2021.12.12

CARS

世界に誇るニッポンのスポーツカー! スバルBRZとマツダ・ロードスターを乗り比べる!!


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一方のロードスターは、日常域でドライバーを気持ち良くさせることにおいては天才的だった。アイドリングからアクセルを一踏みしたときの“ファンッ!”という軽快な吹き上がり、シフトそのものが歓びになるフィーリングの良さ、ヒール&トゥがばっちり決まるペダル配置など、心憎いばかりに細部が磨き込まれている。人間中心というマツダの哲学が生きている。



コーナリングも低速域から楽しめるものだった。BRZは攻めれば攻めるほど興奮度があがり、タイヤの限界スレスレを引き出し、状況が許せば少し滑らせてみたいという欲望が沸いてくるが、ロードスターはちょっと違う。タイヤの限界の範囲内で、自らステアリングやペダルを操作してピッチングやロールを造りだし、思い通りにコントロールしていくことに歓びがある。今回の試乗車がSという素のモデルだったのも関係しているかもしれないが、とにかくサスペンションがスイスイと動いて、どんな速度域でも姿勢づくりを楽しませてくれる。こういった速さに依存しないドライビング・プレジャーを造り出すセンスは、モデルチェンジしても速くならない方針をとってきたからこそ養われたのだろう。



日本らしいというのはまさにそこで、価格やパフォーマンス、ドライバーのスキルなどに関係なく、多くの人をハッピーにさせる実に民主的なスポーツ・モデルなのだ。BRZも誰にでも手が届くという点でスピリットは同じだが、ロードスターよりは高い速度域で楽しませ、もう少し硬派なドライバーに向いている。今回のモデルチェンジで全体のレベルアップが図られたが、スバルらしいダイナミクス性能の醍醐味を味わうには丁度いいバランスとも言える。

いずれにせよ、日本には速くはないけれど、ドライビング・プレジャーの高さでは世界に誇れるスポーツ・モデルが揃っている。大変革の時代を迎え、自動車が大きく変わっていくとしても、多くの人をドライビングで楽しませたいというメーカーの思惑がある限り、未来は明るいと期待できるのだ。

文=石井昌道 写真=茂呂幸正



■スバルBRZ S
駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 4265×1775×1310mm
ホイールベース 2575mm
トレッド(前/後) 1520/1550mm
車両重量 1270kg
エンジン形式 水冷水平対向4気筒DOHC
排気量 2387cc
最高出力 235ps/7000rpm
最大トルク 250Nm/3700rpm
トランスミッション 6段MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット/コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッド・ディスク/ベンチレーテッド・ディスク
タイヤ(前後) 215/40R18
車両本体価格 326万7000円

■マツダ・ロードスターS
駆動方式 エンジン・フロント縦置き後輪駆動
全長×全幅×全高 3915×1735×1235mm
ホイールベース 2310mm
トレッド(前/後) 1495/1505mm
車両重量 990kg
エンジン形式 水冷直列4気筒DOHC
排気量 1496cc
最高出力 132ps/7000rpm
最大トルク 152Nm/4500rpm
トランスミッション 6段MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) マルチリンク/コイル
ブレーキ(前/後) ベンチレーテッド・ディスク/ディスク
タイヤ(前後) 195/50R16
車両本体価格 263万4500円

(ENGINE2022年1月号)

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