2022.07.21

CARS

BYDの電気バス、目標は2030年までに4000台! 日本市場で勝負をかける中国電気バス・メーカーの先読み力

新開発のブレード・バッテリーを搭載したK8

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中国の電気自動車メーカーが新型の電気バスを発表。2030年までに日本で4000台もの電気バスの販売を目指すというが、果たして……。

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新開発のバッテリーを搭載

中国は世界一の電気自動車生産国だ。乗用車はほとんどが自国内での販売なので、現地に行かないとピンとこないかもしれないが、バスやトラックは日本でも少しずつ足場を築きつつある。

とりわけバスは、我が国のメーカーが電気バスの開発を行わないためもあり、中国BYD(比亜迪)が2015年から展開を開始。現在は日本の電気バスの約7割ものシェアを獲得しているという。

そのBYDの日本法人ビーワイディージャパンが、小型電気バスJ6と大型電気バスK8の新型を開発した。5月10日より予約受付を開始し、2023年末に納車を開始する計画だという。

J6もK8も、以前から日本で販売されていたので、どちらもマイナーチェンジになる。新型のトピックは新開発のブレードバッテリーを搭載したこと。これにより満充電での航続距離をJ6は約200kmから220km、K8は約220kmから270kmに伸ばしている。



バスこそが電動化に最適!?

BYDの電気バスは、僕も何度か接している。アドバイザーを務めている長野県の企業が、J6とその前任車であるK6を購入し、県内の小諸市での社会実験に提供しているからだ。

つまり乗車感だけでなく運行状況などもある程度把握していることになるが、トラブルで止まったことは一度もない。日本製のディーゼルエンジン・バスと同じ感覚で、毎日住民や観光客を乗せて走り回っている。

トヨタはBYDとの間で合弁会社を設立しており、日野からはJ6のOEM供給による電気バスが発売予定でもある。信頼性に不安があったら、このようなジョイント・ビジネスは生まれないはずだ。

しかも路線バスは走行距離が短いし、平均速度が低い。小諸市の場合、約20kmの距離を1時間で走るので、1日8便ぐらいまでなら毎晩の充電で行ける。乗客からも静かで快適という感想をもらっているし、沿道の住民は騒音や排出ガスの影響を受けずに済む。

乗用車では不便な点も、路線バスであれば気にならず、逆に社会インフラとしてみれば評価が高くなる。数ある自動車の中でもっとも電動に向いたカテゴリーだと思っているし、それを見抜いたBYDの先読み力は褒めるべきだろう。



文=森口将之

(ENGINE2022年8月号)

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