2023.07.19

CARS

京都でついに本命の鯖寿司にありつく! シトロエンC5 Xプラグイン・ハイブリッドで鯖を食べに、サヴァ街道を行く!!【後篇】

往年のシトロエンの乗り心地を再現したという注目の最新モデル、C5 Xのプラグイン・ハイブリッドで、日本海から内陸へと延びるいくつもの鯖街道を駆け抜け、各地に伝わる鯖料理に舌鼓を打った! 夏休み直前、C5 Xで行くこれぞとっておきのクルマ旅。 前篇に続く後篇では、鯖を求めて京都と福井を巡る旅をお送りする。◆前篇から読む場合はこちらから!

サバ天国に辿りつく

3日目の朝は、大粒の雨の音で目を覚ます。伊根湾を望む露天風呂で疲れを癒やし、土砂降りの中を出発した。この日はほぼ一般道だけで2つの東西の鯖街道を駆け抜け、福井と京都を往復する。朝食にと立ち寄った道の駅名田庄でも、目当ての自然薯を練り込んだ名物の鯖そばはお休み。またも空振りだ。いやはやここまでフラレるとは……。結局四鯖目になったへしこのおにぎりは期待よりうまかったけれど、納得はいかない。ここは大本命の京都の鯖寿司と福井のサバにかけるしかない。


 
C5 Xの屋根を叩き付けるような豪雨の中、対向車が来たらすれ違いのできない細い古道を行く。かつて人力でサバを運んだこの険しい道が高浜街道、いわゆる西の鯖街道だ。「京は遠ても十八里」という昔のひとの言葉の通り、距離は約70kmと現代のクルマであれば苦でもない。けれど、この狭さと延々続くクネクネの道は、少々大柄なC5 Xでは気を遣う。道の両脇に古い民家が軒を連ねるようになったな、と思った瞬間、視界が開けた。京の都に到着だ。

さて、目指すは鯖街道の終点、出町橋近くの老舗、花折。毘沙門寿司のバッテラ風もうまかったが、しゃりが大きくすぐ満腹になるのに対し、ここの龍飛巴巻は少な目のしゃりを上下から厚みのあるサバで挟む、サバ・フリークにはたまらない仕立てだ。うまい! こうして3日目、五鯖目にして、ようやく僕らは本命の鯖寿司にありついたのだった。

西の鯖街道と若狭街道(名田庄~京都~小浜)。伝統の鯖寿司に涙し、鯖づくしには唸る。3日目の昼食は京都府上京区・出町橋西側にある鯖街道の石碑に近い、伝統的な手法を守って鯖寿司を作り続ける花折 下鴨店(住所:京都府京都市左京区下鴨宮崎町121 TEL:075-712-5245)へ。選んだのは鯖寿司、京炙り(焼鯖寿司)、サバでしゃりを上下から包んだ贅沢な龍飛巴巻がセットの『巴膳』。


午後は琵琶湖側を回る、一番メジャーなサバの道、若狭街道へ。途中、熊川宿のミュージアムでサバの歴史を学んだり、古の街道を示す石柱を探した。そしてまた福井へ戻り、懲りずに鯖づくしを食せる料理旅館、若杉末広亭に宿を取った。この夜の六鯖目では、味噌煮やぬた和えなどさらなる調理法とご対面。まさにサバ天国の1日だった。

みちくさこそ旅の醍醐味

4日目、旅もいよいよ最終日。朝から小浜漁港に向い、ようやく出会えた地もの鯖に目を輝かせ、漁師向けの定食屋で焼き鯖定食を頼む。カメラマンの岡村さんはまたサバかと、もはや呆れ顔だ。いや、まだ七鯖目ですよ、と僕は笑顔で返す。しかもまだ最後の鯖街道、北国脇往環のサバ名物たちが待っている。

昨日の雨が嘘のように、この日は雲の合間から青空が見えていた。そこで僕らはまたみちくさをすることにした。一昨日京丹後へ向かう途中に見えた三方五湖沿いを走るレインボーラインも、ぜひ走っておきたい場所の1つだったからだ。

小浜からこの旅最後の鯖街道、北国脇往環の起点の木之本に行く途中、内外海半島を走るエンゼルラインに立ち寄った。ところが濃い霧で視界はゼロな上、「熊出没注意!」という看板もあり、フラストレーションはたまる一方に。しかし続いて向かった三方五湖沿いを走るレインボーラインは最高のドライブ・ルートだった。


C5 Xは1.8t近い車重ながら、急な峠の登り坂をものともせずにかっ飛んでいく。足はしなやかでロール自体は大きめだが、自然で嫌な感じはしない。途中で運転を岡村さんに変わってもらって気がついたのだけど、自分の意図していないクルマの動きと、特にコンフォート・モードが組み合わさると、道によっては彼の言うとおりダンピングが収束しきれていないような動きが出る。ただ、自分で操っている時はさほど気にならない。コンフォート・モードの方が好みだけど、同乗者がいる時はハイブリッド・モードが吉のようだ。岡村さんも、助手席とはずいぶん印象が違うと口元がほころんでいる。どうやらこのシトロエンの最新技術は、ジェントルに走らせてこそ光るようだ。なお積算計はこの時、ウソかホントか、まさに8000kmを超えたところだった。

北国脇往環(木之本~関ヶ原)。女将の焼鯖そうめんと鯖のなれ寿司で大満足。最終日の昼食は木之本宿内にある、みちくさ(住所:滋賀県長浜市木之本町木之本930 TEL:0749-50-2622)で伝統料理の『焼鯖そうめん』を選択。焼いたサバを醤油だしで煮ており、うまみがじゅわっと口の中で広がる。


走ったらまた腹が減る。北国脇循環の起点、木之本宿で八鯖目。焼いたサバを使った焼鯖そうめんを頂く。この店の名はずばり“みちくさ”。女将と世間話をしていた岡村さんは、いつしか姿が見えなくなった。どうも彼女から近くの酒造のことを聞きつけたらしい。彼は日本酒に目がないのだ。その間に僕はC5 Xをちょっと走らせ、九鯖目となる鯖のなれ寿司をお土産に買ってきた。木之本宿に戻ると、酒瓶を手に、満面の笑みを浮かべた岡村さんが待っていた。「つまみもありますよ」と僕もサバを見せて頬を緩ませた。

関ヶ原に抜けた僕らは、渋滞を避けてさらに一般道で伊勢湾岸道に向かい、新東名と東名を乗り継いで東京へ戻った。総走行距離は1754km。給油回数は4回で、ハイオク109.78リッターを要した。フル充電にやや満たない状態で出発したが、給電は1度もせず、車載コンピュータによる燃費は16.9km/リッターと出た。

しかし4日間これだけ走っても、目標の十種の鯖料理にはあと一歩及ばなかった。でも、遠く中国地方には鳥取と姫路、米子と姫路、さらに松江から山中へ延びる3つの鯖街道がまだある。きっとまだ見ぬ鯖料理が僕を待っている。サヴァの道を巡る旅は終わらない。あぁサヴァダヴァ、サヴァダヴァ~。

文=上田純一郎(ENGINE編集部) 写真=岡村智明



■シトロエンC5 Xシャインパック・プラグイン・ハイブリッド
駆動方式 フロント横置きエンジン+1モーター前輪駆動
全長×全幅×全高 4805×1865×1490mm
ホイールベース 2785mm
車両重量 1790kg
エンジン 水冷直列4気筒DOHCターボチャージャー
総排気量 1598cc
最高出力(エンジン+モーター) 180ps/6000rpm+81kW/2500rpm
最大トルク(エンジン+モーター) 250Nm/1750rpm+320Nm/500~2500rpm
一充電航続距離 65km
変速機 8段AT
サスペンション(前) マクファーソン・ストラット
サスペンション(後) トーションビーム
タイヤサイズ(前後) 205/55R19
ブレーキ(前/後) 通気冷却式ディスク/ディスク
車両本体価格 653万8000円

(ENGINE2023年8月号)

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