2023年の注目の輸入車38台を一同に集めたエンジン大試乗会に参加したモータージャーナリスト40人が注目するクルマ! 猛烈なパワーにも身構えることなくアクセルを踏んでいけるアストン・マーティンDBX 707に唖然とするジャーナリストが続出。渡辺敏史さん、山田弘樹さん、嶋田智之さんの3人は、思わず叫んだ!
図抜けたシャシーの洗練度
大小安高入り交じりの、まさしく百花繚乱状態なのが今日のSUV市場。その中でDBXがどのようなキャラクターで独自性を打ち出すのかは、多くの人が興味と共に注目していたところではないだろうか。乗ってみると最も強く感じるその「らしさ」は、図抜けたシャシーの洗練度の高さにある。独創的なアルミ接着構造のプラットフォームは大きな入力でも濁った残響はなく、硬すぎず柔らかすぎずしなやかな減衰感で衝撃をいなしてくれる。サスもスポーツ・モデル的に鋭利なセットアップと思いきや、高重心の巨体にもかかわらず定量的なロールと豊かな接地感を軸に、操縦実感をきちんと伝える姿勢づくりが出来ている。大入力をものともせず一発で収束させるフラットライドぶりも見事だ。その感触はこのモデルでも変わっていない。運転手の意思に優しく従順に応えてくれるがゆえ、707psという激烈なパワーにも身構えることなくアクセルを踏んでいける。スペックから案ずる破綻せんばかりの危うさは微塵もない。その調律の完璧さは芸術的だ。(渡辺敏史)
シャシーが素晴らしい
ベース車(550ps/700Nm)のDBXでさえその漲るパワーに感動したのに、707ps/900Nmにまで鍛え上げられたAMG製4リッター V8ツインターボの途方もない力強さには、ただただあきれかえるばかり。しかしそれ以上に驚かされるのは、このパワーをまるっと抑え込みながら、終始英国スポーツカーらしいテイストで路面を捉え続けるシャシーの素晴らしさだ。出力の向上に対し22インチ(!)のタイヤが23インチ(!!)に底上げされたのは納得だが、カーボンセラミック・ブレーキの恩恵かロードマナーが非常によく、硬さやゴツさをさほど意識させない。そしてスピードを上げて行くほど、その足まわりがなめらかに伸びて行く。弾ける速さをドイツ車のようにサスペンション剛性で抑え付けるのではなく、電子制御の裏支えはあるにせよ、あくまで英国車然とした操縦性でさばき切るみごとさ。スピードとリニアリティが渾然一体となった走りは、ちょっと芸術的ですらある。ドーパミンが溢れて走らせながら思わず笑ってしまうSUVなんて、そうそうない。価格は高めだが、手に入れる価値のある一台だ。(山田弘樹)
ウソだろ?のオンパレード!
DBX 707は、“ウソだろ?”のオンパレードなクルマだった。最初の“ウソだろ?”は静止状態からのフル加速。2.2トンを超えてるというのに、強烈に雄々しいサウンドを盛り上がらせながら、腰と背中をドカーン!と蹴飛ばすような勢いのダッシュをお見舞いしてくれたのだ。次の“ウソだろ?”は、707psに900Nmもある超高性能車くせに、高速道路で唖然とするほどのフラットで快適な乗り心地を味わわせてくれたこと。そして最大の“ウソだろ?”は、あくまでもワインディング・ロードのレベルではあるのだけど、ポルシェ911にそう遅れることなくついていけちゃったこと。しかもコーナーがめちゃめちゃ速い。怖くなるような雑な動きというのが微塵もない。ブレーキの踏力調整は抜群にしやすいし、反応も自然にして確実だし、制動フィールも素晴らしい。SUVのふりをしたスーパー・スポーツカーそのもの、である。アストン・マーティンの芳醇なGTカーにずっと憧れてきたが、次に生まれてくるときにはDBX 707に手が届く人になりたい、とちょっと思っていたりする。(嶋田智之)
写真=神村聖/郡 大二郎
(ENGINE2023年4月号)
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