2022.12.24

CARS

GRカローラとシビック・タイプR、大注目のホットハッチ2台を比較しながらしっかり解説

年始のトヨタ・ノア&ヴォクシーを皮切りに、2022年も注目のニューモデルが数多く登場した。その中でも後半に話題をさらったのがトヨタとホンダから発表された2台のホットハッチ、「GRカローラ」と「シビック・タイプR」だ。

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どちらも実用車ベースのスポーツ・モデル

両モデルとも実用的なハッチバック・モデルをベースに高出力なエンジンやそれを路面に伝えるために磨き上げた駆動系、その強力な駆動力を活かす研ぎ澄まされたシャシーを与えたスポーツ・モデル。その走りはスポーツカーも真っ青の速さと刺激を有する。しかし、ホットハッチという同じジャンルに属しながらも、GRカローラとシビック・タイプRのコンセプトや機構にはかなりの差が見られる。今回はそんな両車の違いについて解説していきたいと思う。第1弾は駆動方式について。



すべてはタイプRのために

トヨタ・ガズー・レーシング(TGR)、いわゆる「GR」ブランドで発売したGRカローラは、実用車の王道である「カローラ」のハッチバック・モデル「カローラ・スポーツ」をベースにWRCラリーを鑑みて開発された「GRヤリス」のパワートレインを移植して製作されたスポーツ・モデル。
一方のホンダ・シビック・タイプRも実用車である「シビック」を基に高性能化が図られたホットハッチだ。ただし、上級モデルから技術を譲り受けるのではなく、すべてシビック・タイプRのためだけに仕立てられた機能や装備で構成されている。

2台のもっとも大きな違いは駆動系だ。GRカローラがFFベースながら4WDを採るのに対し、シビックRはFFとなる。



4WD vs 前輪駆動

GRカローラは小さなボディにできるだけ高出力なエンジンを積み、そのために足りなくなった駆動力性能を4輪駆動で補うという、1980年代に登場したグループBやグループAのWRC(世界ラリー選手権)マシンで花開いたコンセプトを基に開発された高性能小型4WDスポーツ。エンジンやドライブトレインをラリーカーのベース・モデルとして開発されたGRヤリスから移植していることがその証と言えるだろう。

それに対して、シビックRはベース・モデルと同じFFを踏襲している。車両重量の軽さやコストパフォーマンスなど2輪駆動のメリットを活かしつつも高出力化を図っているのが大きな特徴だ。ホットハッチの始祖であるフォルクスワーゲン・ゴルフGTIの流れを汲む、いわばホットハッチの本流を行くモデルである。



前後駆動力配分を選べる

GRカローラは「GR-FOUR」と呼ばれるGRヤリスにも搭載されている多板クラッチ式アクティブ・トルクスプリット4WDを採用。多板クラッチのつなぎ方により前後のトルク配分を50:50から100:0の間で可変させることができる。GRカローラでは基本的な前後駆動力配分を60:40、30:70、50:50という3通りの設定を用意。ドライバーはセンターコンソールのダイヤルで任意にその3通りから選ぶことが可能だ。また、前後のディファレンシャル・ギアにはトルセン式LSDを搭載し、左右駆動力配分の最適化も図っている。

一方のシビックRはベース・モデルと同じFFを踏襲。ただし、ヘリカル式LSDを装着することでコーナリング時の駆動ロスを抑えている。駆動力のアクティブ制御も用意されていない。



文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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