2021.08.20

CARS

ヤフオクで手に入れたちょっと古いゲレンデヴァーゲンに20年! メルセデス・ベンツG280カブリオレに乗る山内龍介さん

ヤフオクで落札したゲレンデヴァーゲンに20年。壊れたら直すを繰り返しながら23万kmを過ごす山内龍介さんにとって、クルマは道具であり家族だった。

1987年式の幌屋根ショート・ボディ

漆黒のゲレンデヴァーゲンがやってくる。ガチッとした大柄なボディは、いつ見ても陸の王者という感じがする。待ち合わせ場所である公園の駐車場に威風堂々と入ってきた。

高い座席から降り立ったのは、クルマのイメージとはまったく異なる柔らかい雰囲気の山内龍介さん。アウトドア・ハットとウェリントン・メガネがよく似合っている。そんな優しい感じの山内さんに続き、奥様の睦子さんが愛犬2匹を連れて出てくると、辺りはアットホームなムードに包まれ、ゲレンデヴァーゲンのいかついオーラはフッと消えた。

「このゲレンデは1987年式の幌屋根ショート・ボディで、2000年に購入しました」

大きなステアリング・ホイールと無駄な装飾を一切持たない機能第一主義のインパネが特徴のインテリア。

夫婦ともに長野県出身なので、もともとこの手のクルマが嫌いではなかったが、ゲレンデ購入については勢いだったという。

「いやあ、ヤフオクで落札しちゃって(笑)。結構、安かったからまさかと思ったんですけど」

それから20年以上を共にしているというわけだ。

「結構いろいろありました。ギアボックスの何かが走行中にボトッと落ちて、走行不能になってレッカーされたり。購入価格以上に修理代を使っていると思います」

山内さんのG280は希少な4段マニュアル・トランスミッション仕様。シフトレバーの後ろに副変速機のレバーを備える。本格的なオフロード・コースなどに行くことがない山内さんは、ほとんど副変速機を使わないという。

部品はドイツのインターネット・サイトで直接購入し、直す個所によって修理工場を分けているそうだ。

「幌は数年前に直してもらいました。東京・調布にすごくいい帆布屋さんがあるんです。費用は40万円ほど。でも、ゲレンデ専門店だと250万円とか言いますからね。安く直せたと思います。実はヤフオクの出品者が自動車修理工場なんです。結局、そこが一番頼りになる感じです」

直しながらでも乗り続ける理由を聞いた。

2.8リッター直6DOHCは最高出力150ps/5250rpm、最大トルク226Nm/4250rpmを発生する。

「エンジンは2.8リッター直6です。最高出力は150psですが、このボディを痛痒なく加速します。4段マニュアルのせいか、スピードを出さなくても運転している感じが強いんです。ドアの開け閉めで感じる剛性の高さも好きです。あと、斜め後ろからの見た目も幌感があっていいですね。犬がいるとどうしても車内が汚れるので、これぐらいがちょうどいいかなあと。ロングは好きじゃないんです。これが壊れてしまっても、ショートを買うと思います」

ちなみに山内さんが調べたところによると、ショートの幌屋根、しかもマニュアル・トランスミッションというG280は、これを含めて日本に2台しかないという。

「希少性を気にして綺麗に保持するというタイプではないですね。だから、妻と犬を乗せてガンガン出かけます。買ってから23万kmぐらい走りました。ホイールベースが短いからピョンピョン跳ねますけれど、苦情は出ないですね(笑)」

チェック柄のファブリック・シートはゲレンデヴァーゲンのアイコン。おおぶりのシートは使いこまれており、実用の道具という感じが良かった。

後席は愛犬たちの指定席。左の黒っぽいのがシエル、右がキング。今年の2月、山口県で保護された2匹を山内家へ迎えた。後席の後ろのわずかな荷室には自転車が積まれている。

いつかは子供へ

山内さんが最初に乗ったクルマは、お母さんから譲り受けた真っ赤なカルマン・ギアだったという。

「母が気に入って乗り続けたものを、譲り受けました。そのカルマン・ギアをいまは息子が乗っています。ゲレンデも環境問題で乗れなくならない限り、息子へバトンを渡したいと思っています」

山内さんの人柄は愛犬に対しても表れていた。

「15年以上前に家族に迎えた最初の犬、ぽこ以来、保護犬しか飼っていません。2年前にぽこが亡くなってから、殺処分をなくすために尽力しているボランティアの活動に感銘し、単に保護犬を飼うだけでなく、この運動を支援しています。いまのキングとシエルの2匹もそうした活動家を通じて我が家へ迎えました」

メルセデス・ベンツGクラスは、ダイムラー・ベンツとオーストリアのシュタイア・ダイムラー・プフが1972年に共同開発をスタートさせた軍用車両をルーツに持つ。幌を外したリア・スタイルに軍用車両の面影を感じる。

実用車としてゲレンデを使う山内さん。都内ではピカピカのゲレンデがステータスとして走っているけれど、本来は道具として使い倒すクルマなのだとつくづく思った。

「ゲレンデは家族の一員であると同時に、自分のトレードマークのような感覚です。刑事コロンボのプジョー403のような感じですかね」

クルマと人の幸せな関係がそこにはあった。

文=荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=茂呂幸正

(ENGINE2021年8月号)

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