2022.05.08

CARS

レヴリミットの8000回転まで吸い込まれるように加速するF1由来のエンジンが凄い! マセラティ新時代の幕開けを飾るMC20に初試乗!!

マセラティMC20

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コロナ禍の中の2020年の秋に発表された、マセラティの新しい時代を切り開くミドシップ・スポーツカー、MC20がついに日本にやってきた。果たして、その走りはどうか。エンジン編集部のムラカミが試乗した。

とにかく幅広く、とてつもなく低い

東京・三田にあるマセラティ本社の入ったビルの車寄せに駐車されたグリジオ・ミステーロ(ミステリー・グレー)のMC20は、決して派手なボディ・カラーではないにもかかわらず、スーパーカーだけが持つ独特の存在感を周囲に放っていた。一昨年、本国イタリアと同時に開かれた発表会で日本にやってきた、まだエンジンの載っていないプロトタイプを見ているのだが、完成した実車を見るのは今回が初めてである。



改めてじっくりと見ると、頭の中の記憶に残っていたものより、サイズが大きいと感じた。とにかく幅広く、とてつもなく低い。にもかかわらず、フロントのオーバーハングがかなりの長さを持っているのだから、これは段差を越える時には細心の注意が必要だな、と覚悟した。幸いなことに、広報車にはオプションのフロント・リフターが装着されていたが、それでもこのビルの駐車場の通路から車道に出る時には、2車線分を使って斜めに下りるように言われた。なにしろフロント・バンパーの下には巨大なカーボン製のスポイラーが取り付けられているのだ。これを当てたら、百万円単位の請求書が送られてくることになるだろう。

それはともかく、つくづくこのクルマを眺めて思うのは、リア・ミドシップにV6エンジンを縦置きしたモダン・スポーツカーであるにもかかわらず、まるでフロントにエンジンを搭載したクラシックなFRクーペのような印象を受けることだ。いや、間違いなくそれを狙ってデザインされている、と感じる理由は、たとえば真横から見た時に、リアのエア・インテークがまったく見えないように、フェンダー上部に配置されていること。あるいは、ドア・パネルの前部に、フロント・ホイールとドアの間に距離があるかのように錯覚させる小さなパネルが取り付けられていること。さらに、その斜め上部には、マセラティを象徴する3つのエアベントのアイコンまで取り付けられているのだから念が入っている。まるで、そこにエンジンがあると想像せよ、とでも言わんばかりだ。

いま写真を見ていても、ドライバーの着座位置がミドシップとは思えないくらい後方であることに気づく。少なくともそう見える。そして、実際にはエンジンが搭載されているあたりには、+2の後席があるようにも想像できるのだ。

かつて、これと同じようなミドシップなのにFRクーペみたいなシルエットの1960年代の名車があった。ランボルギーニ・ミウラ。あれはV12気筒を横置きしていたが、これはV6縦置きで、こういうプロポーションを実現しているのである。

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