2023.03.19

CARS

ランボルギーニ・アベンタドール後継車の続報 LB744フルカーボン・ボディ構造を採用

アヴェンタドールの後継車として間もなく正式発表されるランボルギーニの新型12気筒ミドシップ・スーパースポーツカー。先日事前情報として発表されたパワートレインに続き、ボディについても明らかになった。

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航空工学から知見を得る

社内コード名は「LB744」、ランボルギーニがHPEV(ハイ・パフォーマンスエレクトリック・ヴィークル)と呼ぶプラグイン・ハイブリッド(PHEV)を持つスポーツカーの技術的なトピックスは、PHEVを採り入れたパワートレインの歴史的な変化だけにとどまらない。それは車体を構成する新設計のモノコック=ボディに関しても同様で、軽量で高剛性なカーボンファイバー素材のみで製造される、航空工学から知見を得た革新的なそれを、ランボルギーニは「モノフセレージ」と呼ぶ。



高い安全性にも寄与

モノフセレージはフロント・セクションにもカーボンファイバーを100%採用した構造を持つ初のスーパースポーツカーだ。「フォージド・コンポジッド」、すなわち2008年には特許を取得していた樹脂に含浸した短いカーボンファイバーによる特殊素材を採用したLB744のフロント・フレームはアルミニウム製によるアヴェンタドールの2倍のエネルギー吸収力を持ち、さらにフロントのコーンにもカーボンファイバーを使用することでクラッシュ・ボックスとしての機能も高められている。



オープン・ボディにも簡単に対応できる

モノフセレージのデザインは実にユニークなものだ。フォージド・コンポジッド素材だけでなく、モノリシック・ロッカーリングと呼ばれるシングルエレメント(単一部品)のリング状の構造体を核に炭素繊維強化プラスチックを使用。このモノリシック・ロッカーリングにタブやファイアーウォール、ピラーなどのフォージド・カーボン製の構成部品を接合していくという手法がとられているのだ。ルーフは伝統的な高圧複合オートクレーブ製法によるもの。定評のあるその品質の高さはオープン仕様などルーフのカスタマイズに多くの選択肢を提供することを可能にするのだろう。

結果的にLB744のシャシーはアヴェンタドールと比較して10%も軽く、さらにフロント・フレーム単体では同様の比較で20%も軽量な結果を得ることに成功した。注目のねじり剛性は40000Nm/度。これはクラス最高のダイナミクス性能であると同時に、アヴェンタドール比では25%の向上に相当する。リア・サブフレームは高強度のアルミ合金製。軽量化、堅牢性の向上、そして溶接部の大幅な削減など、こちらも剛性をより高く確保するための技術的な進化は数多く見られる。



製造方法にもメスを入れる

ランボルギーニの創立60周年という記念すべきアニバーサリー・イヤーに誕生するLB744だが、それは同時にカーボンファイバーを使用するモデルの製造方法についても「ゼロ年」を象徴するモデルでもある。ランボルギーニは今後、「AIM」(オートメーション、インテグレーション、モジュール化)を導入。コンポジッドの分野などランボルギーニの伝統的な技術を維持しながら、デジタル化されたプロセスを用いた自動化によるオートメーションと、圧縮成型の開発を通じて複数の機能をひとつの部品に統合するインテグレーション、さらに応用技術をモジュール化することで、あらゆる製品の要求性能に対応できるよう、より柔軟で効率的なものへと進化させていくつもりだ。

LB744でゼロ年という新たなスタートを切ったランボルギーニ。今回のプレゼンテーションにおいて、ランボルギーニの会長兼CEOのステファン・ヴィンケルマン氏は、LB744のコードネームで呼ばれるV12気筒のフラッグシップ・スーパースポーツ、V10スポーツカーのウラカン、SUVのウルスに続く将来的な第4のモデルの存在にまで言及。それはアウディ傘下にランボルギーニの加速度的な成長に裏づけられた自信に満ち溢れた宣言だった。



文=山崎元裕

(ENGINE WEBオリジナル)

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