2022.12.25

CARS

GRカローラをゴルフRやAMGなど、欧州のライバルたちと比べて見た

トヨタ・ガズー・レーシング(TGR)の大注目モデル、「GRカローラ」。先日、GRカローラの標準モデルの第1弾となる500台(再販売の可能性有り)と、70台限定のモリゾウエディション(こちらは今回限り)の抽選販売の応募が締め切られ、どちらにも多数の申し込みがあったという。

クルマ好きのお父さんの味方

GRカローラは世界で最も売れているクルマのひとつ「カローラ」の5ドア・ハッチバックをベースにGRヤリスの高出力なターボ・エンジンと4WDを組み合わせたパワートレインを移植したスポーツ・モデルだ。ただし、3ドアでボディも小柄なGRヤリスに対いて、5ドアでCセグメント・サイズと呼ばれるひと回り大きいボディを持つこともあり、走りはもちろんのこと実用性の高さも期待できる、「クルマ好きのお父さんの味方」なのだ。

トヨタGRカローラ・モリゾウエディション

久々のスーパー4WDホットハッチ

Cセグメント・サイズのコンパクトなボディに高性能ターボ・エンジン+4駆を組み合わせたモデルはかつて日本車の独壇場だった。「マツダ・ファミリア4WDターボ」、「日産パルサーGTI-R」、「スバル・インプレッサWRX5ドア」といったホットハッチをはじめ、「三菱ランサー・エボリューション」シリーズ、「いすゞジェミニ・イルムシャーR」などのセダンを含めると、Cセグメント・カーを持つメーカーのすべてがラインナップしていた。しかし、スバル以外はすべて撤退。さらにハッチバックに限るとGRカローラが登場するまで皆無だった。

ところが、世界に目を向けるとGRカローラと同じ300ps級の4WD・Cセグメント・ホットハッチがドイツ勢には充実している。

トヨタGRカローラ

最右翼はゴルフR

ライバルの右翼はフォルクスワーゲン・ゴルフRだろう。EA888型と呼ばれる1984ccの第4世代ユニットにデュアルクラッチ式7段自動MT(DCT)を組み合わせる。3.2リッターV6自然吸気を積み「R32」と呼ばれていた3世代前のゴルフ5にはMTもラインナップされていたが、現在は2ペダルしかラインナップされていない。エンジンの出力は最高出力320ps/5350-6500rpm、最大トルク420Nm/2100-5350rpm。4WDはGRカローラと同じ電子制御の油圧多板クラッチ式を備える。ゴルフRはワゴン・タイプの「ヴァリアント」が選べるのが大きな特徴となっている。

フォルクスワーゲン・ゴルフR

2.5リッターのRS3もラインナップ

ゴルフRとパワートレインだけでなくプラットフォームなども共有する兄弟車的な存在が「アウディS3スポーツバック」だ。内外装がプレミアム・ブランドに相応しい上質かつ手の込んだ仕立てになるだけでなく、エンジンやシャシーの設定もアウディ独自のものを用いている。エンジンはゴルフRと同じEA888型だが、ゴルフの「EA888-DNFG」型に対し、S3は「DNFB」型という若干出力の低い仕様を搭載。310ps/5450〜6500rpm/400Nm/2000〜5450rpmを発生する。変速機と4WDシステムの基本構造はゴルフRと同じだ。

また、アウディにはS3のさらに上を行く超ホットなモデル「RS3」が設定されている。エンジンはライバルよりもひと回り大きい2.5リッター直5ターボを搭載。最高出力は400ps/5600-7000rpm、最大トルクは500Nm/2250-5600rpmという強心臓=高出力となる。変速機と4WDシステムはS3と同じデュアルクラッチ式7段自動MT+電子制御油圧多板クラッチ式4WDを採用。サスペンションやブレーキもさらに強化され、見た目もさらにアグレッシブなデザインとなっている。

アウディRS3スポーツバック

A45はクラス最強の421ps!

メルセデス・ベンツはAクラスにAMGブランドを掲げる2機種のホットハッチを用意する。GRカローラとスペックが近いのは「AMG・A35・4マチック」。1991cc直4ターボのM260型ユニットは、最高出力306ps/5800-6100rpm、最大トルク400Nm/3000-4000rpmを発生し、7段ATと組み合わせる。4WDはライバルと同じ電子制御の油圧多板クラッチ式だ。なお、S3とRS3ともにスポーツバックと呼ばれるハッチバックのほかに4ドア・セダンも選べる。

メルセデスはこの上位にアウディRS3対抗のトップ・モデル「AMG・A45S・4マチック・プラス」をラインナップ。1991ccの排気量と直4という気筒数はAMG・A35と同一だが、エンジンの基本であるブロックから別物で、AMGの熟練した職人が1人1基ずつ組んだM139型を搭載。最高出力は20リッター直4として最強となる最高出力421ps/6750rpm、最大トルク500Nm/5000-5250rpmを発生。ドライブトレインは8段ATと電子制御油圧多板クラッチ式4WDの組み合わせとなる。

メルセデスAMG・A45S・4マチック・プラス

BMWはMパフォーマンスを設定

BMWは1シリーズの最強版としてMパフォーマンス・モデルの「M135i・xドライブ」を持つ。B48A20E型の1998cc直4ターボは最高出力306ps/5000-6250rpm、最大トルク450Nm/1750-4500rpmで、8段ATと電子制御油圧多板クラッチ式4WDを備える。また、アウディとメルセデスで繰り広げられている頂上争いには参戦しておらず、400psを超える超ホット・モデルの設定はない。

ちなみに、GRカローラの最高出力は304ps/6500rpm、最大トルクは370Nm/3000〜5500rpmと、ドイツ勢にはわずかにおよばない。しかし、搭載するG16E-GTS型1618ccは、ライバルたちより小排気量の直3ターボだ。また、最大トルクを400Nm/3250〜4600rpmにアップした、限定モデルのモリゾウエディションも用意される。

BMW・M135i・xドライブ

価格はGRカローラにプラス100万円以上

車両重量は、ゴルフRが1540kg、S3スポーツバックとAMG・A35が1560kg、M135iが1580kg。GRカローラの1470kgに対し、ライバルは軒並み1.5トンを超える。

価格は、ゴルフRが639.8万円、S3スポーツバックが674万円、RS3スポーツバックは820万円、AMG・A35が724万円、AMG・A45S4マチック・プラスが853万円、M135iが667万円。GRカローラが525万円(モリゾウエディションは715万円)。最も近いゴルフRでもプラス100万円強。この価格差をどう考えるかで選択肢は広がるはずだ。別格の性能を持つRS3とA45とはベースモデルがもう1台買えそうな差がある。

フォルクスワーゲン・ゴルフR

文=関 耕一郎

(ENGINE WEBオリジナル)

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