2023.06.28

CARS

エグゼクティブ・ラウンジもいいが、Zプレミアも捨てがたい 新型アルファードとヴェルファイアのラインナップを深掘り

シエンタからノア&ヴォクシーへと続くトヨタ・ミニバン・ラインアップの頂点に立つ、最高級ミニバン、新型アルファードとヴェルファイア。その各構成要素にクローズアップし、深掘りしていく。今回はパワートレインの設定やグレード構成などラインナップに注目する。

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両車で異なるパワートレインを用意

これまでアルファードとヴェルファイアとの差別化は外装が中心で、それぞれ名称は異なる場合があったもののグレード構成はほぼ同じで、パワートレインに至ってはまったく違いはなかった。しかし、4代目となる新型では初めて専用のパワートレインが用意され、グレードも異なる構成になっている。

アルファード・エグゼクティブ・ラウンジ

パワートレインはすべて初採用

新型に用意されるパワートレインは、2.5リッター直4、2.4リッター直4ターボ、2.5リッター直4+遊星ギアを備えた2モーター・ハイブリッド(HEV)の3機種。初採用の2.4リッター・ターボだけでなく、ハイブリッド用の2.5リッターも新しいTNGAプラットフォーム用の新エンジンとなる。なお、HEVはモーター駆動、ガソリン車はエンジン駆動といったように動力源は異なるが、すべてのパワートレインとグレードに4WDが設定される。

3つのパワートレインのうち、アルファードは2.5リッターと2.5リッターHEV、ヴェルファイアは2.4リッター・ターボと2.5リッターHEVのそれぞれ2機種ずつを設定。2.4リッター・ターボはこれまでの3.5リッターV6に替わる高出力ユニットなので、アルファードにはベーシック版、ヴェルファイアには高出力版が与えられたということになる。

当初新型はアルファードに一本化されるはずだったが、独自の世界観を支持するユーザーがいるということで継続。それを踏まえ、見た目だけでなく、走りでも差別化することで、ヴェルファイア・ユーザーの心をガッツリと掴もうということなのだろう。

ヴェルファイアZプレミア

どちらも実質2グレード構成

新型に用意されるのは福祉車両として用途を盛り込んだウェルキャブを含み、全4グレード。最上位の「エグゼクティブ・ラウンジ」、「Zプレミア」、「Z」、そしてウェルキャブの「Gサイドリフトアップチルトシート装着車」となる。この中で、アルファードには「Zプレミア」を除く3グレード、ヴェルファイアには「エグゼクティブ・ラウンジ」と「Zプレミア」の2グレードが用意される。

エグゼクティブ・ラウンジはとくに2列目の快適性を高めているのが最大の特徴。2列目にはロング・スライドやエアバッグ式マッサージ機能、オットマンとアームレストのヒーターを備えた豪華版シート、格納式テーブル、14インチ画面の後席用モニター、読書灯、空調やオーディオなどを5.5インチのタッチ画面でリモート操作する脱着式のリア・マルチオペレーション・パネルなどを装着する。また外装では、ウインドウが遮音ガラスとなり、左右独立ムーンルーフを標準装備。サイドマッドガードにはメッキモールが付く。

面白いのはアルファードとヴェルファイアでタイヤ・サイズが異なることだ。アルファードが17インチを履くのに対し、ヴェルファイアは2インチ大きい19インチを履く。後席を最優先にするグレードでも走りや見た目を高めることを忘れていないヴェルファイアのキャラクターに合った選択が行われている。

アルファード・エグゼクティブ・ラウンジ

違いが表れるZ系グレード

ヴェルファイアが走りや見た目を重視するという姿勢は「Z」グレードにも表れている。アルファードのZはエグゼクティブ・ラウンジに備わる2列目のおもてなし装備を簡略化したモデルだ。とはいっても、装備のレベルは十分高い。それに対し、ヴェルファイアのZプレミアは豪華装備が簡略化されているのはアルファードZと同様だが、Zでは設定のないパドルシフトを装着。

また、ヴェルファイアのエグゼクティブ・ラウンジが各所のモールディングに光沢のあるメッキを使用しているのに対し、Zプレミアは光沢を抑えた漆黒メッキを用いることで、よりシックな装いとなる。タイヤ・サイズはZの18インチに対し、Zプレミアは19インチを履く。なお、ウェルキャブのGはZからさらに装備を簡素化したグレードだ。

ヴェルファイア・エグゼクティブ・ラウンジ

アルファードに専用色を設定

ボディカラーはパールホワイト系とブラックのほか、アルファードにのみブラウン系のプレシャスレオブロンズを用意する。

内装はブラックのほか、アルファードのエグゼクティブ・ラウンジはニュートラルベージュ、ヴェルファイアはエグゼクティブ・ラウンジ、Zプレミアともにサンセットブラウンもオーダーできる。木目柄パネルは、エグゼクティブ・ラウンジが屋久杉のうずら杢をモチーフにしたというウズラモク、ZとZプレミアがマットな質感のダークブラウンとなる。

歴代モデルと比べるとラインナップが少ないが、これは半導体不足をはじめ、まだ生産が正常化されていない現状を考慮した結果と言われている。今後、生産体制が整えば、ウェルキャブで設定のある普及版のGグレードやさらなる上級モデル、レクサスLMには設定のあるVIP向けの2列シート仕様、多彩なカラーバリエーション、もしかしたら、現在は片方の車種にしかない2.5リッターや2.4リッター・ターボがどちらのモデルでも選べるようになるかもしれない。

アルファードGサイドリフトアップチルトシート装着車

文=関 耕一郎 写真=茂呂幸正、トヨタ自動車

(ENGINE WEBオリジナル)

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