運転が心底楽しめる、究極か唯一の存在！　ケータハム・スーパー・セブン1600に5人のモータージャーナリストが乗った！【2022年エンジン輸入車大試乗会】

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ケータハム・スーパー・セブン1600

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続いてのインプレッションは、塩見智、斎藤慎輔、小沢コージの3名。先の2名同様、運転の楽しさが満喫できる唯一無二の存在を思いのままに語ってくれた。

これこそが“ドライブ”だと思い出させてくれる／塩見智

たった135psの1600cc直4NAエンジン。3ペダルMT。屋根なし。ドアなし。カーナビなし。横滑り防止装置にADAS？　あるわけない。ほぼ何もない。その代わり邪魔するものもない。思い通り走らせることに特化したオープン2シーターは、見た目から想像通り楽しかった。乗ることがわかっていたから髪の毛をガチガチに固めてきたが、40km/hを超えたあたりで乱れ始め、西湘バイパスに合流した途端に完全に崩壊した。だがそんなことはまったく気にならなかった。正確には気にする暇がなかった。右足の小指側でアクセル・ペダル、親指側でブレーキ・ペダルを丁寧に操作し、左手で短いシフト・レバーを前後左右にせわしなく動かし、右手でノン・パワーのモトリタのウッド・ステアリングを回すので必死だからだ。忘れていた。これがドライブだ。CarPlayをつなぎ、目的地を入力し、ただDレインジを選んで、アデルのニュー・アルバムをかけながら隣のどうせヤラせてくれない女の機嫌を取るのはドライブなんかじゃない。セブンが大事なことを思い出させてくれた。たとえ話ね。

クルマとの一体感を堪能できる唯一無二の存在／斎藤慎輔

実はワタシ、スーパー・セブンには、これまでいろいろ乗らせてもらってきました。車重545kgで最高出力310psのスーパーチャージャー付の620Rなど、とてもじゃないけど、日常の中ではパワーを持て余して御しきれないものから、軽自動車規格の初代モデルである160とかにも。時にはスタッドレス・タイヤを装着して真冬に都内から妙高まで往復もしました。そんな中でいえば、スーパー・セブン1600は、楽しさ、速さ、そして思いのほかの扱い易さを兼ね備え、フツーのスポーツカーとは比較にはなりませんが、それでも見た目から想像するよりは冬でも案外快適だったりして、そのバランスの良さは、おそらく一番かと。ともかく軽量であることのスゴさを、身をもって知れる鼻先の動きはたまりません。ただ、そんな頑張って走ることなんてしなくても、半身剥き出しのような体に風を豪快に受けて、クルマとの一体感を即座に堪能、いや少なからず痩せ我慢も必要ではありますが、だからこそ愛せる乗り物で在り続けているように思います。まさに唯一無二の存在です。

スズキの3気筒を載せた160ベースのセブン・スプリント、スーパー・セブン・スプリントに次ぐケータハムのヘリテイジ・シリーズ第3弾がスーパー・セブン1600だ。フォードの1.6リッター4気筒の吸気系をファイン・チューンして搭載。

スズキの3気筒を載せた160ベースのセブン・スプリント、スーパー・セブン・スプリントに次ぐケータハムのヘリテイジ・シリーズ第3弾がスーパー・セブン1600だ。フォードの1.6リッター4気筒の吸気系をファイン・チューンして搭載。

走らせるだけで異空間突入！　これぞ走る宗教／小沢コージ

「作り続けると信じています。大切なのはエンジンですが日本があるしインドがある。どこかから絶対手に入れるはず」とはセブンの電動化について尋ねた時の担当者の弁。久々に乗ったが、セブンはクルマじゃない。もはやタイムマシンであり、歴史的民族衣装であり宗教。なんせ走っていると景色が変わるのだから。いつもの大磯の道、箱根の山が違って見える。そうでなくともトラックとぶつかれば絶対死ねる細いボディと狭小足元を苦労してのペダル操作に唖然呆然。ヒーター付きだがエアコンはなく、そもそもキャビンがない。ラジオもないし、ディスプレイも先進安全装備もない。かといってロータス・エリーゼのような鋭いハンドリングもエンジン・フィールもない。じゃ不便なだけかといえばそうでもない。エアコン効きまくりでIT機器だらけの最新マンションを飛び出し、丸太小屋で焚き火くべて野菜を生かじりするような美味しさがある。走らせるだけでアタマがリフレッシュし、異空間突入。人は別に進化しなくていいんだ！　と実感。まさに走る宗教。電動化をどう潜り抜けるかも実に見もの。

スズキの3気筒を載せた160ベースのセブン・スプリント、スーパー・セブン・スプリントに次ぐケータハムのヘリテイジ・シリーズ第3弾がスーパー・セブン1600だ。フォードの1.6リッター4気筒の吸気系をファイン・チューンして搭載。