2023.02.26

CARS

建築家が所有する、世界にたった500台しかないアルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTA! 古いクルマと古い建築の楽しみ方の意外な共通点とは

1963年に登場した、2ドア4座クーペのジュリア・スプリントGTを軽量化させたレース用モデル。

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昭和の建物を改修する仕事も数多く手掛けてきた建築家の藤岡新さん。彼が魅力を感じるクルマも、発売当時の記憶をデザインにとどめた旧車だった。

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五感に訴えるクルマ

これまで33台のクルマに乗ってきた建築家の藤岡新さんは、クルマ好きの開業医の父親のもとで育った。こだわった外車を絶えず所有していて、時には遠くの往診に一緒にドライブすることも。そんな環境で育ったお蔭で、幼い頃からクルマに関心を持つ。やがて病院の待合室の本棚に置かれた自動車雑誌を読み始めるように。強く影響を受けたのは、モーター・ジャーナリストの小林彰太郎氏。その著作から得た結論は、クルマは五感に訴えるアルファ・ロメオと、頭は覚醒していても肉体的にはリラックスして運転できる実用的な大型シトロエンの、正反対な2台持ちが良いこと。これまで14台のシトロエンと9台のアルファ・ロメオを所有してきた。この2つ以外は、ランチア、ルノー、プジョーなどイタリア・フランス車が中心だ。



現在所有しているのは、アルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTA(写真・1965年)とアルファ・ロメオ・ジュリア(2018年)が東京の自宅に。シトロエンCX(1987年)、シトロエン2CV(1987年)、は、京都の別宅に置いている。どれもしっかり走れる状態だ。長いことアルファとシトロエンの2台持ちを信条としてきたが、将来ガソリン車を走らせることが困難となることを心配しているうち、4台持ちになってしまった。

古いクルマが好き

少し前は、同じ色のシトロエンC6のMTとATの2台を同時に所有していたことも。そんな好事家である藤岡さんのクルマ関係のネットワークは広い。これまでの所有車は、縁があってやってきた古いクルマばかり。新車を買った経験はない。

「旧車に乗ることを大げさに言うと、タイムマシーンのような体験ではないでしょうか。昔聴いていた音楽を今聴くと、途端にあの頃に引き戻されるのと似ています。それぞれのクルマに明確な個性があって、ドアを閉める音や、シートに掛けた時、動き出す瞬間に様々な記憶が蘇るものです」



現代のクルマにはない独特なフィーリングや、設計思想、そして歴史的な背景まで含めてクルマを楽しんでいる藤岡さん。それにしても10代の頃から、少し古いクルマの魅力を理解していたというから驚きだ。

「今の若い人たちの間で古着が人気なのと似ています。価格ではなく、その時代でないと作りえないデザインで選んでいる。建築の世界でもそうで、女優の鈴木京香さんのように、古い建物を手に入れリノベーションする人も増えてきましたね」

実は藤岡さんは、新築の住宅や別荘、店舗などを手掛ける他、吉村順三などの、昭和の日本を代表する建築家の建物を改修してきた歴史も長い。そうした建物はマニアックな旧車と同じで、心あるオーナーから次のオーナーに渡っていく。藤岡さんのアルファ・ロメオ・ジュリア・スプリントGTAもそんな一台だ。そもそもこのクルマは、ジュリア・スプリントGTをベースに、レース用に500台だけ生産された軽量化モデル。ボディ形状は同じだがアルミの手作りで、200キロほど軽い。

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