2023.05.31

CARS

乗ってびっくり、予想以上にFFがいい!! スバル・クロストレックに自動車評論家の国沢光宏が公道で試乗

スバル・クロストレック

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インプレッサにSUVの要素を盛り込むというコンセプトはそのままに、4代目に一新されたのを機に、車名をXVから世界共通のクロストレックに変更。こちらはすでに発売済みということで、公道でじっくり走りを楽しむことができた。モータージャーナリストの国沢光宏がリポートする。

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予想していた以上にFFがいい

今まで「スバルXV」という車名だったインプレッサのクロスオーバー・モデルが、フルモデルチェンジを機に「クロストレック」となった。XVもアメリカでは最初からクロストレックという車名だったので、世界統一したかったそうな。ただ日本の場合、新しい車名を認知してもらうまで時間もお金も掛かると言われる。この記事を読んで「XVがクロストレックになったんですね」と思っても、時間の経過と共に車名を忘れがちになる……というのは私だけだろうか(笑)。また先代モデルはインプレッサが先行して登場し、XVを追加した。今回クロストレックを最初にリリースし、インプレッサという順番。いろんな事情があるのだろう。いずれにしろ基本骨格を共通とする兄弟車となる。



先行して発表されたということからサーキット試乗だけだったインプレッサに対し、ナンバーも付いて公道試乗と相成った。パワーユニットは「eボクサー」と呼ばれる2.0リッター 145psに13.6psの小型モーターを組み込んだマイルド・ハイブリッドのみ。もっとパワフルなエンジンや、リーズナブルなエンジンもラインアップすればいいのに、と思うだろうけれど、スバルはeボクサーより燃費の良いパワーユニットを持っていない。日本のCAFE(企業別平均燃費)をクリアしようとしたら、燃費重視のeボクサーしか選択肢がないのだった。パワフルなエンジンを諦めつつ走り出す。すると車体は滅法良い! XV時代と全く同じボディ・サイズながら、車体構造を格上のレヴォーグと同じにしてきた。



例えばステアリング・ギアボックスはDセグメント以上が採用しているコストの掛かったWピニオン式(ラックにモーターを組み込み、ステアリングフィールを向上させる構造)。車体剛性までレヴォーグと同じレベルにしてきたということで、素晴らしい仕上がり。ゆったり流していると、日本車と思えないくらい上質の乗り心地を持つ。試乗コースに素晴らしいワインディング・ロードが組み込まれていたので、走りの味見をしようとアクセル踏んだら「う~ん!」。上等の車体にパワーが全く追いつかない(笑)。特に登り主体のワインディング・ロードだったこともあり「もう少しパワーあったらいいのに~」。エクストレイルやハリアーのようにシステム出力200馬力くらいのハイブリッドを持っていたら、鬼に金棒のSUVになると思う。

着座位置が高くなり、シート表皮や色味が異なる以外は基本的にインプレッサと変わるところはない。布シートのほかに、オプションで革も選べる。価格は266.2万円~。

そうそう。XVからクロストレックになってFFも選べるようになった。雪道を走らないユーザーからすれば安価だし軽いため動力性能も燃費も良いでしょう、ということ。乗り比べてみたら予想していた以上にFFがいい。乗り心地が良いだけでなく、直進安定性だって4WDに負けていない。開発を担当した人に聞いたら「スバル初の小型乗用車はFFですから!」。そうくるか! 確かにスバル1000は日本で最初のFF車だった。FFも最低地上高が4WDと同じ200mmあるため、普通のFF車より雪や悪路に強い。雪の降らない地域で乗るのなら問題なし。そうそう、スバルの得意分野である運転支援装置は従来のステレオカメラに広角レンズを追加した3カメラ式にグレードアップされており、先代より一段と危険対応能力が上がっている。

文=国沢光宏 写真=スバル



(ENGINE2023年7月号)

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