『ENGINE』8月号では「2023年、推しの1本はこれだ!」をテーマに時計を大特集(前篇)。編集部が信頼する時計ジャーナリストと目利きたちでエンジン時計委員会を結成し、時計好きとしての原点に立ち戻り、2023年のイチオシの時計について、その熱い想いを打ち明けてもらった。
今回はベル&ロスから、航空計器をルーツとするBRシリーズの新作、「BR 05 GMT SKY BLUE」を紹介する。
旅を想う時計
篠田哲生(時計ジャーナリスト)海外旅行に行けないとき、心を癒したのは世界のライブカメラ映像だった。訪れたことがある街やこれから行きたい街などを巡回していたが、特にお気に入りはハワイのサンセット中継。その時間が来たら、仕事中でも手を休めてしばし見惚れたものだった。GMTウォッチにも同様の効果がある。一本のGMT針を好きな場所のタイムゾーンに合わせれば、その針だけで遠い異国と繋がることができる。航空計器をルーツとするBRシリーズは、旅の時計との相性が良いし、「BR 05 GMT」のダイヤルは飛行機から見た、あの空の青さにも似ている。GMT機構は便利なだけではない。いつでもどこでも、心を旅立たせてくれるのだ。遠目でもわかる存在感
本間恵子(ジュエリー&時計ジャーナリスト)かなり以前のことだが、カール・ラガーフェルドがご健勝のみぎり、今はなきパリのコレットに何人ものボディガードを従えてカールがなだれ込み、時計売り場を物色してベル&ロスを手に取ったのをちょっと離れたところから目撃した瞬間、私の中でこのウォッチメゾンのステータスは爆上がりした。シャネルとベル&ロスが資本提携関係にあるということは、その後知った。離れたところから見てもすぐにベル&ロスの時計とわかる、このモデルを身に着けるということ。それは「私は高級時計に興味があります。しかもファッションが大好きです」とのマニフェストに他ならない。これはGMTだから、そこに「実は国際派です」も加わる。物言う時計である。明日にも旅に出たくなる
菅原 茂(時計ジャーナリスト)さすが! いつも感嘆符を連発してしまう。なんといってもセンスが秀逸で、巧みに計算されたデザインに感心する。新作はケースとブレスレットが一体型の都会的なデザインとGMT機能とを組み合わせたトラベルウォッチに今度は爽やかなスカイブルーの彩りを加えた。同じデザインでアンバーダイアルを採用した日本限定モデルも良かったが、新しいスカイブルーによってこの時計の旅のテーマにさらに接近した。見ればさっそく着けて空の旅に出たくなるし、旅人の自分を空想したり―楽しいじゃないか。アフターコロナで甦った旅心を見透かしたような時計だが、ベル&ロスには人の心理を見抜き、気持ちを揺り動かす秘訣でもあるのだろうか。ベル&ロス/BR 05 GMT SKY BLUE
角に丸みをもたせたスタイリッシュなスクエア型ベゼルがラウンドのダイアルを引き立てる「BR 05」は、ベル&ロスが力を入れるエレガントでラグジュアリーなシティ派ウォッチの代表作。最新作では、第2時間帯の表示が可能なGMT機能を配したダイアルをシャイニーなスカイブルーで美しく彩り、トラベルウォッチとしての魅力をさらに高めた。自動巻き。ステンレススティール、ケース縦41×横41mm、100m防水。71万5000円。問い合わせ=ベル&ロス 銀座ブティック Tel.03-6264-3989写真=近藤正一
(ENGINE2023年8月号)
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