2023.08.20

CARS

26年からホンダ・エンジンを搭載するアストン・マーティンF1のオーナーにチーム購入などF1へのかかわりを訊いた

110年にわたるアストン・マーティンの歴史の中で、これほどまでにその名が日本中に知れ渡ったことは、なかっただろう。そのくらい大きなインパクトをもたらしたのが、アストン・マーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラワン・チームに対する2026年からのホンダ製PU(パワーユニット)供給のニュースだ。その直後、F1モナコGPの会場で、アストン・マーティン・ラゴンダの会長であり、アストンマーティン・アラムコ・コグニザント・フォーミュラワン・チームのオーナーであるローレンス・ストロールにインタビューした。

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フォース・インディアから数えて、今年で5年目

「この8月で私(ローレンス・ストロール氏)がこのF1チームを買ってから5年目になります。当時はフォース・インディアと言いましたが、元々はジョーダンGPとして誕生し、33年間シルバーストーンに本拠地を置いて常に上位に食い込むことで知られていました。本当に負け犬のような存在としてね。(従業員は)トップチームが1000人のところ300人。予算も半分以下。でも、2020年にはチャンピオンシップで4位になった」



F1は最高の場所

そもそもF1との関わりを持つきっかけは何ですか?

「私は(ファッション・ブランドの)トミーヒルフィガーを所有していた1990年代前半にロータスのスポンサーを始め、その後フェラーリのスポンサーも務めてきました。その長い経験から、F1は億万長者から始めて億万長者で終わるには最高の場所だと思っています」

「これまで所有したすべてのビジネスで勝利してきました。でもF1で勝つことが私の人生で最も困難なことであるとしても、7年という期間でチャンピオン争いに加わり、勝つという目標を定めました。そして残り3年となった時、この英国チーム、フォース・インディアのために相応しいブランドは、アストン・マーティンしかないと思いました。思い起こせばアストン・マーティンは、ちょっと前までレッドブルのスポンサーでしたがね。この素晴らしい資産を手に入れた今、私は素晴らしいチームを作ろうと思っています」

「私はカナダで25年間フェラーリのインポーターもやっていましたが、この業界のベンチマークとして、フェラーリに目を向けました。フェラーリは当時、世界中で1万台のクルマを販売していました。それは価値に換算すると7000億円。私はこの会社(アストン・マーティン)を270億円の評価額で買いました。フェラーリの成功の大部分は、F1チームの影響によるクルマの販売にあったことは周知のとおりです。そしてF1というスポーツは、かつてないほど人気があります。特に現在、最大の市場であるアメリカでは絶好調です。ただし、3年前にNetflixが登場するまでF1は存在しないも同然でしたが」



フェラーリを上回る

2023年シーズンは良いスタートを切っていますね。

「この偉大なF1チームのパフォーマンスとマーケティングによって、私たちはモナコGPの時点でチャンピオンシップの2位(第13戦ハンガリーGP終了時で3位)につけているわけですが、これは奇跡的なことです。正直なところ、2026年までこんなことができるとは思っていませんでした。私たちがF1で今のようなポジションにいるのは、ライバルの数チームが劣勢に立たされたからでしょう」

ところで、シルバーストーンの新工場はいつから稼働するのですか?

「偶然にも明日(5月29日)から800人が新しい工場に移動します。だから、私はその時、その場に立ち会いたい。そして、ゲートで1日を過ごしたいと思ってます。まだ完成したのは一部ですが、50万平方フィートの工場には新しい風洞も建設中です。F1界で最後に建設された風洞はなんと2004年というじゃないですか。2004年から今日に至るまで、テクノロジーがどれほど進歩したか想像できますか? F1においてエアロダイナミクスがすべてなのです。この投資が多くの人を惹きつけ、採用するのに役立っている。今、我々の元には優秀なエンジニアが集まっています。また、このレベルの予算と支出を持つスポンサーやパートナーを獲得するためのバックアップにもなりました。

次回はいよいよ、2026年からタッグを組むことになったホンダとの関係について訊いていきたいと思う。



文=藤原よしお 写真=Aston Martin Aramco Cognizant Formula One、Aston Martin Lagonda Limited

(ENGINE WEBオリジナル)

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