凝った造形で、見えない下面も仕上げる拘りよう。

勝手な話だが、フィアット・パンダが建物になったら理想の小屋になると筆者は考えている。パンダは小さく質素で不便な部分もあるが、それでも十分実用的。しかも高級車にはない楽しさがある。多くのクルマ好きは、そのことを理解してくれることと思う。同じように小屋には、大きく豪華な別荘にはない魅力がある。あのル・コルビュジエも、晩年は12平方メートルにも満たない小屋を海辺に建てて暮らした。都会の生活を忘れ、景色の良い場所に自由に小屋を建て、のんびり過ごすのは最高だろう。そう考える人は増えており、近年小屋の人気は高いようだ。

さて、鹿嶌さんたちの森の小屋が建ったのは、昨年2月のこと。コロナ騒動の前だ。今では二拠点生活への関心が高く、軽井沢はちょっとしたブームになっている。だがこの小屋は、そんな事が起こる前から計画されていた。

因みに鹿嶌さんは、これまで小誌に何度も登場している、パンダとマセラティ・クアトロポルテ(2001年型)の2台持ち。クアトロポルテは、病院などの堅いクライアントとの打ち合わせには良いが、現場に行くには支障がある時も。そこで足グルマとしてやってきたのが、今乗っているパンダだ。仕事以外に、道具を積んでキャンプに出掛ける際にも活躍していた。

高いところで4mを超える広間の天井。南と東に大きな窓が配されており、ここからの景色が床面積以上に広さを感じさせる。窓は大きいが、念入りに施された断熱処理のお陰で冬は暖かく、夏も涼しい。室内には必要最低限のモノしか置かれていないが、テント生活と比べるとプチ贅沢感が。カーテンも、必要に応じて付けられる。テラスと広間を隔てるガラスの引き戸は、戸袋の中に全て隠せる配慮も。イタリアングレイハウンドの名前は、シャマルとカリフ。鹿嶌さんのマセラティ愛が窺える。
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