2023.05.03

CARS

レブリミットは9500回転! エンジンの搭載方向がこれまでと180度逆?! ランボルギーニの最新モデル、レヴエルトの発表会に立ち会ったジャーナリストが、その詳細を明らかにする!!

縦型の、まるで浮いているようにマウントされたセンター・ディスプレイ部は異なるが、レヴエルトのインテリアのイメージはシアンによく似ている。

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カウンタックからはじまり、ディアブロ、ムルシエラゴ、アヴェンタドールと連綿と続いてきたV12エンジンを搭載するランボルギーニのフラッグシップ・モデルの最新作がついにその姿を現した。その名は、レヴエルト。イタリアの本拠地、サンタアガタで行われた発表会会場より、山崎元裕が報告する。

開発コード「LB744」

世界からわずかに数十人のメディアを招き、ランボルギーニの新型12気筒ミドシップ、「レヴエルト」のお披露目が行われたのは、3月上旬、イタリアのサンタアガタ・ボロネーゼにあるランボルギーニ本社内にあるデザイン・センターでのことだった。この時はまだ正式発表の瞬間までは開発コードである「LB744」と呼ばなければならなかったレヴエルトだが、それがいかにランボルギーニにとって革新的なニューモデルであるのかは、実際に採用されたメカニズムの構成を知れば、誰にも明らかなところだった。



レヴエルトの技術解説で、予想はしていたものの、やはり現実を突きつけられて一瞬息を呑んだのは、「エンジンの搭載方向はこれまでと180度逆になります」という一言だった。これまでのランボルギーニ製12気筒ミドシップは、1973年にセールスを開始したカウンタックから、ディアブロ、ムルシエラゴ、そしてアヴェンタドールに至るまで、すべてかのパオロ・スタンツァーニが考案した、V型12気筒エンジンとトランスミッションを直列に接続し、車体後方から通常のフロント・エンジン車とは前後逆向きに搭載。トランスミッションはキャビンにまで進入し、最先端で180度方向を変えリアのデフに戻るという、独特なレイアウトを採用していたのである。

パオロ・スタンツァーニがこのレイアウトをカウンタックで採用した背景の1つには、将来的な4WD化も視野に入っていたというが、結果的にディアブロでようやく実現した4WDシステムも、今回のレヴエルトでは物理的には前後で切り離されることになった。その役を担うのは、フロントアクスルに搭載される2基のエレクトリック・モーター。レヴエルトにはさらにエンジンの後方に横置き搭載される8段DCTとの間にもモーターが搭載されており、それらを効率的に使い分けることによって、運動性能と環境性能の両立を図る。



ランボルギーニが初めて、V型12気筒エンジンにモーターをマッチングさせたのは、2019年に発表されたシアンで、この時はセンタートンネル内に電気エネルギーを蓄えるスーパーキャパシタを配し、33.5psの最高出力を持つモーターでV型12気筒エンジンをサポートするなど、さまざまな話題を提供した。

今回のレヴエルトのセンタートンネル内には4500W/kgと高比重のリチウムイオン・バッテリーパックが配置されており、重心を可能なかぎり低く保つとともに最適な重量配分を実現。バッテリーは下部構造層で保護され、前後のモーター、そして統合充電ユニットに接続されている。バッテリーは長さ1550mm、高さ301mm、幅240mmとコンパクトで、全体容量は3.8kWhのパウチセル。家庭用の一般的な交流電源からでも、わずか30分で満充電が完了する。

6.5リッター仕様のV型12気筒エンジンも、L545型と呼ばれる新設計のものだ。軽量化にもストイックに取り組んだというこのエンジンは、従来のアヴェンタドール用L539型よりもさらに17kgも軽い、218kgという重量で仕上げられており、825ps/9250rpmの最高出力と725Nm/6750rpmの最大トルクを発揮する。1リッターあたりの出力はランボルギーニ史上最高となる128ps/リッター。燃焼室内での最適なエアフローを実現するために再設計された吸気ダクトや、ふたつのコントローラーによる燃焼室内のイオン化、あるいは12.6への圧縮比の向上、排気システムの高効率化などが功を奏した結果である。



このレヴエルトでは4WDのシステムにおいて物理的な接続はなくなったと書いたが、これはフロントアクスルに備わる2つのモーターが、必要時には各々148psという高出力で前輪を駆動。さらにはトルクベクタリング機能もそなえているという事情にその理由がある。レヴエルトはもちろんモーターのみでの、いわゆるゼロ・エミッション走行も可能にするモデルだが、そのためのモードを選択すると前輪のモーターのみが駆動力を発揮。さらに必要時には8段DCTに組み込まれたもう1つのモーターをオンデマンドで作動させることができる。搭載されるバッテリーの容量から考えると、純粋なEV走行が可能な距離はさほど長いとは想像できないが、それでもこれは画期的なことだ。

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