2022.11.29

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「パルミジャーニ・フルリエ」の新作、注目はミニマルを極めたデザインと世界初のメカニズム!【時計選びの新基準:自分だけのマスターピースを探せ!】

時計選びの基準が新たな局面に入ってきた。

これまでは使用するシーンを意識したルール的なものが存在したが、今は自身の”個性”や時計の持つ”物語”をより重視するように。性別やスタイルを超えたデザインやサイズ、また、環境に配慮した素材や従来の常識を覆す性能、異ジャンルとのコラボレーションなど、新たな取り組みが増えてきている。

そんな”これから”の時計選びの楽しみ方を「ハイパースペック」「モアバリュー」という要素に注目し、「パルミジャーニ・フルリエ」渾身のモデルの魅力を通して紹介する。

ミニマルな外装に潜む上質な自社製ムーブメント

修復師として名を馳せ、神の手を持つと称賛されるミシェル・パルミジャーニ氏が、自身のブランドを立ち上げたのは、1996年のことだった。記念すべき25周年を迎えた昨年1月26日に新CEOに就任したグイド・テレーニ氏は、アニバーサリーを寿ぐ新コレクション「トンダPF」を同年8月30日から開催されたジュネーブ・ウォッチ・デイズに送り込んだ。異例のスピードで7つの新作を作り上げられたのは、時計の外装とムーブメントにかかわる、いくつもの工房をグループ傘下に持ち、すべて自社製造しているから。

パルミジャーニ・フルリエの頭文字を掲げる新コレクションは、どれも丁寧に手仕上げされた自社製ムーブメントを搭載する。そして極端に短くカットアウトした植字インデックスによって悠々と広がったダイアルには、18~19世紀に使われたローズエンジン旋盤でバーリーコーンギヨシェが施されている。それを取り囲むベゼルのローレット装飾も、手仕上げである。完璧に統合されたケースとブレスレットのサテン仕上げは、ベルベットのように繊細。随所に配したポリッシュ仕上げも、鏡のように輝く。時計を愛し、造詣も深いテレーニ氏は、ムーブメントと外装とにメゾンが持つ最上級の技術を注いだ。そしてデザインは、決して華美ではなくシンプルに仕立て上げている。これをテレーニ氏は、「リッチなミニマリズム」と称する。

トンダ PF GMT ラトラパンテ
2つのボタンによるGMTとラトラパンテ機構は、感覚的に操作がしやすい。第2時間帯表示が不要な日本に居る時には2本の時針が重なり、ミニマルな2針となる。ローズエンジン旋盤によるバーリーコーンギヨシェは、他社より模様が複雑。ローレット装飾のベゼルには、下の2モデルも含め、プラチナを用いている。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径40mm、60m防水。386万1000円。




上/リュウズに組み込んだラトラパンテ機構用のボタンは、ローズゴールド製。中/GMT機構用のボタンは、ラグ形状に巧みに溶け込ませている。下/搭載するマイクロローター式の自動巻きCal.PF051は、4.9mm厚の薄型設計。手仕上げが隅々にまで行き渡り、審美性は極めて高い。22金製ローターにも、バーリーコーンギヨシェが彩る。

今年登場した「トンダ PF GMT ラトラパンテ」は、ミニマルさを極めた外装に、世界初のメカニズムを潜めた。センター同軸の2つの時針のうち、ホワイトゴールドの針が1時間刻みに進められ、渡航先の時間に合わせられる仕組みで、ローズゴールドの針がホームタイムを示す。同様のGMT機構は、他社にもある。しかしこのモデルに備わる、帰国時にリュウズ同軸のボタンを押すとホワイトゴールドの針が瞬時にローズゴールドの針に追い付き、ひとつに重なる機構は、唯一無二だ。仏語で”追いつく”を意味するラトラパンテ機構には、クロノグラフで使われるハートカムを用いているそうで、信頼性は実証済みだ。コレクションとして初めて、日付表示を無くしたことも大英断である。特別な機構と美しいダイアルが、より際立つから。そして往々にして時計コレクターは、合わせるのが煩わしく、ダイアルに穴が開くデイト機構を嫌う。



彼らの嗜好に応えるかのように、36mmに小径化したジェンダーレスな新作「トンダ PF オートマティック」も、ミニマルな2針だ。ダイアルのシルバーサンドカラーも新色。そしてこのケースサイズに合わせたムーブメントを新たに開発するのが、神の手を持つ時計師の矜持である。

性別や装いを問わない、モノトーン仕立ても好印象。そのカラーリングは、「トンダ PF スケルトン」でも試みられた。有機的な曲線でオープンワークされたムーブメントは、プラチナ合金のNACコーティングでダークグレーに染められ、ゴールドの針とインデックスを色の対比で浮き立たせている。ムーブメントのフレームのエッジは、ミラーポリッシュに輝く。その深い面取りは、手仕事ならでは。工芸的価値も高い。

トンダ PF オートマティック
搭載する新開発のCal.PF770は、センターローターの自動巻きながら、3.9mm厚の極薄に仕立てられた。結果、ケースも薄くエレガントに。シックなダイアルカラーとノンデイトとが相まって、ドレス感は一層高い。サイズ感は、シェアウォッチとして最適だろう。自動巻きローターは、22金製。パワーリザーブは約60時間。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径36mm、100m防水。275万円。


トンダ PF スケルトン
コレクション初のスケルトンを、他に例が少ないセンターローター自動巻きで作り上げた。ダイアルがない分、ケースも8.5mmと極薄となった。NAC仕上げのムーブメントは、表面のサテン仕上げと面取り部の鏡面とが艶やかにコントラストを成し、薄さの中に豊かなニュアンスを育む。香箱も開口し、巻き上げ残量が目視できる。自動巻き。ステンレススティール、ケース直径40mm、100m防水。874万5000円。

◆パルミジャーニ・フルリエの詳しい商品情報についてはコチラ!

問い合わせ=パルミジャーニ・フルリエ pfd.japan@parmigiani.com

文=高木教雄 写真=近藤正一

(ENGINE 2023年1月号)

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