2023.02.06

CARS

ターボは家の前にアウトバーンが欲しい、GT3ならサーキット、そしてこのGTSはワインディングだ! とにかくそそるエンジン!! GTSとカブリオレ、まさに対極のポルシェ911カレラに試乗!

ポルシェ911カレラ4 GTSとポルシェ911カレラ・カブリオレ

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“そそる”エンジン

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村上 僕はGTSよりカブリオレの方がよかったなぁ。GTSはRRでMTの時は、ある種の極みだなと思ったけど、4WDはちょっとモタっとするんだよね。

荒井 僕もGTSはトゥーマッチだなぁ。もう速さに動体視力が追いついていかない(笑)。

村上 同じGTSでもさ、718はエンジンも全く違うじゃない。でも911のはカレラのチューン版で一歩突き出た世界ではなかった。

島下 カレラの385馬力に対して480馬力ですから、パワーは相当出てますが、まだ「カレラ的なモノ」の範囲内ではありますよね。

藤原 というと?

島下 例えば911ターボはズドーンという感じのクルマだけど、GTSはあくまで回転上昇の中でパワーが出てくる感じ。パワーを踏んで引き出すのはドライバーだと。そして踏んでいくとどうなるのかな? とそそるエンジンになってる。みんながGTSはいいぞって言うのは、そこだと思いますよ。パワーはあって楽だけど、もう踏まなくていいやというものにはなっていない。シャシーも911らしい。

藤原 ある程度の手練の人に応えるものになってるし、ある程度の技量も試される。昔の鋭い911の面影が残ってるなぁと思った。

911カレラ4 GTSのインテリアは黒革がベースだが、シートベルト、ステアリングやシートのステッチ、インストゥルメント・パネル上のスポーツ・クロノに差し色としてイエローを用いることでぐっとクラシカルな雰囲気に仕立てられている。



島下 ターボは家の前にアウトバーンが欲しい。攻めるより、どこまでもズドーンと行きたい感じがする。GT3は家の前にサーキット。GTSは家の前にワインディングが欲しい感じ。

村上 ワインディングだとケイマンって気持ちになるけどなぁ。

島下 僕は911のリア・マルチリンクで重量感あってというのがたまらなく好きなので、ケイマンの後に乗ると、とはいえこっちがいいんだよなぁという気になります。そこはもう好みの問題。

藤原 お尻の落ち着き感、どっしり感は911に一日の長ありですね。

島下 いいもの感というかね。

藤原 あと4WDの方が前が重く喰いついてるという安心感もある。

島下 これだけのパワーになると4WDの方が安心は安心だよね。

藤原 試乗車はリア・アクスル・ステアも付いて、かなりキビキビ曲がりましたね。ただ箱根の路面だとスポーツモードはバンバン跳ねちゃう。

島下 ダンパーだけノーマルにしてあげればOK。

藤原 そう。そうすれば追従性も乗り心地も抜群にいい。

島下 僕としてはカレラ4GTSカブリオレなら言うことなし。渋滞も雪山もどこでも行けて最高ですよ。

やはりカレラに限る!?

村上 992って2WDと4WDでハンドリングの質が異なるように、モデルごとに味つけを変えている。

荒井 それを同じ911の中で作り分けられる凄さね。

島下 どれでもいいじゃんって話には決してならない。どれも一緒だよとはならないってすごいこと。

村上 こんなの911以外ないよ。

ボルドー・レッドという深みのある赤を用いた911カレラ・カブリオレのインテリア。

足元のナローや930時代のイメージを踏襲するホイールと相まって、911カレラ4 GTSとはまた違った意味で古典的なイメージでコーディネイトされている。

荒井 一方でね、僕はポルシェに乗るたびにクルマに支配されてる感じがすごくするんですよ。

島下 992のガッチリ感は、その傾向がより強いかも。

荒井 だからカブリオレの方が安心できる。クーペは隙がないんです。とりわけGTSなんか、良すぎちゃってごめんなさいって感じ。僕は断然カブリオレがいいな。もうエンジン回してどうのっていうんじゃないんですよ。

島下 僕はまだ抗っていたい。回したいんです!(笑)

村上 そうなるとGT3でしょ。

島下 どっちの良さもわかってるつもりですが、GT3になるともう911であることよりもGT3であることが前に出て、コンペティションのための道具から逆算して市販車ができてる感じがする。峠道をゆっくり走って気持ちいいものかというと、どうしても飛ばさざるを得ないものになってる。

藤原 GT3って、もはやサーキットのようなスムーズな路面で思いっきり走れるところじゃないと楽しくない。その分GTSは公道で楽しめる最大公約数的な存在かと。

村上 いやぁ。もうGT3はサーキットでも怖いよ。

島下 もうこれはジェネレーションの差ということで(笑)。

村上 でもやっぱ今の911の本質はRRのカレラにある気がするなぁ。

藤原 992が出た時、個人的に洗練しすぎちゃって911っぽさが薄れた気がしたんですが、確かにRRのカブリオレに乗ると「やっぱ911じゃん」って思いましたよ。

村上 それはクーペも同じ。2駆のカレラが一番911らしい。みんなが培ってきた911のイメージに一番近い。

島下 下から力があってね。結局どの世代の911もグルグル回って、素がいいって結論になる。ヘラブナ釣りみたいな。それは992でも変わらないってことですね。



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■ポルシェ911カレラ4 GTS
駆動方式 リア縦置きエンジン4輪駆動
全長×全幅×全高 4533×1852×1301mm
ホイールベース 2450mm
トレッド(前/後) 1595/1557mm
車両重量(前軸重量:後軸重量) 1620kg(630kg:990kg)
エンジン形式 水冷水平対向6気筒DOHCターボ
排気量 2981cc
最高出力 480ps/6500rpm
最大トルク 570Nm/2300-5000rpm
トランスミッション 8段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット(後) マルチリンク
ブレーキ(前後) 通気冷却式炭素繊維強化樹脂ディスク
タイヤ(前後) 245/35ZR20/305/30ZR20
車両本体価格 2048万円

■ポルシェ911カレラ・カブリオレ
駆動方式 リア縦置きエンジン後輪駆動
全長×全幅×全高 4519×1852×1297mm
ホイールベース 2450mm
トレッド(前/後) 1591/1557mm
車両重量(前軸重量:後軸重量) 1580kg(580kg:1000kg)
エンジン形式 水冷水平対向6気筒DOHCターボ
排気量 2981cc
最高出力 385ps/6500rpm
最大トルク 450Nm/1950-5000rpm
トランスミッション 8段デュアルクラッチ式自動MT
サスペンション(前) マクファーソンストラット(後) マルチリンク
ブレーキ(前後) 通気冷却式ディスク
タイヤ(前後) 245/35ZR20/305/30ZR20
車両本体価格 1728万円

話す人=島下泰久+藤原よしお(まとめも)+村上 政(ENGINE編集長)+荒井寿彦(ENGINE編集部) 写真=神村 聖

(ENGINE2022年9・10月号)

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