2022.01.03

CARS

Cクラスのお株を奪う出来映え メルセデス・ベンツAクラス初のPHEVに試乗した

メルセデス・ベンツは、EQCやEQAといった電動車専用のサブ・ブランドである「EQ」の名を冠した電気自動車だけでなく、プラグイン・ハイブリッド、48V電源を用いたマイルド・ハイブリッドなど、幅広いラインナップで電動化を推し進めている。今回試乗したA250eはAクラス初のプラグイン・ハイブリッド。末っ子のAクラス加わった電動化モデルを森口将之氏が試乗した。

チャデモの急速充電にも対応

メルセデス・ベンツのPHEV(プラグイン・ハイブリッド・カー)に、最小にして唯一の前輪駆動であるA250eが加わった。ハッチバックとセダンの両ボディに用意されるが、前者は受注生産となっており、セダンが売れ筋になると考えているようだ。

パワートレインはA180の1.4リッター直列4気筒ターボのパワーとトルクをアップし、デュアルクラッチ式の自動MT(DCT)はA200dが使う8段としたうえでモーターを融合させた。輸入PHEVとしては珍しく、普通充電だけでなくチャデモの急速充電に対応していることもポイントだ。



メルセデスらしいきめ細かい制御

外観はEQ POWERのエンブレムや充電リッドの追加のほか、AMGのエアロ・パーツやアルミホイールが与えられ、インテリアもレザー・シートがAMGと同じスポーツ・タイプになる。PHEVによって高性能化したことを前面に押し出した姿だ。

たしかに加速はA180などとは別次元の力強さ。しかもバッテリー容量が十分なら、一般道路はほとんどモーターでこなす。ドライブモードは「コンフォート」「スポーツ」「エコ」、個別設定の「インディビジュアル」のほか電動走行の「エレクトリック」、充電優先の「バッテリーレベル」と6つもあり、PHEVで想定されるほとんどのシーンはカバーできていると感じた。



スポーツではエンジンを積極的に回し、パドルを使えばエンジン・ブレーキも使えるのに対し、エレクトリックでは同じパドルで回生ブレーキの調節ができる。しかもこのモードでは、ACC(アクティブ・クルーズコントロール)を使わない一般道路でも、前車に合わせて自動的に回生ブレーキのレベルを調節することも可能。メルセデスらしいきめ細かい制御に感心した。おかげでエンジン車とはやや異なるタッチを持つフットブレーキの出番は少なくて済んだ。



重厚な乗り心地

乗り心地はA180より300kg以上重くなったボディが良い方向に作用している。ひとことで言えば重厚になったのだ。ハンドリングも重さのおかげで、Aクラスとしてはかなり落ち着いている。タイヤはAMGモデル並みに太く大径になってはいるが、持ち前の高性能は高速道路で発揮させたほうが似合いそうだ。

大都市ではまだまだ自宅に充電設備を用意できない人が多いことを考えれば、自然豊かな地方でワーケーションを実践しつつ、たまに高速道路を使って大都市に出かけるような人に向くのではないだろうか。



文=森口将之 写真=宮門秀行

(ENGINE2021年9・10月号)

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