2023.09.06

CARS

レーシングカー血筋のV8は一糸乱れずレッドゾーンへ シボレー・コルベットのZ06に乗った!

日本専用のエグゾーストを採用

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Z06の正規輸入に関して最大の課題となったのが法規対応だ。インポーターはC7世代のZR1も導入検討したものの、排気騒音が規制値を超えていたため断念したという経緯がある。



完全にスーパースポーツ級

このZ06もスロットル開度によっては半直管となるセンター4本出しの米国仕様エグゾーストでの法規対応は無理筋だった。が、ミドシップ化によって右ハンドル設計が容易となったC8世代は、商圏拡大を狙って法規対応が開発に織り込まれることになったのだろう。日本仕様のZ06はリア・エグゾーストエンドが標準車と同じく後左右端に四角いフィニッシャーを配した4本出しとなるほか、最高出力も米国仕様より24ps低い646psとなる。ただしその発生回転域は8550rpmと、まんまレッドゾーンだ。

当然ながらZ06は、始動音からして今までのコルベットのそれとは異なる質感を伝えてくる。軽くブリッピングしてみると、そのピックアップの鋭さは完全にスーパースポーツ級のそれらと伍する鋭さだ。



官能に満ちたエンジン・フィール

基準車と同じトレメック製の8段自動MTのDCTは、ギアリングも含めた特性的に標準車のそれにほぼ準拠する。クラッチのドライな感触も目立たず、低速・低回転域でもギクシャクするような素振りはみられない。ただし低回転域のトルク特性に合わせてだろう、1500rpm前後を維持するようにシフト・マネジメントされているため、常速域では僅かに引っ張り気味の気がみてとれる。それもあって高速巡航は100km/hだと7速を多用、8速は110km/h超え辺りから使用域に入ってくる、そんなイメージだ。ちなみに燃費などはさすがに考えていないらしく、高速巡航であっても10km/リッターの大台に乗せるのは難しそうな感触だった。



サウンドのイメージはフェラーリ

エンジンの回転フィールは明らかにレーシング・ユニットの血筋を感じさせる。限りなく公差を詰めてギチギチに締め込んだムービング・パーツが芯を揃えながら一糸乱れずギュインとレッドゾーンへと向かっていく、高圧縮の自然吸気ならではの感触は官能に満ちている。こういうタッチを持つエンジンを触ったことは個人的経験でもごく限られているし、ましてやそれが今時分に新たに現れたことが感動的だ。やはり内燃機の情感は何にも代えがたいものだなぁとしみじみする。

フラットプレーンのV8といえばフェラーリの十八番だが、奏でられるのは繊細な泣きの高音というよりは気持ちドスの利いた中高音という印象だ。LS6の開発にあたっては458を参考にしたと聞いているが、サウンドのイメージはまさにそれに近い。エグゾーストの異なる本国仕様は一体どんな音を聴かせてくれるのかという欲がよぎるが、日本仕様でも充分気持ちを昂らせてくれると思う。

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