2023.04.22

LIFESTYLE

工務店紹介の建築家が条件の土地 大胆にも施主はリストの中から有名建築家を選んだ! はたしてその提案されたプランは・・・ これだから家づくりは面白い!!

螺旋階段が3階まで続く

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吹き抜けが中心の家

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若松さんの提案は、家の中央に吹き抜けがあり、オープンになった部屋がそれぞれ吹き抜けに面したもの。さらにその吹き抜けを、下から上の階まで螺旋階段が貫いたものだ。
 
完成したY邸の外観はシンプルな四角い箱だが、内部はかなり複雑である。各部屋をスキップフロアーのように螺旋階段でスムーズに繋ぐには、床の高さや天井高の調整が必要なのだ。しかも一カ所変更すると階段の角度が変わってしまうので、他のどこかに手を入れないといけない。今の最終形に落ち着くまで、相当な微調整が行われたことだろう。平面図で同じ階にあるように記されていても、場所によって床のレベルが異なる個性溢れる家だ。図面を見ただけでは、一体どのような構造なのか簡単には分からない。



そんなY邸の間取りは、1階に広いエントランスホールがあり、少し上がって、カーテンで仕切れる主寝室。さらに階段で上がった2階の踊り場を左に行けば、リビング。右に折れて4段上がれば、天井高が4mを超える、大空間のダイニングになる。この部屋の北壁の高い位置には1.8m四方の大きな窓が設けられ、天気が悪い日でも部屋は明るい。そしてその脇、奥様が長い時間過ごすキッチンは建物の中央に位置している。ここに居れば家全体の気配が感じられる仕組みだ。キッチンカウンターの端は、子供たちの勉強スペース。3階は、将来仕切れば個室になる子供たちの部屋と、風呂などの水回り。屋上にも出られるようになっている。部屋毎に間仕切りのない大空間の家は、視線が抜けるだけでなく容積率をギリギリまで使っているので、敷地面積を忘れてしまうほど、大きな家と感じたものだ。




ガレージからのクルマ選び


この複雑な構造の割をくったのがガレージである。間口は5.5mほどと限られるうえ、高さは梁下で1.88mしかとれないのだから。だが、子供たちの送迎用に7人乗れるクルマと、Yさんの通勤のために2台のクルマが必要だ。学生の頃は日産フィガロに乗っていた、クルマにも拘りのあるYさん。マンション時代はシトロエン・ピカソ一台で済ませていたが、このスぺースになんとか2台を停めたい。

ガレージに合わせたクルマ選びで、最初に決まったのが7人乗りのホンダ・クロスロード(2008年製)である。輸入SUVと比べて信頼性が高いうえ、175.5cm幅のサイズは運転しやすい。しかも、キャンプ用品を積むのに便利なルーフラックを付けたモデルでもガレージに入れることができるのだ。綺麗にレストアしているモデルに専門店で出会ったのも選んだ理由である。

そしてもう一台は、クルマ好きの友人が薦めるポルシェ911にしたかったのだが……。クロスロードの脇ではスペースが足りない。最終的にアバルト6 9 5 C・リヴァーレ(2018年製)を選んだ。「扱いやすいサイズで、都心を運転していて楽しいですね。バックカメラも使わないで済むくらい後方視界も良いですし。子供が成長して7人乗りのクルマが必要なくなったら、クロスロードを小さいクルマに換えて、911に乗れたらと思っています」

さて、Yさん一家がこの家で暮らし始めて1年。予想外に良かったのは、大きな吹き抜けが家の中央にあるにもかかわらず、空気が効率よく循環しているので、夏も冬もエアコン一台で快適なこと。それ以外は、


「職場との往復がほとんどで、劇的に生活は変わっていない」とYさん。一方奥様は、「子供たちが生き生きしています。集合住宅だと周囲に気を遣うので、自由に走りまわったりピアノを弾いたりできなかったので。家を建てて、本当に良かった」と話す。家具ギャラリーのような美しい家が、子供たちにとっても居心地のよい場所だったとは。Y邸を取材して、戸建て住宅で暮らす良さを、再認識した。

文=ジョー スズキ 写真=田村浩章



■建築家:若松均 1960年東京都生まれ。東京工業大学卒業後、1989年より自身の事務所を主宰。住宅の他に、集合住宅、オフィス、クリニックなどを手掛ける。なかでも都会的でニュートラルな集合住宅は定評が。写真は、丸みを帯びた居室が重なる「桜並木の集合住宅」。前橋工科大学で後進の指導も。

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(ENGINE2023年5月号)

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