2021.10.27

CARS

【第14位】725馬力、大排気量5.2リッターV 12ターボのFR! アストン・マーティンDBSスーパーレッジェーラは最後の貴重な1台!! 【エンジン・ホット100ニューカー・ランキングス2021】 

雑誌『エンジン』の名物企画、「エンジン・ホット100ニューカー・ランキングス」の2021年版で14位となったのはアストン・マーティンDBSスーパーレッジェーラだ。いまや希少な5.2リッターの大排気量V12ターボ・ユニットや、センスのいい内外装の仕立てに9人の選考委員たちが注目! その魅力を選考委員のコメントとともに紹介する。


【エンジン・ホット100ニューカーズ!】上位20位に選ばれたクルマはこちら


今や存在そのものが希少な大排気量12気筒

アストン・マーティンのワークスドライバーとしてニュル24時間に参戦した経験を持つ桂さんの「大柄だが鋭い切れ味のフットワークは文字通り“軽量”の証。後輪のみでこの出力を伝える術もお見事」というコメントはこのクルマの魅力を端的に表現していてやはり説得力がある。いっぽうで、藤島さんの「アストン・マーティンの美意識があふれるスタイルに、研ぎ澄まされたパフォーマンスが備わる」や西川さんの「シンプルに美しい彫刻のよう。DBSには加えて獰猛さも」と、動的性能と静的美観の絶妙なバランスを評価する声もある。



山崎さんの「どんなシーンをどんなペースで走っても魅力的なモデル」や竹岡さんの「ユルリと流せばGTカー。ちょっとやる気出せばスポーティカー。本気出せばバリバリのスポーツカー」は、どんなシチュエーションでも運転が楽しめる懐の深さも持ち合わせていることを指摘する。九島さんの「007大好き。ブリオーニかトムフォードのスーツにオメガの限定ウォッチつけて乗りたい」や藤原さんの「気品も知性も感じさせるのに獰猛で男臭く、それでいてセクシーでミステリアス。まるで某有名諜報部員のようなGT」は、男子の多くが抱く健全な願望的妄想である。

そしてこのクルマを1位に挙げた自分と佐藤久実姐さん。実はDBSヴォランテのスペイン試乗会に招かれたふたりでもある。もちろん、今回の投票に関して事前になんら申し合わせはしていない。必然のような偶然である。

アストン・マーティンDBSスーパーレッジェーラ(ヴォランテ含む)クーペは全長×全幅×全高=4712×1968×1280mm。ホイールベース=2805mm。車両重量=1880kg。フロントに搭載される5.2リッターV12ターボは最高出力725ps/6500rpm、最大トルク900Nm/1800-5000rpmを発生、8段ATを介して後輪を駆動する。車両価格=3567万8703円~

試乗当日は近くで山火事が発生するくらいの酷暑で、オープンにして走っていると熱中症確定のような気候だった。にもかかわらず、ふたりともいつの間にか運転に没頭し、思う存分その美味しい蜜を味わった。「人間の感覚に寄り添った、非線形特性のようなリニアリティで、それが動物的、有機的雰囲気を醸し出している」と佐藤さんが言うように、このクルマは電子デバイスの介入よりもドライバーの入力を最優先してくれるから、自らが操っている感触が常に伝わってくる。後輪だけで900Nmを扱うのは本来ならなかなか厳しいはずなのに、コントロール性がいいから電子デバイスが出しゃばらないのである。

このご時世、V12気筒のFRスポーツカーが新たに生まれることはほぼない。まさに最後の1台である。

文=渡辺慎太郎 写真=郡大二郎/神村聖

(ENGINE2021年9・10月号)

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