2022.01.20

CARS

電動化されていない最後のロード・ゴーイング・マクラーレン!? 765LT スパイダーにスペインで試乗!!

マクラーレン765LT スパイダー

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すでにハイブリッド・スーパースポーツの“アルトゥーラ”を発表しているマクラーレンだが、こちらは電動化されていない最後のモデルとなるかも知れない1台。その国際試乗会からの報告。モータージャーナリストの大谷達也がリポートする。

これが最後に乗るべきマクラーレンか?

“自動車大変革”の波はスーパー・スポーツカーの世界にも否応なく押し寄せている。興味深いことに、電動化に関する各スーパー・スポーツカーブランドの戦略はおおむね共通していて、(1)今後2、3年でピュア・スポーツカーを順次PHV化、(2)その後の数年でまずはピュアスポーツでないモデルをEV化、(3)バッテリー技術がさらに進化して現状に近いパフォーマンスを確保できたところでピュア・スポーツカーもEV化する、となっている。



裏を返せば、電動化されていないコンベンショナルなピュア・スポーツカーは、早ければあと2、3年で姿を消す運命にあるといっていい。だから、いまから新しいピュア・スポーツカーを買おうとしている方々には、この時代の断層を正確に捉えて、“紀元前”の電動化されていないモデルを選ぶのか、“紀元後”の電動化モデルを選ぶのか、慎重に判断することをお勧めしたい。

さて、そんな「世紀の瞬間」が刻々と迫るなか、マクラーレンにとって「電動化されていない最後のピュア・スポーツカー」になるかもしれないのが765LTスパイダーである。ロングテールを意味するマクラーレンのLTシリーズが「サーキット走行を重視したロード・ゴーイング・カー」であることはご承知のとおり。そのレシピは、エアロダイナミクスの強化、軽量化、エンジン性能の向上、足回りの専用チューニングなどを中心としている。また、販売台数に上限が設けられているのもLTシリーズの特徴で、765LTスパイダーの場合は全世界で765台を限定生産。ただし、やはり765台の限定生産だった765LTクーペと同じで、完売になるのは時間の問題だろう。

765LTスパイダーのスペックをざっと見ておくと、最高出力はモデル名と同じ765psで最大トルクは800Nm。全長をベースとなった720Sスパイダーより57mm長い4600mmとしてダウンフォースを25%増加させたが、空気抵抗とダウンフォースの比率を示す空力効率は20%向上しているので、空気抵抗をほとんど悪化させることなく、ダウンフォースのみ増やしたと考えられる。



軽量化についてはカーボン・パーツの使用比率をさらに高めたほか、エグゾースト・パイプをチタン製とするなどして720Sスパイダーより80kg軽い1388kgを達成(DIN車重)。765LTクーペとの車重差は49kgに過ぎない。この結果、0-100km/h加速は2.8秒でクリアし、最高速度は330km/hに達する。

サスペンションにはLT専用のスプリングとダンパーを装備。720Sで導入されたアクティブ・サスペンションのプロアクティブ・シャシー・コントロールII(PCCII)のソフトウェアにも専用のチューニングが施されている。タイヤがサーキット走行に適したピレリPゼロ・トロフェオRとなることも765LTスパイダーの特徴だ。

国際試乗会が催されたのはスペイン北部のナヴァラ・サーキット周辺。まずは一般公道でその乗り味を確認してみることにした。

私は幸運にも歴代LTシリーズ(675LTと600LT)をいずれもテストしたことがあるが、サーキット走行重視のサスペンションを装備した従来のLTモデルは公道における乗り心地が硬めで、路面からゴツゴツというショックが伝わる傾向が強かった。トロフェオRを履く765LTであればその傾向はなおのことと覚悟していたのだが、これが拍子抜けするくらいしなやかな足回りで、快適性だけでいえば720Sとまったく遜色がないように思えた。この辺は、PCCが2世代目に進化してより緻密な電子制御を行なうようになった恩恵だろう。

いっぽう、試乗当日は軽い雨が降ったり止んだりの空模様で、路面はうっすらと湿った状態。このためタイトコーナーの出口で強引にスロットルペダルを踏み込むと、スタビリティ・コントロールが効いた状態でもテールがアウトに流れる素振りを見せたほか、直線路での発進加速では1速のみならず2速でも3速でもトップエンドでリアタイヤが路面を捉えきれずに空転することがあった。

率直にいって、6000rpmオーバーの領域で体感できるエンジン・パワーは720Sをはるかに凌いでいる。しかも、765LTは最終減速比を15%ほどローギアードにしているので、その相乗効果でリアタイヤが打ち負かされたのだろう。

しかも、765LTがトップエンドで発するエンジン・サウンドは実に刺激的。マクラーレンのV8ツインターボがとりわけ抜けのいい快音を響かせるようになったのは720S以降のことだが、765LTのエグゾースト・サウンドは高周波成分をより強調したもので、エンジンを回すたびに深い快感に酔いしれた。高回転域での鋭いレスポンスを含め、765LTは官能性の点でも720Sを大きく凌いでいるようだ。



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