2023.08.03

CARS

100周年のル・マンで58年ぶりの大勝利! マラネロからル・マンまで激走1200km、フェラーリの旅!!

100周年のル・マンに、50年ぶりの復帰で、58年ぶりの大勝利をおさめたフェラーリ。

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魔物と運命の女神

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サルト・サーキットには魔物が住んでいると多くのレース通は言う。確かにそうだと私も思う。ここに来るたびに思い知るのだが、本当にル・マン24時間レースでは、何が起こるかまったく想像がつかないのだ。そして、今年もまたそうだった。

最初の異変は、ローリング・スタートでレースが始まって間もなく降り始めた雨がもたらした。13km以上もあるコースのこちらは晴れているのに、あちらは大雨という状況の中で、多くのマシンがスピンを喫し、壁にヒットして、レースからの離脱を余儀なくされたマシンもあった。

6月10日午後4時、2台のフェラーリ499Pを先頭にローリング・スタートで2023年のル・マン24時間レースが始まった。 サルト・サーキットは全長13.626kmで38のコーナーを持つ。100周年で91回目の開催となるル・マン24時間レースの今年の参加台数はハイパーカー・クラス16台、LMP2クラス24台、LMGTE クラス21台の61台で、計186 人のドライバーが参戦。観客動員数は32万5000人。

その中で堪え抜いたフェラーリとトヨタに、異変が起こったのは夜のセッションでのことだった。まずはトヨタの7号車が夜半過ぎに黄旗区間で後続車に追突されて大きなダメージを負いリタイヤ。一方、フェラーリの50号車もモーターに砂利が入るトラブルで交換のためにピットに入り、大きな遅れを取ってしまう。

結局、フェラーリ51号車とトヨタ8号車の一騎討ちとなったレースは、まったく目が離せない緊張感に満ちた争いとなった。残り5時間ほどでフェラーリが給油した際、システムが再始動しなくなるトラブルに見舞われてトヨタに抜かれたが、コース上で再び抜き返す。そして、残り2時間を切った頃、猛プッシュしてフェラーリを追いかけるトヨタ8号車がブレーキングのミスからスピンして壁に当たり、補修作業のためピットに入り、遅れを取る。



写真は、トップ・チェッカーを受けると、そのままピットウォール側にマシンを寄せて祝福を受ける51号車。

これでレースの行方はほぼ決まったと言っていいだろう。フェラーリ51号車は、そのまま58年ぶり10回目となるチェッカーを受けた。ニューマシンの初戦でのル・マン勝利は、21世紀では初めてのことだ。BoPの決定も含めて、魔物より運命の女神を強く引きつける魅力が、フェラーリにはあったのに違いない。

文=村上 政(ENGINE編集長) 写真=フェラーリS.p.A

(ENGINE2023年9・10月号)

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