2022.01.01

CARS

830馬力の魔性のV12エンジン! フェラーリ812 コンペティツィオーネにイタリア・フィオラノで乗った!!

フェラーリ812コンペティツィオーネ

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ちょうど2年ぶりのマラネロ。フィオラノに到着し順番を待っていると、無情にも2人前で雨が降り出した。悪条件こそレアケースだと自分を奮い立たせてイエローのベルリネッタ・コンペティツィオーネに乗り込む。マネッティーノをウェットにセットし、ゆっくり走り出した。

慣熟ラップだというのにプロの駆る先導車両がどんどん速度を上げる。こちらはウェット・モードのオートマチック変速で難なくついていく。もちろんエンジン出力は200馬力程度にしか感じない。安全志向の制御は日常利用にも便利なことだろう。



マネッティーノをスポーツにするとV12がはっきりとラウドに。前輪の動きはやっと自分が跳ね馬であることを思い出したかのように軽やかかつシャープになった。ウェットであっても手応えをドライバーにしっかり伝えてくれるから、恐怖心など生じない。リスクを承知でマニュアル変速に切り替え、回転を上げてシフトアップを試みたが後輪がまるで乱れないので安心した。否、そのそぶりはみせる。時おり腰下からズズッと滑るが、それは滑るというより揺れるといった感覚だ。だから、パワーの迸る高回転域までつい回したくなってしまう。理性を忘れさせ、心を右足に直結させてしまう魔性のエンジンだ。モーターのように軽くシャープに吹け上がりつつ、高回転域になればなるほどに力を発散する。右足の裏に感じる圧力が半端ない。

慣熟走行を終えてピットイン。タイヤチェックを済ませホットラップへ。スポーツ・モードでもクルマに全てを任せておけば安心、だということは分かっている。せめてエンジンだけでも存分に味わってやろうと踏み込んだ。8000回転まであっという間に吹けるが、その間、パワーもずっと漲っていて、回し続けていたい気分になる。



エイペックスから先では必ず滑り出すけれども、乗り手が感知する前にクルマが自ら姿勢を正す。タイトベントでも中速コーナーでも腰が揺れるだけですむ感覚だ。四輪独立ステアリングのサイドスリップ・コントロール最新バージョンを筆頭とする統合制御によって、クルマに乗せられているどころかシャシー制御さえドライバー自らコントロールするような気分にさせてくれた。

やめておけと言われていたがレース・モードを試さずにはいられなかった。エグゾーストノートはさらに音圧をあげ、ヘルメット越しでも脳まで響く。変速時間は信じられないくらいに短く、ダイレクトだ。さすがにシャシー制御は一瞬間に合わないのか、シフトアップのたび車体が向きを変えそうになる。コーナーでも適切な逆操舵の維持と慎重なアクセル・コントロールが要求(とはいえシビアすぎることはない)されて、ちゃっかり楽しめた。

慣熟走行を含めわずかに10ラップ。たったそのためだけにイタリアへ飛ぶ価値は十分にあったと思う。

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文=西川 淳 写真=フェラーリS.p.A.



■フェラーリ812コンペティツィオーネ
駆動方式 エンジン・フロント縦置きミドシップ後輪駆動
全長×全幅×全高 4696×1971×1276mm
ホイールベース 2720mm
トレッド(前/後) 1672/1645mm
乾燥重量 1487kg
エンジン型式 水冷V型12気筒DOHC
排気量 6496cc
最高出力 830ps/9250rpm
最大トルク 692Nm/7000rpm
トランスミッション デュアルクラッチ式7段自動MT
サスペンション(前) ダブルウィッシュボーン/コイル
サスペンション(後) ダブルウィッシュボーン/コイル
ブレーキ(前後) 通気冷却式セラミック・ディスク
タイヤ(前/後) 275/35ZR20/315/35ZR20
車両本体価格(税込み) 6784万円

(ENGINE2022年2・3月号)

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