2021.08.06

CARS

未来的なスタイリングは最高にカッコいいのに、ウィークポイントをあげたらキリがない! 必ず壊れるクルマの代名詞だけど、他では代え難い魅力を発し続ける「シトロエンXM」に乗る方法とは?

今でも特別な魅力を持つシトロエンXM。

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一時は必ず壊れるクルマ、手を出してはいけないクルマの代名詞、とまで言われたシトロエンXM。登場から30年以上を経た、今の状況はどうなのか? ヤフオクで7万円のシトロエン・エグザンティアを落札したエンジン編集部の上田がリポートする。

最高にカッコいいXM

京都・伏見の住宅街の坂道を登っていくと、色とりどりのDSやBXの並ぶショールームが現れた。1998年創業のシトロエン専門店、アウトニーズだ。整備、販売のほか、オランダに自社工場を持ち、DSやアミのレストア、輸入をしている。最近はDSと2CVのレンタカー業務も開始。古都をクラシック・シトロエンで楽しめると好評のようだ。

代表の二井浩之さんは若かりし頃、シトロエンの輸入元だった西武自動車に在籍。XMと初対面した時は衝撃を受けたと振り返る。「最高に格好良かった。コンコルドのクルマ版、みたいだって思いました。まだ完成していないけど、出しちゃえ! みんなをビックリさせてやろう! そんな思いを感じました」。



その後、二井さんは他車の販売に関わるようになったのにXMを手に入れ、営業車として使っていたと言うから恐れ入る。当時の社長から「彼は本当にクルマ好きだから」と許してもらえたのだそうだ。

ところがアウトニーズを創業し、中古車としても扱うようになると、XMは故障が頻発した。しかし二井さんは、シトロエンの思想やXM自体が悪いのではなく、部品の精度や品質が追いつかなかったのが原因だと考える。鬼門のステアリング・ラックからのLHMと呼ばれる専用オイルの漏れはオリジナルでシリンダーを製作して対応。販売車はすべてエンジンを下ろし、ステアリング・ラックを交換し、ホースなども点検。LHMと窒素ガスによるXMの緩衝装置、ハイドラクティブ/ハイドラクティブIIは、作業しやすい球状のスフィアだけ交換しがちだが、硬軟を切り替えるエレクトロバルブ(残念ながら新品ストックは同社でも枯渇気味。シフトノブなど内装部品も入手し難い)やハイトコレクターの不調と相まって、スフィアを替えたら逆に乗り心地が悪化、という状況に陥りやすい。しかし、これまで蓄積したノウハウでXMをなんとかしたい、と取締役の伊藤悠太さんも熱く語る。「今回の車両も、板金部門からは手がかかる、と言われました……でも、直すことにしたんです」。

復活可能な程度の個体が減ったことに加え、1998年以降の最終期型はステアリングのセルフセンタリング機構がなく、長く維持しやすいことが決定打になった。かつてシトロエンらしいと珍重され、日本仕様では左ハンドル・モデルに装着されていたこの機構は、二井さん曰く「据え切りはできれば避けたいのに、自動で据え切りしちゃうから困る(笑)」という。さらに日本仕様はすべて大きく重量のかさむ3リッターV6搭載ゆえ、サスペンションのアッパーマウント抜けや、エンジンの熱害で部品の痛みが激しいなど、ウィークポイントはまだまだある。それでも他では代えがたい、この未来的なスタイリングに魅了される人は多い。


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