驚くべきはとても軽やかなことまずは黄色の、正確にはイカヅチイエローとスーパーブラックの2トーンで塗られたZに乗り込む。こちらは6段MT仕様。スタート・スイッチをプッシュすると野太いエンジン音が響く。骨太な感触のシフトレバーを1速に入れて走り出すと、まずは意外なほどの軽快感に驚いた。車重はむしろ増えているのに、どうしてこんな軽やかなのか。ひとつは余裕のパワーのおかげだろう。エンジンは低回転域から力感たっぷり。アクセレレーターを踏み込むとゴーッと荒々しい感触ながらレスポンスは鋭く、ターボラグを感じさせることなくトップエンドまで淀みなく吹け上がる。最高出力の発生回転数は6400rpmと高いだけに、回すほどにパワーが漲ってきてかなりの迫力だ。これは速い!メーター表示をSPORTモードにすると、7000rpmのレブリミットが12時の位置に置かれていて分かりやすいし、シフト・インジケーターのおかげでタイミングを計りやすい。とは言え、トルクは全域で十分にあるので公道ではそこまで頑張らず、そこそこの回転数で繋いでいっても十分速く、気持ち良い。
従来に較べればシフトフィールは格段に良くなったが、Z33やZ34にあったアクセルのオン・オフで微妙にパワートレイン全体が揺れる感じは残っている。シフトダウンの際には自動でブリッピングをやってくれる。このクルマ、おそらく久々にMTに戻るという人も少なくないだろうから、重宝されるに違いない。そしてフットワークはと言えば、操舵に対してロールを抑えすぎることなく外輪を自然に沈み込ませながら旋回グリップを立ち上げ、ノーズをすーっと引き込んでいく。このひらりとした身のこなしもクルマを軽快に感じさせている。更に言えば、あのR32型スカイラインGT-Rを参考にしたというステアリング・ホイールはリムが細めの縦型断面で、裏側が指をかけやすい形状とされており、おかげで力任せにならず自然と繊細な操作になる。先代に較べて大幅にパワーアップしているだけに、もっと締め上げられた足周りを想像していたから、このしなやかさは意外だった。「ダンスパートナー」という開発キーワードがよく知られているこの新型Z。まさにコーナーを攻め立てるのではなく、リズムを合わせてしなやかに駆け抜けるのも気持ち良いハンドリングに躾けられていたのだ。
但しそれと引き換えに、上屋が始終ひょこひょこと動く感じがするのも確か。ロードノイズの大きさともども、さすがに基本設計の古さが垣間見える。
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