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2023.11.22

CARS

「アルファ・ロメオではテスト・ドライバーが依然としてクルマの背後にいる」とは、どういうことなのか？　国際試乗会で知ったジュリエッタの真実　これだからアルファ好きはやめられない！

今尾直樹

ジュリエッタは戦後最大の大ヒット作の名前を冠した100周年を記念モデルとしてデビューした。

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雑誌『エンジン』の貴重なアーカイブ記事を厳選してお送りしている「蔵出しシリーズ」。今回は2010年にデビューしたアルファ・ロメオのジュリエッタを取り上げる。今なお熱烈なファンの多いジュリエッタ。2010年12月号に掲載された国際試乗会の模様をリポートするこの記事を読むと、ジュリエッタが新世代アルファの期待の星として登場した当時、イタリア本国のアルファのエンジニアたちがどれほど熱い思いを持っていたかがわかる。その思いをわかってもらうために、冒頭のリード文もそのまま掲載する！

「ニュー・ジュリエッタはどんなクルマか？　つくった人に訊いてみよう！」ENGINE 2010年12月号

100周年の今年、アルファ・ロメオは戦後最大の大ヒット作の名前を冠した新型車を欧州で発表した。ジュリエッタがそれである。日本上陸が待ちきれなくて、本誌取材班はイタリアへ飛んだ。



アルファ・ロメオのテスト・コース、バロッコにあるレンガづくりの建物には「AUTODELTA」と書かれた黄金のプレートがかかっている。アウトデルタ。1962年に結成された、輝やかしき時代のワークス・レーシング・チームである。

「率いたのはカルロ・キティ。1961年のフェラーリ初のミドシップF1をつくったエンジニアです。老エンツォは“馬車の馬は前にいるもの”といって反対していた。嫌気がさしてアルファに移籍したのです」

ドメニコ・マルティーノさん、とあとでわかった彼は黄金のプレートをうれしそうに指差し、歴史を懐かしむように語ってくれるのだった。

「アルファ・ロメオのスピリットを持っています」とテスト担当のドメニコさん。

アルファ・ロメオのDNA

ジュリエッタの足回りの開発責任者、フィリップ・クリエフさんにはアウトデルタの建物内で話を聞いた。現代アルファ・ロメオの運動性能の創造主である彼は、アルファ・ロメオの足回りの哲学をこう語る。

「一番大切なのは、つまるところステアリング・フィールです。なぜか？　路面からの情報を得られるからです。優れたステアリング・フィールがあれば、目を閉じていても、夜でもドライブできます」

目を閉じて運転しない方がイイと私は思うけれど、これこそタイヤの専門家だった人ならではの表現ではあるまいか。フィリップさんは日本で6年間、冬用タイヤを開発していた。それからすでに10年の歳月がたったけれど、「ニホンゴ、チョットワスレマシタ」と日本語でいうぐらい日本語がうまい。

「優れた運動性能と同時に快適な乗り心地も備えています」と足回り担当のフィリップさん。

「ふたつ目に大切なことはリアのスタビリティ。3つ目はフロントがクイック＆ストロングであること。この3つです。ヨワイハダメ。この3つがアルファ・ロメオにとって非常に重要です。それと、ジュリエッタ以前の159、147などの特徴はハイ・ロール・アングル（ロールの角度が大きい）でしたが、ジュリエッタは小さいロールを実現しました。ロー・ロール。これがアルファ・ロメオの運動性能のDNAです」

生き生きとしたステアリング・フィールがあって、機敏ではあるけれど、挙動は安定している。ロールは小さい、という新しいジュリエッタ像が浮かぶ。では、具体的にジュリエッタではどんなことをやっているのか？

ステアリング・フィールのためにやっていることとして、フィリップさんはまず12.7と非常にクイックなステアリング・ギア・レシオをあげた。スバル・インプレッサWRX STIの13.0よりもクイックな数字だ。

また、ジュリエッタでは効率のためにライバル同様、ステアリング・フィールの面では評判の芳しくない電動パワー・ステアリングを採用しているけれど、この評判を覆すべく、まず低摩擦、低慣性の優れたメカ部分をつくり、そこにエレクトロニクスのソフトウェアを足している。このソフトウェアが自然なステアリングの戻りなどをつくりだしている。



一方、サスペンションで大切なことは、いわゆるバネ下重量の軽減で、そのためにアルミをたくさん使っている。フロントは5kg、リアは7～8kgの軽量化となり、20％以上減量したことになるという。もし自分が20％減量するとなると、と考えると、これが大きな数字であることがわかる。しかも、運動性能上、非常に重要な部分での数値なのだ。

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