2022.01.01

CARS

これがGT-Rの頂点! 日産GT-Rニスモの2022年バージョン「スペシャル・エディション」に試乗!!


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実はそのエンジンの中身こそがベース車との最大の違いである。ピストンリング、バルブスプリング、コンロッド、クランクシャフト、フライホイール、クランクプーリーといったパーツの重量、バランスを徹底的に追求してばらつきを半減させ、フリクションを低減しているのだ。GT-Rのエンジンはそもそも、こうしたパーツの精度、重量が厳しく管理されているというのに、それをさらに攻めて、究めてきたのである。正直、44万円という価格差は安過ぎると言っていい。



豪快に回り、圧倒的なパワーを発生することに変わりはないが、その回り方は粒が揃った精緻な印象で、レスポンスも軽やか。ピストン自体が進んで上下したがっているとすら思えてくる。今までのGT-Rのエンジンは、ましてニスモはフィーリングをどうこう言いたいタイプのものではなかったが、このエンジンは違う。6段自動MTは相変わらず変速のたびにガシャガシャと音を立てているし、それを含めた駆動系からの音も容赦なく室内に入ってくるが、それらも含めて精緻な機械に触れている喜びを感じさせるのである。

専用のダンロップ製タイヤのグリップ力はあきれるほど高く、またサスペンションも思い切り締め上げられているからコーナリングは快感というレベルを突き抜けて、身体が悲鳴を上げるほどの横Gをもたらす。2020年モデルから採用された新形状のバケットシートの高いホールド性は、まさに必須だったといえる。



そういうシャシーなのに意外と乗り心地がキツくないのは高剛性のボディ、そしてカーボンセラミック・ブレーキ採用のおかげである。バネ下重量が圧倒的に軽いためサスペンションの動きがしなやかになり、ガツンッという入力もカドが丸められるのだ。実際、一気に300kmを移動した際にも、腰が痛くなったりすることはなかったのである。

予定台数がすんなり売り切れ、ベース車を含め、すでにオーダー不可能な2022年モデルのGT-Rニスモ。正直、GT-R自体、次があるのかどうかはわからない状況だけに、もうこれが最後という可能性は否定できない。ここまでの完成度に到達したのだから、これが最後でも仕方がないかとも思うが、いやいやここまで来たのだからさらにその先を見てみたい。そんな気にもさせられてしまったのだった。

文=島下泰久 写真=柏田芳敬



(ENGINE2022年2・3月号)

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