藤原 今回のテーマはスポーツ・モデルですが、結局のところタイカンはどうなんでしょう? 高級車って話も出ましたが。村上 いや、今や高級車とスポーツカーは切り離せないものになってるんですよ。その二つがこれからのプレミアム・マーケットのキーワード。島下 豪華絢爛でなくともお金持ちに見えるのは、そういうクルマで遊んでアクティブ・ライフを送っている人。そういう人のライフはスポーティ。つまりスポーティがラグジュアリーなんですよ。それは不可分のもの。そういう意味ではクロスツーリスモはトレンドに乗ってる。村上 ポルシェが90年代まで苦戦してたのは、スポーツはあってもプレミアムがなかったからなのかも。藤原 タイカンはある意味、今までの学習の集大成であると。村上 だから、4ドアであっても電気自動車であっても紛れもないポルシェだと乗った瞬間から思うものが出来た。多少の違和感を超えて、強くポルシェと思わせるものがある!島下 内燃機関だろうが、電気だろうが、ポルシェはポルシェしか作らないわけですよ。だって理想とするクルマの在り方は一緒なんだから。「電気だからこうですよね」ではないんですよ。藤原 では逆に、タイカンにまだ足りないものってありますか?島下 ちょっとボディが硬すぎると思いませんか?村上/藤原 思う!藤原 土台と上屋がシンクロしてないっていうか……。島下 フロア下にバッテリーを敷きつめて剛性を出すクルマの硬さって、何かが違うのかもしれないですね。藤原 鉄ボディのような「しなやかさ」がない。パツンパツンし過ぎ。島下 飛ばすと入力が大きくなるからすごくいいんだけど、日本の道路みたいな環境だと中途半端かもね。かえって重さと硬さを感じちゃう。村上 それは今後のフロア・バッテリー車の課題かもね。でも静かな分、オーディオは抜群に良かったですよ。帰り道はフランツ・リストのピアノ協奏曲を聴いてきました。藤原 そういう意味でも、今までにない豊かさがありますよね。911じゃピアノ協奏曲ゆったり聴けないでしょう? では、今日の個人的なベストはどれでした?村上 それはもうクロスツーリスモ。島下 僕はターボSかなぁ。今この時代にしか味わえないものかもしれないし、タイカンが世に出た理由が全部詰まってる感じがある。誰も打てない豪速球を投げて、全員をのけぞらせる、みたいな。藤原 僕はあえて言うなら2駆のタイカンかな? コリコリのガソリン世代には、ノーマルサスで後輪駆動のちょっとしたラグがあって、パワーも常識的だってことで、わかりやすくて乗りやすい。ターボSがカリカリにいじったミニ4駆なら、素のタイカンはマブチモーターで動く「サーキットの狼」のプラモデル(笑)。村上 けれど、デザインなどを見ると、まだ内燃機関の神話から完全に逃れたものではない、とも思った。そのうちEVスポーツ・モデルの神話みたいなのができるんだろうけど、今は過渡期なんだと思う。多様性の時代っていうけど、求めるまでもなく必然的に多様にならざるを得ない。島下 だから今はガソリンを燃やすスポーツカーも、電気もハイブリッドも全部楽しめば良いんですよ。藤原 食わず嫌いは良くない! とにかく何でも乗っちゃいましょう。▶「ポルシェのおすすめ記事」をもっと見る話す人=藤原よしお(まとめも) +島下泰久+村上 政(ENGINE編集長) 写真=柏田芳敬■タイカン(パフォーマンス・バッテリーPlus付)駆動方式 後アクスルに電気モーター1つの2WD全長×全幅×全高 4963×1966×1395mmホイールベース 2900mmトレッド(前/後) 1710/1694mm車両重量(前後重量) 2180kg(前軸1040kg:後軸1140kg)バッテリー容量 79.2kWh(93.4kWh)最高出力 408ps( 476ps)最大トルク 345Nm(500Nm)トランスミッション リア2段サスペンション(前) ダブル・ウィッシュボーン/コイルサスペンション(後) マルチリンク/コイルブレーキ(前後) 通気冷却式ディスクタイヤ(前/後) 225/55R19/275/45R19車両本体価格 1203万円(1298万3000円)■タイカン4クロスツーリスモ駆動方式 前後アクスルに電気モーター各1つの4WD全長×全幅×全高 4974×1967×1409mmホイールベース 2904mmトレッド(前/後) 1718/1698mm車両重量(前後重量) 2320kg(前軸1140kg:後軸1180kg)バッテリー容量 93.4kWh最高出力 476ps最大トルク 500Nmトランスミッション フロント1段、リア2段サスペンション(前) ダブル・ウィッシュボーン/エアスプリングサスペンション(後) マルチリンク/エアスプリングブレーキ(前後) 通気冷却式ディスクタイヤ(前/後) 245/45R20/285/40R20車両本体価格 1341万円■タイカン・ターボS駆動方式 前後アクスルに電気モーター各1つの4WD全長×全幅×全高 4965×1965×1380mmホイールベース 2900mmトレッド(前/後) 1690/1655mm車両重量(前後重量) 2380kg(前軸1170kg:後軸1210kg)バッテリー容量 93.4kWh最高出力 761ps最大トルク 1050Nmトランスミッション フロント1段、リア2段サスペンション(前) ダブル・ウィッシュボーン/エアスプリングサスペンション(後) マルチリンク/エアスプリングブレーキ(前後) 通気冷却式ディスクタイヤ(前/後) 265/35ZR21/305/30ZR21車両本体価格 2468万円(ENGINE2022年1月号)
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