2023.02.01

CARS

【スペシャルインタビュー】日産のデザインを率いる男、アルフォンソ・アルバイサさん「これからの日産車のデザインって、どうなるんですか?」

日産のグローバルデザイン部門の責任者を務めるアルフォンソ・アルバイサさん。

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自由も増えるが、制約も増える

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デザインを取り巻く環境が変わった要素のもう1つとして電動化があると、同席していた日産エグゼクティブ・デザイン・ダイレクターの田井悟さんが付け加える。

「音も、走り方も、感覚が全部違う。それに相応しい形、ディテールはなんだろうと模索しはじめ、それがアリアの全体のトーンを作ったのだと思います。ガソリンが爆発する強さじゃない強さを、どのように形やディテールに表すか。反対にそれを内燃機のZのデザインに戻している部分もあります」

では電動化で、自動車のデザインはより自由になるのだろうか?

「それが今、我々の直面する問題です。パワートレインのEV化にとどまらず、自動運転、コネクティビティなどが一緒になって大変革が起きています。そういう状況下では自由度が増えたり、あるいは制約が増えたりと、双方の要因があります」

とアルバイサさんがいうように、機械的にはシンプルになったが、センサーやカメラなど必要な装備も増え状況はより複雑化している。それはインテリアにおいても同様だ。

アリアのお気に入りのポイントは? という質問に悩みながらもインテリアと答えたアルバイサさん。

「アリアの見た目はリーフよりシンプルですが、非常に多くの機能が増えています。運転席のスクリーンの中にも安全性、ドライブ、インフォメーションなどたくさんの機能がありながら、それをシンプルにわかりやすく見えるようにグラフィックデザイナーがデザインするのはとても大変なことです」

加えて田井さんは高級感、プレミアム感の見せ方の変化を指摘する。

「例えばアリアの外観にはクロームメッキが1つもないんです。高いものに見せるときにメッキを使いがちですが、それがない。それをやらずに一目見て高そうなクルマだなと思ってもらえるようには、どう作るかを考えました」

そうしたプレミア感に必要なデザイン上のキーとはなんだろうか。

「田井さんの言葉を借りるなら“エンパシー”でしょうか。エンパシーというのは感情とか願望を理解するということで、決して予測するというものではありません。お客様の間で大きな変革が起きているとともに、技術の志も高くなっている。そういう意味では、プレミアムとラグジュアリーにアスピレーション(=願望、大志)がリンクしているといえるでしょう。ですから先端的な技術を見せるものではクロームがいい場合と、よくない場合があると思います。クロームは“今”であって、“未来”を指し示すものではない。もちろん単純にこうだ、とは言い切れませんがね。リーフのマイナーチェンジは本当に小さいものでしたが、クロームを排除することが大きな方向転換になって、これから目指すべき方向というか、志を訴えることができたと思っています」

そこでアルバイサさんはアリア、サクラでの具体例を挙げてくれた。

「アリアのフロントの裏には光を当てると透けて見えるように組子の彫刻が入っています。アリアはこの世代のクラスのフラッグシップですから、ハイテクを活用しつつも人間らしさを表現する伝統的なテクスチャーも使っている。スーパーハイテクでありながらヒューマン・デザインである。もちろんモデルによってやり方は変えています。例えばサクラの中に入ると、自然素材を感じることができる。ラウンジのように居心地のいい空間、あのような小さくラブリーなクルマだから中に入ってより広く居心地がいいと感じることが大切なんです」

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