2021.11.26

CARS

まるで小さなSクラスだ! 新型メルセデス・ベンツCクラスに箱根で試乗!!


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ドライバーズ・シートに乗り込むと、目の前にSクラスかと見紛う風景が拡がった。ダッシュボード中央に縦長の、コクピットに横長の大型ディスプレイを配置するのはSクラスそのままで、ここにきて一気にデジタル化に舵を切ったことが明白である。メーター類はすべて液晶表示のバーチャル。ナビをはじめとする各種設定はすべてタッチ・パネルか、わずかに残されたクリック式のボタンで行なうのだが、慣れないとすこぶる扱いにくい。先代C180のリアルな針のついた2連メーターをこよなく愛する私としては、いささか落ち着かない空間である。



ダッシュボードのスタートボタンを押すと、「えっ、本当にエンジンかかったの?」と疑うくらい静かに1.5リッター直4ターボに火が入った。新型Cクラスは全モデル電動化を謳い文句にしているが、このC200のマイルド・ハイブリッドは、ベルト駆動のスターター・ジェネレーターを使っていた旧型とは異なり、トランスミッション内部に最高出力20psの電気モーターを配置するインテグレーテッド・スターター・ジェネレーター(ISG)を採用している。そのおかげで、アイドルストップからのエンジン始動時の音や振動も含めて、極めてソフトで穏やかなものになっているのだ。この電気モーターが排気量の小さなエンジンをサポートし、発進時に加勢したり、ターボ・ラグを減らしたり、変速ショックを弱めたり、さらにはエネルギー回生をも行なうことで、強力かつスムーズな走りを実現しているというのが、新型C200のウリである。



実際のところ、発進がスムーズでそこからの加速が実にリニアであることには感心させられたが、逆に言うと、なんだか掴み所がないようなモヤモヤした感じが常に付きまとっている。そもそもが驚くほどエンジンが静かだし、9段ATの変速ショックもまるで感じられないのだから、素晴しい出来映えと言うべきなのかも知れないが、そう諸手を挙げて喜ぶ気になれないのは、このモワーとしたメリハリのなさが、これまでのCクラスが持っていた、Eクラス以上の上級メルセデスとは違ったコンパクト・サルーンならではのシャキッとした乗り味とは相容れないものに感じられたからだ。



ランフラット・タイヤを完全に廃止したためだけではなく、足回りが大幅に進化した結果だろう、乗り心地は明らかに良くなっている。遮音にもかなり気を使っているとみえて室内の静粛性も相当なものだ。これはもう完全にひとクラス上、いや、ふたクラス上の高級車になったような乗り味を持っていると思えた。

「まるで小さなSクラスみたいだ」

走りながら、思わずそうつぶやいてしまった。残念ながら、これは必ずしもホメ言葉ではない。むしろ、私がこよなく愛するCクラスとはいささか違った乗り物になってしまったのだという感慨が、私にそうつぶやかせたのだと思う。

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