2022.04.24

CARS

王者はど真ん中で勝負! トヨタ初EV専用モデル「bZ4X」に試乗した

トヨタ製EVの第1弾モデル「bZ4X(ビージーフォーエックス)」。試乗車はプロトタイプ仕様。

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bZ4Xのボディ・サイズはRAV4よりちょっと大きいが、おおむね似たようなものだ。フロア下に平積みされる駆動用バッテリーの容量は71.4kWh、新開発の大型セルを96個パックしたもの。注目すべきはバッテリーの安定性、安全性に対する徹底的な対策だ。

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バッテリーを徹底管理

万一冷却液が漏れてもバッテリーには影響しないように、バッテリーパックの下側に水冷式の冷却システムを配置し、そのクーラントも専用の高抵抗タイプ(電気を通じにくい)を開発、またヒーターも備わり、低温下での充電性能確保など温度管理を徹底しているという。バッテリーは何重にも状態を管理することで万が一にも発火などしないように制御される。

解放感がある低くフラットなダッシュボード、バイザー・レスのデジタル・メーターはステアリング・ホイール越しに見るタイプだが、円形ステアリングでは一部が隠れる。シフト・セレクターはダイヤル式。

ど真ん中を狙ってきた

さらには電池容量の劣化を防ぐ対策を施しており、10万km走行後でもほぼ90%の性能を維持するという。この辺りはさすがトヨタというべきか、初代プリウス以来総計1700万台以上の電動車両を生産してきた経験が活かされている。バッテリー・セルはトヨタとパナソニックの合弁会社であるプライムプラネット・エナジーソリューションズが生産する。

FWDはフロントに150kWのモーターを搭載、4WDは前後にそれぞれ80kWのモーターを積み、スバルの技術を活かした悪路用「Xモード」と「グリップコントロール」(クロール・コントロールのようなもの)を装備する。インテリアで目立つのは、プジョーのiコクピットのようにステアリング・ホイールの上端越しに眺めるメーター配置である。

RAV4より160mmも長いホイールベースのおかげで後席は広いが、座面とフロアとの高低差が小さいために、脚が持ち上がる姿勢になるのが難点。

本来は操縦桿のようなワンモーショングリップ・ステアリング・ホイール(しかもステアリング・バイ・ワイヤ)が前提のデザインらしいが、同システムはまず中国市場に投入した後、順次装着を拡大していくという。ちなみにソルテラに備わるシフトパドルは装備されず、回生ブレーキを強めるスイッチが別に設けられている。

どちらのモデルも加速はかなり力強く、スムーズで洗練されている。しかもとにかくスタビリティ重視といった印象で、意地悪な操作をしてもまったく動じる気配さえ感じさせない。それでもFWDは多少の姿勢変化を見せるが、4WDは安定すること山のごとし、である。もちろん緻密な駆動力制御の賜物だろう。

何かしら尖った特徴を与えるというより、現在のEVとして、さらにbZシリーズの第1弾としてど真ん中を実直に狙ったことが伺える。真っ向勝負になるだろう日産アリアもようやく(!)納車が始まったようだが、ここは拙速に動かず、王者トヨタの出方を見定めたい。

文=高平高輝 写真=望月浩彦

RAV4より160mmも長いホイールベースのおかげで後席は広いが、座面とフロアとの高低差が小さいために、脚が持ち上がる姿勢になるのが難点。

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